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中国旅行記 2024(北京・上海・広州・深圳)

昨年、インドに行ってきたのですが、その際の体験がとても貴重だったため、次は中国に行きたいと思い、先日行ってきました。結論から言うと、素晴らしい経験になり、様々な方の優しさに触れました。同時に、とても複雑な国だなという印象も持ちました。今回は北京・上海・広州・深圳の 4 都市。忘れない内にまとめてみます。

中国への行き方

以前までは日本国籍保有者はビザは必要なかったのですが、2024 年 10 月現在、中国への入国には原則ビザが必要です。一応トランジットビザという、6 日までなら次の渡航地がある場合に限り入国できるという方法があるらしいのですが、自分は 6 日以上の滞在なので、ビザの取得が必要でした。

私が住むベイエリアでは中国のビザセンターはサンフランシスコにあり、営業時間が平日の 9:00 - 14:30 と会社員には難しい時間帯でした。車で往復 2 時間、申請とピックアップで 2 回と、なかなかの手間です。自分が行った限り、朝一番が激混み、昼はガラガラでした。また、申請書類に不備があるなど、やり直す必要がある際は -- ベイエリア向けの情報になりますが -- 近くのジャパンタウンの UPS でパソコンと印刷サービスがあるので、そこで作業すると便利です。必要書類は申請書とパスポート、指定のフォーマットに沿った写真等々ですが、最新の公式情報をご確認ください。ビザはアメリカの場合は 4 日程度と、すぐ発行されました。

入国自体はスムーズで Arraival Card の記入、指紋の採取をすれば、パスポートとビザを確認され、そのまま入れました。

中国への準備

中国では基本的に中国のサービスを使うことになるので、WeChat、Alipay、百度地図、DiDi、大衆点評などをインストールします。地図については中国語 UI を使うのが難しい場合、Apple Maps を使うという裏技があるのですが、実際は日本語が分かれば中国語 UI もそこまで苦労しなかったので、普通に百度地図などを自分は使ってました。

使った中国アプリ一覧

現在の中国はキャッシュレス化が強烈に進んでいて、基本全て WeChat Pay か Alipay で払います。その点、2023 年から外国のクレジットカードも登録できるようになっており、かなり便利でした。

また、中国国外サービスを使うために VPN の使用を周りに薦められましたが、現在はそうしたケースに対応した SIM カードもあり、自分はそのような eSIM を使っていました(e.g. Airalo)。しかし、eSIM は現地に着いたら切り替えるだけですぐに使えるのでとても楽なのですが、自分の経験としては、回線が遅く、微妙に不安定でした。中国は全ての決済がキャッシュレスで通信が必要なので、その生命線である回線が不安定なのは多少の不安とストレスを覚えます。そのため、実際はローカルな SIM と VPN を用意し、適宜 VPN をオン/オフして使い分けるのが良いかもしれません(が、自分は試さなかったので実際のところは分かりません)。

中国で困ったこと

個人間送金の手段がない

これが地味に一番困ったかもしれません。WeChat Pay も Alipay も晴れて海外のクレカに対応したのですが、規約で(中国の銀行口座やデビットカード以外)個人間送金が制限されています。そのため、例えば、複数人で食事した後の割り勘など、手頃な方法がありません。これは未だに良い解決策が分かっていなく、1. キャッシュを渡す 2. ランチとディナーがあれば、どちらかを自分が払う 3. 自国にいる中国口座がある人に送金してもらう などが一応考えられます。

スマホが生命線

支払いが基本的に全てキャッシュレスなので、スマホが使えなくなると何もできなくなります。そのためか、街中には至るところにモバイルバッテリーサービスが設置されてました。また、本当にスマホが使えなくなった場合に備えて念のためキャッシュも持っていた方がいいと思います。

