AI時代に求められるのは「プロフェッショナル」

AIという存在は60年前からもうすでに誕生していた。それが第一次、第二次と進化してき、現在コンピューターの普及やインターネットの広がりと共に、第三次ブームとして人々を脅かす存在となってきている。「AIが発展すると仕事がなくなる」と、雇用に関する不安の声がよく聞かれるようになった。イギリスのオックスフォード大学では、近い将来に現在ある仕事の90%はAIに置き換えられると公表した。また、野村総合研究所は、この先15年で今ある仕事の49%がなくなるという研究結果を発表した。(参考:株式会社野村総合研究所『日本の労働人口お49%が人工知能やロボット等で代替可能に〜』)

変化が激しい今の時代、これまでの価値観や方法、過去の人が敷いてきた人生のレールは、意味をなさなくなってきている。いい大学・いい会社に入れば一生安泰ということはこの先もうない。そんな右肩上がりの経済成長期はとうの昔に過ぎている。更に言えば、これから日本はもっと厳しい状況になってくるだろう。その状況に気づいていながら、未だに行動できている人は少ない。なぜなら、今の企業の主軸になっているような人は景気のいい時代を経験してきて、定年までの残りの時間を逃げ切ればいいと考えているからだ。もちろんそうではない人も沢山いる。4,50代で転職を考える人もいるし、60代から新しい事業を始める人もいる。しかし、日本の風潮として、まだ焦らなくても良いと考えている人が多いことは事実だろう。これから社会に出る世代、もしくはこれから会社を担っていく世代にとっては、この風潮は深刻な問題である。では、今の時代を生き抜くため、自分の力で幸せを掴むためにはどうすればよいのだろうか。

「自分にとって必要なモノとは何かを考え、探し、選び抜く」
こういった思考が今必要であり、人の行動を起こす基準として当たり前になるべきでははないだろうか。
「モノ」は人それぞれ違う。時間が必要な人もいれば、車や家が欲しい人もいる。いずれにしても、「自分はなんのために働くのか」という自己分析ができていなければ、どんな意思決定をしたとしても、漫然と行動することになってしまう。自己分析で一番に見つけるべきことは自分の「武器」を見つけることだと考える。これからの時代を生きていくにあたって、自分は何ができるのかを考えることが最優先事項である。
これは自論になってしまうが、「勝てる」から「楽しい」と思うのだと考える。負けてばかりでは楽しくもなければやりがいもない。仕事においても、成果を出せる力があるから頑張れるのであって、全く見込みがないことに対しては努力できない。そこで「勝つ」ために必要なことが「武器」を見つけることである。「武器」を見つけることは自信になる。自信があれば行動も変わってくるだろう。「武器」を見つけることで、これからの時代を生き抜く糧にしなければならない。

今後、テクノロジーやAIが私たちの生活を豊かにすると言われている。生活として豊かになることは非常にありがたいことであるが、仕事においては業務を取られてしまう可能性もあり、テクノロジーやAIとどのように向き合っていくべきかを「常に」考えていかなければならない。テクノロジーやAIとの戦い方の一つとして自分の「武器」を見つけることを挙げた。次はどのような「武器」があり、社会において今後どのような「武器」が必要とされるのかを述べる。

思考力
今後必要な武器として、誰に聞いても間違いなく挙がるのは「思考力」だろう。「思考力」には2つの意味があると考えており、1つ目として「自分が意思決定する際の思考力」という意味で述べる。今から社会に出る若い世代は今後ありとあらゆるジャンルにおいて、自分で考え、自分で決めていかなければならない場面が増えていく。今までは「みんなが同じような未来をイメージしながら」生きていた。新卒で企業に入り、20代30代40代と当たり前に昇進し、60代で定年を迎えて退職。だいたい「みんな同じ」で「これまでの大人と同じように」やっておけば何も問題なく生きていけた。そんな時代であれば、そうするのが当たり前だろう。よっぽど自分で何かやりたい人でなければ新規事業など考えもしない。自分もそんな時代であれば「当たり前」のレールに乗っていたかもしれない。
しかし、今はそんな幸せな時代はもうやってこない。テクノロジーが進化し、AI
の台頭によって人の手が必要なくなってきていることは誰もが知っている。将来がどうなるかは誰にも予測できない。こんな時代で生きている自分たちは過去の方法が通用せず、未来の予想も全くできない中で自分の人生や家族の人生を見据えながら、一つ一つ意思決定していかなければならないのである。その際に必要になってくるのが「思考力」だ。「自分で」思考し、「自分で」行動することが絶対的に必要なこれからの時代に「思考力」がなければ、間違った意思決定をする羽目になる。「私は直感でやります!」という人もいるかもしれないがそんな博打を続けていては、いつかガタがくる。ガタがきた時に後悔していてはもう遅い。自分の一つ一つの行動に根拠を持たせ、いつでも自分の意思決定に自信を持った状態を作っておくことが、今の時代を生き抜き、後悔しない人生を送るには大切になってくるだろう。

