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最近話題の物件情報の囲い込み問題について
山田です。あと一週間ほどで1月も終わります。年が明けてからあっという間です。当社は4月決算となりますので、目標値を達成できるよう色々と案件を仕込んでるところでかなり忙しいです。
また現在進んでいる土地から新築1棟RC物件については、プランが概ね固まりましたので、本日から審査機関及び行政との事前協議を始めていきます。ここからは指摘事項を踏まえながら実施設計に進んでいきます。
さて本日のテーマは不動産業界では長年問題視されている物件情報の囲い込みについてです。
不動産を売却する際は(専属専任、専任契約の場合)物件情報をレインズに掲載する必要があります。つまり物件情報をオープンにしてどの不動産会社でも紹介できるような仕組みになっています。
とはいえ、元付けの不動産会社としては、他社に買主を見つけられると、手数料が片手のみになります。できれば両手(売主と買主)で手数料を取りたいので、物件情報の問い合わせあったとしても、申し込みが無いにも関わらず「申込みあり」の表示したり、電話で問い合わせがあったとしても、担当者が不在など言い訳をして他社に紹介させないことするケースがあります。
片手と両手では手間はそこまで変わらずに売上が倍になるので、その気持ちはわかるのですが、売主にとっては物件情報がオープンにならず紹介範囲が限定され、不利益を被る可能性があります。
この問題を解決するために、今月から国交省が本腰を入れて対策をするようです。具体的にはレインズに虚偽表示をした業者に是正指示や業務停止処分を行ったり、売主自身が物件の登録状況を確認できる仕組みを導入します。
この対策で問題はある程度は改善されるとは思いますが、もっと本質的な部分の解決が必要だと思います。
まずは物件情報はオープンにしないと売主にとって不利益が生じてしまうということが本当なのかという点です。
不動産情報は商習慣的に、「公開」と「非公開」というジャンルがあり、レインズやポータルサイトに掲載されている物件は「公開」、されていないものは「非公開」という扱いになります。
特に収益不動産の場合は、非公開が好まれる傾向があります。仮にA物件(公開)、B物件(非公開)という全く同条件の物件があった場合、B物件を選ぶ方が多いのです。
これは非公開物件の方が希少価値が高いと思ってしまうからですね。確かに、いろんな業者から紹介される物件より、たった1社から紹介される初見の物件であれば後者を選ぶのは納得できます。なので非公開にしたほうが物件が売れやすいという側面もあるのです。
では全てを非公開にすれば良いという意見もあると思いますがそうもいきません。不動産を売却するために業者と媒介契約を結ぶ際の契約の種類には①専属専任、②専任、③一般の3種類があります。
①と②は必ずレインズに掲載しなければなりません。③は掲載してもしなくてもどちらでも良いです。また①と②の場合は売主は1社としか契約ができません。③は何社でも大丈夫です。
当然ながら業者は必ず①と②を取りたがります。それは最低でも売主から手数料が得られ売上が保証されるからです。そして、さらに欲がでて両手取引を狙って囲い込み行為が発生します。この状態はレインズ掲載だけれども非公開になるわけで、結果的によい取引になる可能性もゼロでは無いのですが、あまりにも業者の利益のみを優先しているだけなので看過することはできません。非公開で紹介するなら③にすべきなのです。
売却については、色々な方法を試すことができる状態にすることが重要だと思います。一旦公開するとその物件は市場に認知されてしまい物件鮮度も落ちてしまうのでまずは非公開で売却活動して希少価値を落とさないようにする。数ヶ月やってみてあまり反響がなければレインズに掲載して広くオープンにして売却活動する。これが物件価値を毀損することなく売却できる方法だと思います。これを実現するには①、②では不可能なので③が唯一の選択肢となります。
当社も物件売却の依頼を多数受けておりますが基本的には一般媒介契約とさせて頂いて、非公開からのスタート、反響を見ながら公開に移行していくスタイルとしています。当然両手狙いで物件情報を囲い込むことはしません。但し結果的に両手になることもあります。
その他、そもそも非公開だろうが公開だろうがその物件の本当の価値を顧客に提示する力を身につけることが重要です。不動産業界は、情報力が物を言う業界ですが、私としては情報よりもその建物や土地の価値をしっかりと見出して顧客に提示して理解してもらい納得して買ってもらう力を身につけることが重要だと考えています。実際にレインズ掲載の土地でも相場を上回る利回りになるものはたくさんあります。
ということで今回の問題は議論すべき点が他にもあると思いますので、当社としても国の指示には従いつつ、如何にクライアントに利益になるのかという点を独自に突き詰めていきたいと思っています。本日は以上となります。
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