再建築不可物件に取り組むべきか?ついて考察してみた。
猛暑が続き、オフィスのエアコンの効きもよくなく、オフィスワークもなかなか厳しい状況です。恐らく、室外機周辺の環境かと思いますが、エアコンは外気の冷気を奪って暖気を吐き出す仕組みですので、室外機の周辺の温度が上がると効きが悪くなります。
そのため、室外機周辺には一定の間隔を空ける必要があります。通常であればベランダや屋上など、スペースに余裕があって空気が籠らない場所に配置するのですが、当社が入るビルに関しては共用廊下部分に室外機が設置してあるため、熱が上手く逃げないのが原因かと思います。一応、管理会社にはその旨伝えて改善可能か確認をしてみます。
さて、今回は再建築不可物件についてです。再建築不可とは接道義務(建築基準法上の道路に2m以上接道する)を満たしていないために、現状の建物を除去した際に再建築ができない物件のことを言います。
建物が劣化や事故によって使用不可な状態になった場合、建て替えができず収益化が困難になるため相場利回りよりも安く売りに出されています。また資産性が低いためローンが下りません(一部のノンバンクを除く)
言い方は悪いですが時限爆弾のようなもので、建物が使えなくなる=爆発すると思って頂ければと思います。
それでも市場では多くの再建築不可物件が流通しています。ローンを組めないような属性の方でも現金さえあれば購入できる金額帯であることや、「利回りが高いので数年で投入資金を回収できるという収益性の高さ」が魅力なんだと思います。
例えば、利回り20%の再建築不可物件を現金購入して5年で資金回収して、購入時と同じ金額で売れた場合、単純に手元資金が5年で2倍になります。(諸経費、税金は考慮していません)といったロジックは成り立つかと思います。
築古で利回り高めの物件をローンで購入した場合の自己資金回収年数が概ね5〜7年ぐらいなのでそれと同等以上の効果が得られるということになります。詳細はこちらの記事を参照下さい
とは言え、先ほどお伝えした通り、時限爆弾ではありますので、所有期間中に、朽腐しないようにしっかりとメンテナンスをしなければなりません。
また、条件が揃えば再建築不可物件を再建築可能にすることも可能です。そうなれば物件の価値が上がるため、大きな売却益を狙うことができます。そのための具体的な方法について解説します。
再建築不可を可能にする方法 その①
最も単純な方法です。隣地を購入して無理やり接道幅を2m以上確保する方法です。隣地の所有者の意向にもよりますが、売却利益の範囲で高めの交渉をすることで確度も高まります。とは言え、購入前に隣地所有者に可否の確認を取ることは難しいため、運次第という側面はあります。
再建築不可を可能にする方法 その②
位置指定として道路に接している土地を建築基準法上の道路にする方法です。建築基準法上の道路に接道している土地で条件を満たせば、その土地を道路として指定できるという取り決めがあります。当然ながら土地所有者の同意が必要です。よって自己が所有する土地であれば問題なく指定はできます。
但し、ほとんどのケースはそのような土地は共有持分であることが多く、その場合は共有者の同意が必要となります。下記事例のように袋路地上の道の場合は位置指定をしているケースが多く、細かい規則は市町村によって様々です。
これを見てもらうとわかる通り、一般の投資家の方共有者全員の同意をとって位置指定をするのは難易度はかなり高いです。あと、再建築できる建物にも規制があり、ほとんどの場合は戸建て住宅のみが再建築の対象となります。
そもそも、こういった道はすでに位置指定されているケースがほとんどなので、新たに位置指定するケースは稀となります。
再建築不可を可能にする方法 番外編
さて、続いては番外編です。販売図面にて建築基準法上の道路に接道していないけれども、その記載がなく、『43条2項2号』(旧43条但し書き)とだけ記載しているケースがあります。これはどういった意味なのか?
これは例外規定で、建築基準法上の道路に2m接道していなくても、周辺に広い空地があり、防火、交通・安全、衛生面で支障がなく、建築審査会(市町村)が同意を得た土地に関しては、一定の建物は建築しても良いですよという取り決めです。
注意点としては、この申請はその都度する必要がありますので、物件購入前に建築審査会の同意を得ることはできません。
ただし、現在の所有者が建て替えの計画中で建築審査会の同意を得ている状態で、新規購入者が同様の計画内容で申請をすれば同意を得られる可能性は高いです。但し、100%ではありませんのでご注意を。
よって『43条2項2号』(旧43条但し書き)と記載している意味をしっかりと確認する必要があります。(現所有者の建て替え計画していて建築審査会の同意を得ているかどうか?)
また、位置指定と同様に再建築する建物の用途や規模、構造に一定の制限がありますので要注意です。例えば既存建物がアパートだとしても、再建築時にアパートは建てられないケースがほとんどです。下記に東京都豊島区の事例を紹介します。
結論ですが、ローンを組める方であればわざわざリスクをとって購入する必要はないかと思います。収益性の高い築古+節税効果の見込める物件を購入すれば、再建築不可と比べて自己資金に対する投資効率は多少下がりますが、安全性の高い投資はできるかと思います。
ローンが組めない方、若しくはローンは組めるけど今は枠がいっぱいで新規ローンが組めないという方が戦略を持って、取り組むのであれば購入はありだと思います。自己資金さえ回収してしまえば、その後は固定資産税とメンテンナンス費に注意すれば収益性の高い物件が手元に残ります。但し建物はいつかは朽廃しますので、タイミングをみて売却する必要はあります。
また再建築可能にする見込みがあれば、短期的な利益を狙ったり、長期的な保有(建て替え)の可能性も踏まえて購入するのもありかと思います。
ただしこの場合も、やり方によっては建替時の建物用途(アパートはほぼ無理)に制限がある等、リスクをしっかりと理解した上で購入する必要があります。
本日は以上となります。
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