街中にこういうモバイルバッテリーがある

主要な観光場所は予約が必要

これは自分のリサーチが甘かったのですが、現在主要な観光地は予約が必要なところが多いです。インドもそうらしいのですが、昨今、国内旅行者が増えてる関係で、入場を管理する必要があるようです。例えば、紫禁城/故宮博物館、天安門広場、万里の長城(八達嶺長城)は予約が必要でした。中でも紫禁城/故宮博物館は激戦らしく、前もって予約することをお薦めします。紫禁城/故宮博物館は何日か前に(噂では 7 日前の 8:00 pm)チケット予約が可能になるのですが、中国アカウントをお持ちの方が優先される関係で(私みたいな外国人は)旅行代理店を通じて購入することになります。その旅行代理店への予約自体はかなり前からできるので早めの行動をお勧めします(とはいえ、旅行代理店の予約 = 購入ではなく、旅行代理店の方でも購入できないこともあるようです)。自分は幸運にもチケットを購入することができました。

阿鼻叫喚の Reddit のスレ

また、余談ですが、北京大学は国慶節など特別な期間は見学予約を受け付けてるのですが、それ以外の期間は関係者の招待がないと入れません。私は幸運にも関係者の方とお知り合いだったので、入ることができました(ありがとうございます!)。

北京大学の赤門 - 西門

どこも混んでる

国内人口の規模と国内旅行の人気の関係か、基本的にどこも混んでいて、時に日本やアメリカで見たことないレベルの行列があります。そのため、余裕を持った計画をお勧めします。例えば、自分は八達嶺長城に行く列車のチケットが(売り切れということもあり)買えませんでした(ので、バスと DiDi で行きました)。

万里の長城くらい並んでる行列

言語の壁

これは想定していた通りですが、基本的には英語は通じないので、翻訳アプリを使うか、基本的な中国語を覚えていくことになります。

世情

様々な理由から中国国内には日本に対して快く思ってない方が一定数いらっしゃるようです。また、それはその時の政治情勢等にも影響を受けます。最近では深圳などで痛ましい事件が起きたばかりです。もし渡航を検討している場合は、しっかりと下調べをして決断することをお勧めします。

北京

自分が受けた印象は一言でいうと、整然。街はとてもクリーンで、電車も碁盤の目のように整然と張り巡らされ、どこへ行くにも便利です。特に栄えている街の中心部では、個人的にかなり東京と近い雰囲気を感じました。また、紫禁城や少し足を伸ばせば万里の長城など、重厚な歴史から生まれた施設もあり、自分的には一番気に入った都市でした。同時に、首都だけあり、監視カメラの数も他の都市の比ではなく、また、天安門広場に入る際のセキュリティチェックはとても厳重でした(3 回パスポートと予約を別々の場所でチェックされました)。

北京市内 - 綺麗ですよね?

また、今回は北京大学の日本人会にもコンタクトさせていただき、夕食を共にしながら色々とお話を伺いました。個人的に嬉しかったのは、自分が想像していた以上に日本と中国のつながりはあるということでした。例えば、北京大学の日本人会は毎年のように新人歓迎会を開くらしいのですが、在校生・交換留学生も含めてですが、100 人以上参加者がいらっしゃるようです。自分自身は視点が日本とアメリカに偏ってるので新鮮な発見でした。広報活動もしているとのことなので、ぜひインスタもフォローください。

広州

広州は打って変わって、気候や街並みの面で東南アジアを感じる場所でした。中国の南方に位置するので気温・湿度共に高く、また、路面店等も多く、整然としていた北京とはかなり違う印象を受けました。その土地柄、様々な食材が豊富に手に入るらしく「食は広州にあり」という言葉があるように、どの料理も本当に美味しかったです。

広州の庶民的な朝食: 腸粉と粥

また、今回は現地の日本の方に案内していただいたのですが、夜にはご家族にもご挨拶させていただきました。その際に、奥様姉妹の仲睦まじさに衝撃を受けました。中国の方は関係性を尊ぶと聞いていたのですが、その中国出身の姉妹の方々の親密さはそれを象徴するようでした。具体的には、4 姉妹で毎日のように顔を合わせて、お互いのビジネスを手伝うなど、学生時代の「いつメン」のような感覚でした。あくまで私の印象ですが、お互いの利害の境界が曖昧になり、目的が共有されているというか「あなたの幸せは私の幸せ」とでも言わんとするかのように協力を惜しまず、その姿勢にいたく感銘を受けました。自分には到底真似できないと思いますが、見習える範囲で見習いたいと思いました。

