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『~新たなる血戦~』

第1話:「穏やかな日常の中で」

陽の光が差し込む静かな朝。炭治郎は深く息を吸い込み、心地よい空気を胸いっぱいに満たした。鬼舞辻無惨を倒してから数年が経ち、鬼のいない平和な時代が訪れていた。かつての鬼殺隊も解散し、仲間たちはそれぞれの道を歩んでいる。

炭治郎は、蝶屋敷の近くにある小さな家でカナヲとともに暮らしていた。目を覚ますと、隣ではカナヲが静かに座りながら、庭先の花々を見つめていた。

「おはよう、カナヲ。」

炭治郎が声をかけると、カナヲは微笑みながら振り向いた。

「おはよう、炭治郎。」

戦いの日々とは打って変わって、穏やかな日常がそこにはあった。

炭治郎は町へ出ると、善逸や伊之助とも顔を合わせた。善逸は依然として禰豆子に夢中で、伊之助は山での狩りの話を熱く語っている。平凡ながらも、彼らにとってはかけがえのない日々だった。

しかし、その平和は長くは続かなかった。

***

その夜、村の外れで異変が起こる。

静まり返った夜道を、一人の若い男が歩いていた。月明かりの下、その男の影がゆらりと揺れる。しかし次の瞬間、彼の体がまるで何かに引き裂かれたように倒れた。

血の匂いが風に乗って漂う。

村の者たちは翌朝、異様な光景を目にした。

地面に残されたのは、一人の男の変わり果てた姿。しかし、その体には鬼特有の傷跡はなく、まるで人間とは異なる何かに襲われたかのようだった。

「まるで……鬼にやられたみたいだ……」

村人たちは震えながらそう呟いた。

***

「鬼が……?」

炭治郎は村の騒ぎを聞きつけ、善逸や伊之助と共に現場へ向かった。そこには異様な空気が漂っていた。

彼の鼻が捉えたのは、確かに鬼を思わせる血の匂い。しかし、どこか違和感があった。

「この匂い……鬼の匂いに似ているけど、何かが違う……」

炭治郎は不安を感じながら、遺体を調べる。そこには爪のような跡が残されていたが、それはこれまでに見た鬼のものとは異なっていた。

何かが始まろうとしている——。

鬼舞辻無惨が倒れ、鬼が消え去ったはずのこの世界で、新たな脅威が姿を現し始めていた。

(第1話・完)


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