アンコールバスという1970年代のカンボジア国産車を見て感動した話
元気です。
昨日からバッタンバンに出張中。
バッタンバンでは現場を回ったり走ったりしている中で、バッタンバンの友人から貴重な写真をもらった。
白いバンで、車には「Angkor」と書いてある。カンボジアにはベンツではない車にベンツのマークをつけるというようなことがよく行われるが、この車はそうでは無い。
カンボジアでかつて生産されていた「Angkor Bus」というバスのようなのだ。ポルポト時代前のカンボジアはタイよりも進んだ技術を持っていたというが、車まで生産していたとは最近まで全然知らなかった。
そしてこのバス、未だカンボジアバッタンバンで、現役で走っているのである。ポルポトが政権を握る直前の1970年代前半の車だとしても既に半世紀近く走っていることになる(部品やエンジンはカンボジア人の持ち前の器用さで全部入れ替わってるとは思うが)
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僕にはこの車こそ、カンボジア人の誇りとなるべきなんじゃないかと思った。カンボジアのワーカーのクオリティは「細かい作業ができない」「作業の質が低い」と言われる。
それはカンボジアの文化や国がそうさせるのではなく、教育環境などの後天的なものだ思っている。
もちろんアンコールワットも、そのカンボジア人の力を見るにふさわしい。中世の時代に石を積んで巨大な寺院をいくつも建てるためには、入念な計画、設計、人員動員、食料の確保などのマネジメントが適切に回らないと実現できないからだ。
しかし数百年前の建造物よりも、親世代、祖父母世代に自国の車を走らせていたのだというのは、これから中産国を目指す国民にとって勇気になると思うのだ。
これからカンボジアにとって、大事になってくるのは、建設や不動産など他国の資本で潤うのでは無く、自国の産業を作るという事だと思っている。しかし、「この国の国民は無理だよ」と言う人も多い。確かに算数が出来ない人は多いし、科学を学ぶための基礎的な知識や教養が足りない人がほとんどだ。
それでも、それは教育さえ変われば生まれ変わることができるんだ、という光を半世紀に渡り市民の足として荷物運びとして活躍するこのバスが照らしてくれている気がするのである。