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収支シュミレーションに対する最終回答とは?

物件を探す不動産投資家がまず最初に着目する数値は、誰が何と言おうと「利回り」となります。実はこの利回りについても色々な考え方があります。

因みに巷のポータルサイトに表示されている数値はあくまでも表面利回りであって、実際の手残りとなる現金とは全く異なるものです。そういった点をしっかり理解して物件を選ばなければなりません。

不動産投資における収支を非常にシンプルに表現すると下記のような式となります。

▼不動産投資における収支
家賃収入 ー 運営費ー ローン返済(利息、元本) ー 税金 = 税引き後利益

さらにそれぞれのパーツを分解していきます。


といった理解になります。

①は物件自体の収益力で決まります。得られる家賃に対してどれだけの経費(修繕費、管理費、広告費)がかかるかで決まります。
②はファイナンスアレンジ(融資額、期間、金利)で決まります。
③は個人か法人化か、所得がどれだけあるかで決まります。(所得により税率が異なるため)

この税引き後利益が、どれだけ残るかが不動産投資の最終成績となるのですが、物件購入時にここに着目している人が意外と少ないのは不思議なものです。

よって、表面利回りだけで物件購入を判断するのはナンセンスですし、NOI(実質利回り)だけで購入するのも実はまだ検証不足なのです。

個人的には投入した資金とそれによって得られる税引き後利益のバランスで判断するのが最も正しい方法だと思います。ただし税率は個々で変りますし不確定な部分が多いのであまり普及がしていないのでしょう。

ここで基本的な話しとなりますが、実際のキャッシュフローと税務上の利益が異なることは収益物件を所有している方や経営者、個人事業主の方にとっては当たり前のことだと思います。

▼実際のキャッシュフロー
家賃収入 ー 運営費 ー ローン返済(利息、元本)  = 実際の利益…①

▼税務上のキャッシュフロー(税引き前利益)
家賃収入 ー 運営費 ー ローン返済(利息※土地除く) ー  減価償却費 = 税引前利益…②

①ー②×税率=税引き後利益

この税引き後利益がプラスになることが収益物件を購入する最低条件となります。もちろんこれが1万円だとしたら労力等を加味してもやる意味はないかと思います…

続いてこの税引き後の利益がどれだけの投資効果を生むのかという点ですね。

これにはROA(総資産利益率=純利益/総投資額)やROE(自己資本利益率=純利益/投自己資金)といった指標が使われます。前者は借入も含めた全投資額に対するもの、後者は投入した自己資金に対する投資効果を表すものです。

このパーセンテージについては投資目的によって異なるのですが、ROA2は2%以上は欲しいです。2%だったら投資信託や優良企業の株式配当の方がいいんじゃない?と思うかもしれませんが、分母には借入金も含みますので悪しからず。

そこで登場するのがROEですねこちらはあくまでも自己資金のみとなるため、他の投資商品との比較は可能です。こちらは10%以上が目標値です。つまり5〜7年ぐらいで投入した自己資金を回収するといったイメージです。

ではこの条件をクリアできる物件をシュミレーションしてみます。

<シュミレーション>

因みに私が個人的に購入する際の基準はROA4%以上、ROE20%以上、且つ土地の実勢価格が物件価格の80%以上という物件です。滅多におめにかかりませんが、たまにこういった物件も出てきます。速攻で売れてしまいますが…

ここでお気づきだと思いますが、概ね総投資額の1割〜2割に抑えることで効率の良い投資が可能になります。アパートローンの殆どが自己資金が2割程度迄に設定されているのもこれが理由ですね。2割を超えると他の投資商品と比べてた良さが無くなってしまいますので。

ただ、気を付けるべきはどちらか一方だけに頼るのではなく両方のバランスを見るという点です。当然フルローンに近ければROEは100%付近になりますが、仮に総投資額1億円に対して最終手残りが100万円であればROAは1%になってしまいます。負債に対する利益があまりにも低いのは今後の賃貸経営に不安が残ります。

その他のポイントとしてはこの数式の分子は一般的には税引前利益が入ります。とはいえ個人で不動産を所有した場合、高所得であればあるほど税率が高くなります。最大55%を税金でもっていかれてしまう可能性があります。
よって本当に正しいROA、ROEを出すのであれば税引き後利益で計算すべきです。

そうなると、高所得者であればあるほど不利になるのですが、その問題を解決するのが減価償却です。短期で減価償却して「税務上のキャッシュフロー」をマイナスにすることができれば、物件の所得に対する税金は当然かかりませんし、給与所得にかかる税金も低くすることができます。これがいわゆる不動産投資による節税効果ですね。

こちらに関してはこの記事の中ではお伝えしきれない内容となりますのでまた別記事でじっくり解説していこうと思います。

そして再度こちらの図


個人的には不動産投資の本質を言い表していると思い込んでいるのですが、良い投資とは①、②、③すべてにおいてバランスがとれていることが重要です。一般的に収益物件を扱う会社は①、②についてはサポートしてくれますが③については関与しないケースが多いです。当然、この領域については税理士の独占業務のため、我々が立ち入ることができない領域ではあるのですが、内容を理解して提案することは可能です。

実際に①、②のシュミレーションでは納得できる数値だったのに③を加味したら殆どキャッシュフローが残らないケースはザラにあります。

不動産投資をスタートするには事前に必要となる知識がたくさんあります。その上で①②③をアレンジしてくれる不動産業者に出会うことが重要だと思います。

本日は以上となります。それではまた。


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