僕のトロント生活 「音声翻訳機」
ある仕事中にあったお客様についての小話。
僕が働くお店には土地柄もあり、様々な人種の方々がやってくる。
基本的にほとんどのお客さんは英語を話すことができるが、中には全く話せない方もいる。
そしてある日、僕が働いていると中国人女性のお客様が話しかけてきた。
話している言語は中国語。
理解できないと英語で答えると、女性が音声翻訳機を指さしてジェスチャーしている。
どうやら、画面に表示されている文章を読んでくれと言っているようだ。
そこには、Which size do you think more suit to meと書かれていた。
SかMか客観的に似合うサイズを教えてほしいということらしい。
人生で初めて音声翻訳機を使っている人を見た。
確かにもう英語の勉強は必要ないという謳い文句で一度話題になったが、実際に使う人には出会ったことがなかったので驚いた。
すると、その様子を見ていた同僚もやってきた。
僕が彼にもどう思うか聞くと、少しオーバーサイズだと感じた彼は、
Do you think this one is baggy?と音声翻訳機に話しかけた。
すると、そこには英語で
do you think this one is bad guy の文字が。
意味がわからなすぎてその場で3人で爆笑した。
外国語を学ばなくても音声翻訳機やスマホ一つで会話ができると言われていても、それぞれの個性ある発音では対応しきれないこともあるらしい。
そしてその上、会話に時間がかかる。
僕はこの日、テクノロジーなんかには頼ることなんてできないことを実感した。言葉はコツコツ学んでいくしかないのだ。
ただ、音声翻訳機では言葉は通じなかったが、笑いは通じた。
笑いのツボが違うと言われているが、こういう浅い笑いは万国共通である。