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鈍器系スピーカーのリメイク
鈍器系スピーカーというのをご存知でしょうか?
1970年代の終わり頃、各オーディオメーカーがこぞって出してきたスピーカーです。この頃のオーディオはまだステレオと言われていて、バラコン全盛期(アンプやプレイヤー、デッキなどをバラバラのメーカーで組むオーディオセット)でしたが、それと並行して小さなミニコンというのも流行っていました。テクニクスのコンサイスコンポなどが有名ですね。
このような小さなコンポのスピーカーはもちろん小さなもの、ウーハーが10cm程度のものになるわけですが、となると問題となるのはスピーカーの重量。小さいので木で作ると軽いので転がりやすかったり、音に迫力がなかったりするわけで、このときに流行ったのがアルミダイキャストで作られたエンクロージャーを持つスピーカーでした。
テクニクスの SB-F1、Lo-DのHS-50、パイオニアのCS-X3などがその代表的なモデルです。どのスピーカーも小さいながらずっしりと重く、アルミなので鈍器系と言われるようになりました。
さて、この鈍器系スピーカーですが、アルミで作られているのでデザイン的にも秀逸なものが多かったですね。
特にLo-DのHS-50はMOMAに置かれてもいいくらいの洗練されたものでした。
今回はそれではなく、パイオニアのCS-X3を入手したのでそれをリニューアルしてみました。
https://audio-heritage.jp/PIONEER-EXCLUSIVE/speaker/s-x3ii.html
パイオニアのCS-X3は1979年頃発売されたもので、小さいながら3.4Kgもあります。発売されたときはオリーブ色でちょっとミリタリー的な感じで他メーカーのものとは、デザイン的に一線を画していました。(その後、写真のカラーも出てきた)
このCS-X3を片方1000円で入手できたので、ギターアンプに改造してみようと思い立ったのです。
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さて、これがその個体です。
流石に50年ほど前のものですから汚いですw
アルミなので、表面の色を剥がしてアルミ鏡面磨きすればちょっとかっこいいロックぽいアンプが作れるかなと^^
分解・磨き
さて分解です
正面にある六角ネジを外していきます。
あれ??
アルミ製エンクロージャーなのに、ネジが木ネジ???
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表のパネルはアルミでできていますが、どうやらその他の部分は樹脂製のようです。多分金属粉末か何かを混ぜ合わせて比重を上げているのだと思います。
表面の色を落としてアルミ地肌を出すわけですが、普通はアルミなのでアルマイト処理をして色をつけるのですが、微妙な色合いを出すためかこの色付けも塗装でした。
リムーバーで塗装を剥がしてグラインダーで磨きます。
グラインダーはナイロンホイールというホイールを使います。台所のスポンジで裏側にちょっと硬い部分があるかと思いますが、そんな感じのホイールです。荒目・中目・細目・仕上げ目のホイールを順番に使っていきます。
それが終わってから、クリームクレンザーで削り目が見えなくなるようにこすります。その後、コンパウンドをかけてつるつるに仕上げます。
アルミ部分は、磨けばピカピカになるのでいいのですが、他の部分はプラスチックなので磨いてもグレーの地肌が出るだけなので、グラインダーで表面を整えるだけにしておきます。
仕上げ
さて、プラスチック部分は余っているカッティングシートがあったのでそれを貼っていきます。
そしてアルミパネルをもとに戻して完成です。
といっても、アンプ基板やギターケーブルのジャックなどを仕込んでいないので、元のスピーカーなのですが。
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あとがき
まあ、うまくいった感じですが、今後、ギターアンプを組み込むわけですが、ツイーターの穴に3Dプリンターでパネルを付けてそこにジャックを組み込む予定。
今回、余っている赤いシートを貼りましたが、黒のカーボン調のシートのほうが良さそうですね。
金属磨きは、ベンチグラインダーだと研磨の方向が一定なので、磨き傷が残りやすいので、ポリッシャーを買ったほうが良さそうです。
半世紀前のものをリメイクして、かっこいいものを作る!
ってのは、なかなかいいものです^^