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【内部監査の基礎知識】内部監査に関連する周辺知識~③内部統制~

こんにちは、HIROです。今日は「内部監査と内部統制の関係性」についてお伝えします。企業経営において、内部統制は欠かせない要素であり、その適切な運用を確保するために内部監査が果たす役割も非常に重要です。今回は、内部統制とは何か、そして内部監査がどのようにして内部統制を支えるのかについて、わかりやすく解説していきます。


1. 内部統制とは?

1.1 内部統制の基本概念

内部統制とは、企業が目標を達成するために設ける、業務の効率化、財務報告の信頼性確保、そして法令遵守を目的とした組織的な仕組みやプロセスのことです。具体的には、業務プロセスにおいて不正やミスを防ぐためのチェックや承認の仕組み、財務データの正確性を確保するための記録方法などが含まれます。企業のあらゆる活動が、適切かつ透明に行われるために設計されています。

1.2 内部統制の重要性

内部統制は、企業の信用を守り、持続的な成長を支えるための基盤です。適切な内部統制がないと、財務報告の誤りや不正行為の発生リスクが高まり、結果として企業の存続が脅かされることもあります。一方、内部統制が整備されている企業は、経営におけるリスクを抑え、透明性と信頼性の高い組織運営が可能となります。これは、企業が市場での競争力を維持し、長期的な成功を収めるために不可欠な要素です。

2. 内部統制の具体的な仕組みと例

2.1 内部統制を構成する要素

内部統制は、具体的な仕組みやルールで構成されています。これらは、企業が目指す目標を達成するために必要な「歯車」のようなものです。例えば、内部統制には「職務分掌」があります。これは、一人の従業員がすべての業務を担当するのではなく、複数の人で役割を分担することで、不正やミスのリスクを軽減する仕組みです。たとえば、経理部門では、資金の支払いと記録を別々の担当者が行うことで、不正な支出を防ぐ効果があります。

また、「承認手続き」も内部統制の一つです。重要な取引や決定は、必ず上長の承認を得ることが求められます。これは、企業内の判断が適切に行われていることを確認するための仕組みです。こうした仕組みがなければ、一人の判断ミスが企業全体に大きな影響を与える可能性があります。

2.2 例えば内部統制は家のセキュリティシステム

内部統制は、家に例えると「セキュリティシステム」に相当します。家のセキュリティシステムには、防犯カメラ、アラーム、鍵などさまざまな仕組みがあります。これらの仕組みが連携して機能することで、家を泥棒や不審者から守ることができます。同様に、内部統制も企業を外部の脅威や内部の不正から守るために存在し、それぞれの統制が連携して初めて効果を発揮します。セキュリティシステムが不十分であれば、泥棒が簡単に侵入できるように、内部統制が欠けていれば、不正やミスが発生しやすくなります。

3. COSOフレームワークによる内部統制の理解

3.1 COSO内部統制フレームワークとは

内部統制を理解する上で、COSO(Committee of Sponsoring Organizations of the Treadway Commission:トレッドウェイ委員会組織委員会)により公表された国際的な内部統制のフレームワークは非常に有用です。COSOフレームワークは、内部統制の効果的な設計と運用を支援するためのモデルであり、企業がリスクを管理し、目標を達成するために必要な統制を包括的に捉えています。

3.2 COSOの5つの構成要素

COSOフレームワークは、事業体が達成すべき3つの目的と5つの構成要素から構成されており、各構成要素の基本概念を表す17の原則が提示されています。それぞれが、企業の内部統制を支える重要な役割を果たしています。ここでは、5つの構成要素について簡単に説明します。

  1. 統制環境: これは、企業全体の内部統制の基盤を形成する要素です。経営陣の姿勢や企業文化、倫理観が含まれます。統制環境は、組織全体に「正しいことをする」という意識を根付かせ、内部統制が効果的に機能するための土台を提供します。

  2. リスク評価: 企業が直面する可能性のあるリスクを識別し、評価するプロセスです。リスク評価は、内部統制を効果的に設計するために不可欠であり、リスクの重大性に応じた対応策を講じるための指針となります。

  3. 統制活動: 具体的な統制手続きやポリシーが含まれる要素です。承認手続きや職務分掌、監視活動などがここに該当します。これらの活動は、リスクを管理し、業務が目標に沿って適切に行われることを確保します。

  4. 情報と伝達: 必要な情報が適時に正確に伝達されることを確保する仕組みです。適切な情報伝達は、内部統制が効果的に機能するために欠かせません。これには、経営陣から現場への指示や、現場から経営陣への報告などが含まれます。

  5. モニタリング: 内部統制が継続的に有効であることを確認するプロセスです。内部監査は、このモニタリングの一環として機能し、統制が計画通りに運用されているかを定期的にチェックします。

3.3 COSOフレームワークの実践

COSOフレームワークは、理論的なモデルであるだけでなく、実際の企業運営においても広く活用されています。たとえば、企業が新しい市場に参入する際、リスク評価を行い、そのリスクに対応するための統制活動を計画することで、潜在的な問題を未然に防ぐことができます。また、モニタリングを通じて、導入した統制が適切に機能しているかを確認し、必要に応じて改善を行うことが可能です。

4. 内部監査の役割と内部統制

4.1 内部監査の本質と目的

内部監査は、内部統制が効果的に機能しているかを確認し、改善点を見つけ出すためのプロセスです。内部監査の役割は単なるチェックにとどまらず、企業全体の健全な運営をサポートすることにあります。経営陣が期待する成果を確実に得るためには、内部統制が設計通りに運用されていることが重要であり、内部監査はその確証を提供します。

4.2 内部監査が内部統制に与える影響

内部監査は、内部統制の運用状況を評価し、改善が必要な部分を指摘することで、内部統制の強化を図ります。例えば、業務プロセスの中で発見された不備やリスクを管理し、経営陣にフィードバックを提供することにより、企業全体のリスクマネジメントが強化されます。こうした内部監査のフィードバックは、経営判断を支える重要な情報源となります。

5. まとめ:内部監査と内部統制の関係性

今回の記事では、内部統制の具体的な仕組みと、その効果的な運用を支える内部監査の役割について解説しました。また、COSOフレームワークを用いることで、内部統制の全体像を理解しやすくなります。内部統制は企業の安全と成長を支える基盤であり、内部監査はその基盤が確かなものであることを確認し、改善を促す重要な役割を果たしています。内部統制と内部監査が協力することで、企業はリスクに強く、透明性の高い経営を実現できるのです。


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