深圳

中国のシリコンバレーと呼ばれる深圳にも足を運びました。まずは世界最大規模の電子街、華強北。コロナ以降、かつての勢いは薄れた部分もあるという声も耳にしましたが、それにしても驚くほどの在庫量と活気でした。「華強北のビルを上から下まで歩けば iPhone に必要な電子部品が全て揃う」という冗談もあるようですが、それも納得の在庫量です。

全て電子部品ショップ

また、去年インドのバンガロールも訪れたので、これで訪れた "シリコンバレー" は 3 つ目ですが、一番整然としている印象を受けました。例えば、深圳湾创业广场という多くのスタートアップが集結するエリアがあるのですが、どちらかというと丸の内のようなオフィス街の様相を呈していて、少し意外でした。今回残念ながらオフィスには入れなかったのですが、その後訪れた上海で「え、テンセントの人紹介したのに」と言われ、痛恨のミス。。。

深圳湾创业广场にそびえるテンセントビル

話が前後しますが、今回一番衝撃を受けたのはファーウェイの状況でした。ファーウェイのスマホはトランプ政権時代の経済制裁により一部のチップやサービスが使えなくなり、シェアが下落。その後、独自のチップ、及び、HarmonyOS と呼ばれる OS まで開発し、復活。つまり、最新端末は Android OS ベースではないことになります。これは Google Play Store も使えず、あらゆる Android アプリが使えないことになります。そのような制限があっても中国国内で高いシェアを確保し、最新端末はもちろん、簡易的なスマートグラスや自動車向けソフトウェアまで開発しています。これはつまり、中国自体のグレートファイアウォールだけではなく、ファーウェイ自身も独自路線を突き進む決断をした/強いられたと私は捉えました。これは経済学部で自由市場の効率と理想を叩き込まれた身としては、その考えが時にいかにナイーブか思い知らされた瞬間でもありました。

実際に目にした商品群

上海

中国国内では最も国際的と言ってもいい上海。実際、私の友人も一番上海に多く、都市自体も現代的な趣と歴史的な建造物が同居していて心躍る都市でした。外灘の美しさや小籠包や上海蟹を初めとした料理の奥深さなど、魅力の尽きない都市なのですが、現地では主に知財やクリエイティブに関わる方にお話を伺い、話がインフルエンサーカルチャーに及びました。

昼の外灘

広州と上海で目についたのは写真を撮る人の多さです。例えば、広州の沙面島ではいたるところで写真撮影が行われ、上海の外灘付近では専門のライトなども持ち出して撮影されてる方も多く見ました。中国のインスタである小红书(RED)に代表されるよう、SNS がかなり発達している印象です。国によってそうした部分にも違いが出るのが興味深いなと思いました。

総じて

今回の滞在中、常に感じていたことですが(日本語の)ニュースで見聞きする印象と実際に目の当たりにする印象には少し乖離があるなと感じました。あくまで自分個人の感想ですが、想像よりずっと発展していて、生活自体はとても住みやすそうでした。

とはいえ、その生活も中国政府の匙加減という側面があり、そういう危うさも含んだ、複雑な国なのだなという印象を持ちました。近年では TikTok がアメリカで使えなくなる可能性など、そうした政治リスクも現実のものなのだと改めて認識する機会にもなりました。

今回の旅、様々な方のご厚意のおかげで、大変実り多く充実したものになりました。この場を借りてお礼をお伝えしたいと思います。本当に本当にありがとうございました。再见!

余談・その他 Tips

物価

物価は安め。地下鉄はもちろん DiDi を含めたタクシーも安く、また外食も決して高くない。

地下鉄の乗り方

例えば、Alipay には Transport というボタンがあり、ここから自分用の交通カードの QR コードを発行できる。これを初めにやっておくと自分のように毎回駅でわざわざチケットを買う手間をかけることもない。

このボタン

ホテルの予約

自分は大体 Booking.com を使うが、中国ではそこまで整備されてない。例えば、今回自分が深圳で泊まった宿は建設途中の建物の民泊もどきであった。また、時に外国人お断りの宿もあるらしい。その点については、携程旅行など、そうした項目も表示されるサービスを使うと良いと聞いた。Booking.com の代わりに Trip.com を比較的使うという声もあった。加えて、百度地図などでクロスチェックするといいかもしれない。例えば、私の深圳での宿は百度地図できちんと出てこない。

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