「思考力」の2つ目の考え方として、「人間にしかできないことを考える思考力」がある。人間とAIの一番違うところは「『問い』に対して思考すること」だ。AIは「学習」はするが「問い」は持たない。今までのデータから算出して答えを出しているだけである。現状に対して「問い」を持たないということは、現状から進歩をしないということだ。現状維持は「衰退」である。AIに頼っていては今の働き方は変わることがなく、いつか会社はうまくいかなくなる。その点人間は「思考」することができるため、「こんな働き方おかしくないですか?」「このままではよくないんじゃないですか?」という疑問を投げかける。この疑問が現状の働き方を変え、企業を進展させるきっかけになる可能性を含んでいるのである。この「人間にしかできない」思考に対して、「なんでそう思うの?」「どう改善すれば良いと思うの?」と、耳を傾けることが、企業の業績を向上させることに繋がるのではないだろうか。そこで出た課題や改善策に対して、データを用いて計算したり、機械でものを作ったりするのはテクノロジーに任せておけばいい。もう一つ、「人間にしかできない思考」として挙げられるのは「感情を読む」思考である。「その商品を売ったらどのような利点があるか」、「どのように便利になるか」はAIでも算出することができる。しかし、「お客様がどのような顔をするか」までは算出することができない。それに比べて人間は、同じ人間が使うものを作っているのであるから、どんな顔でその商品を使うのかを想像しながら商品を生み出す。無形商材を扱う企業でも同じで、このサービスを提供することによってお客様はどれだけ喜んでもらえるか、どれだけ楽しんでもらえるかということを想像しながらサービスを提供する。もはや「想像」ではなく「妄想」かもしれない。ただ合理的に活動するだけでは生み出せないものを生み出す力を人間は備えている。様々な本や記事で言われている「テクノロジーやAIと戦うのではなく共存していかなければならない」という言葉の意味はこういうことではないだろうか。誰でもできることはAIにさせ、人間にしかできないことは人間がやれば良い。

ここまでテクノロジーやAIが台頭してきたこの時代でどのように生き抜くべきかを述べた。その上で、人としての自分がどのように活躍していきたいかを考える。

「交換不可能な人間になる。」
ここでの「交換不可能」という言葉は「AIにとって」の他に、「人間にとっても」という意味も含んでいる。他の言葉で表すと「エキスパートではなく、プロフェッショナル」になることである。AIにできないこととして「思考すること」を挙げたが、その「思考すること」が他の人間と同レベルでは、自分が選ばれることはない。専門的な技術であっても、他にもできる人がいるのであれば順番が回ってくるのを待つしかない。この状態は自分にとって「エキスパート」の状態であると考えている。さらにそこから抜け出すためには何が必要なのか。それは「専門的な知識や技術を基に相手のニーズに的確に答える力」であると考える。自分が持っている知識や技術、または経験を踏まえ、相手が何を求めているか、何を欲しているかを的確に捉え、アプローチする力である。ニーズは「表面的なもの」だけでは足りない。「潜在的なもの」にまでアプローチができてこそ「プロフェッショナル」だと言えるだろう。この「潜在的」なものにまで取り組めることがAIとの差であるし、他の人間とも差別化できる部分であると考える。主観的な視点と俯瞰的な視点の両方で相手を見、その人が本当に求めていることは何か、本質的な部分を相手に提供する。その結果、「交換不可能」な人間になることができ、選ばれ続けるため、生き抜くことができるはずである。

まとめ
ただの優秀な人材はもう世の中に溢れている。しかもそういった優秀な人材ほどAIの台頭によって淘汰されていくのだ。もちろんエキスパートにならなければプロフェッショナルにはなることができないのであるから、まずは「知識」を身につけるべきである。しかし、そこで終わっていてはどこにでもいる優秀な人材止まりであるため、「相手」という存在をしっかりと全体からみて判断できる力、「考える力」を身につけなければならない。そうすれば、貴重な存在として圧倒的な価値が出てくる。もっと言えば、「答え(正解)を見つけるのではなく、答え(正解)にする力」を身につけることが必要である。ビジネスや人生には正解がない。そのため、自分の選んだ道を正解にする力が必要であり、それはAIにはできない。繰り返しになるが、このような「思考力」を「武器」にし、これから始まる社会人としての人生を乗り切っていきたい。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?