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ACA 117 -ACAとGAFAの今後-

 2021年。ACAの一挙手一投足にさらに注目したい。
 2月12日(金)、ロシア総合格闘技界の中心的プレイヤー、ACA(Absolute Championship Akhmat)がいよいよ開戦。舞台はロシアの中枢都市ソチ, Wow Arenaにて。入場制限を設けての、有観客興行となった。以下は、本大会であるACA117の所感を書かせて頂きます。

【Ali Bagov vs Elias Silverio】
 今大会のメインイベント。ACAライト級のアイコン的存在であったAli BagovとブラジルElias Silverioのウェルター級ワンマッチ。この試合は、互いのレスリングと柔術がぶつかり合った試合だった。結果として、勝利したのはTDと積極性で上回ったAli Bagov。個人的には2、3R目に有利なポジションをより長くとっていたElias Silverioのが判定勝利を収めても良い試合に感じた。

 ACAの宿命ではあるものの、拮抗した試合で自国の選手が判定勝利した場合、判官贔屓という見方は(特に欧米メディアでは)どうしても避けられない。私は、各国の他団体よりも、はるかにACAは公平なジャッジを下す団体であると思っているが、老婆心ながら気になってしまう。何はともあれ、Ali Bagovがウェルター級という自分よりも身体の大きな相手が集まる階級で、どのようなパフォーマンスを見せるか、注目したい。

【Khusein Khaliev vs Elder Amorim】
 こちらもウェルター級ワンマッチで、ACAライト級の目玉選手であったKhusein Khalievが昨年階級を上げて、ブラジルのElder Amorimに挑んだ形。試合は打撃や組みで、試合を優位に進めたKhusein Khalievの判定勝利。個人的に、空道世界王者のAdam Khalievの弟であるKhusein Khalievがどのように戦うかに注目した。

 両者の共通点は、回転系の蹴り技(後ろ回し蹴りや裏回し蹴り)で相手選手に煙幕を張りつつ、実のところ、本当の切り札はグラップリングで、狡猾にラウンドを取っていくファイターなのだな、と思った。2人はスパーリングパートナーでもあるので、重なる部分が多いのは当然かもしれないが、とても興味深く拝見した。

【Alikhan Vakhaev vs Roggers Souza】
 この試合は個人的に注目していたヘビー級ワンマッチ。ACAの総本山、チェチェン共和国 Akhmat Fight Club所属のAlikhan VakhaevのACA3戦目。対するはブラジル出身で、ロシアや北米の団体にて強豪たちとしのぎを削ってきたRoggers Souza。結果は、Alikhan Vakhaevの1RKO勝利。Vakhaevは身体のサイズやこれまでの戦績も含めて、非常に期待できる選手ではあるものの、まだまだ粗削りな部分は多いなと感じた。今回はスタンド打撃でのKO勝利だったが、仮にUFCと契約したら、190㎝強のストライカー系選手(例えば、フランシス・ガヌーやアリスター・オーフレイムのような)にカウンターのパンチを貰いそうだ。

試合後、凄惨な結末にも関わらず、健闘を称えあう2人の姿が非常に清々しかった。

【Dzhikhad Yunusov vs Leonardo Limberger】
 今大会、最も印象的だったのはこの試合。フェザー級ワンマッチ、ロシア(Dzhikhad Yunusov)vsブラジル(Leonardo Limberger)らしい、独特の緊張感があった。1Rは互いに手数が少ない(間合いの取り合いで手数を出すことが出来ない)展開。2R徐々にレスリングで試合を創りつつあったDzhikhad Yunusovが片足タックルで金網に押し付けた状態からの、バックスピンエルボー!今大会の実況では、このKO決着のさまを「Ladies and gentlemen, This is ”Jon Jones” STYLE!!」と言っていたが、まさにその通りだなと思った。これが、総合格闘技。

 余談だが、今大会の実況担当はいつものBryan Lacey(イギリス出身で、コメディアンでもある)ではなく、英語が話せるロシア人ACAスタッフが代打で実況を務め、選手インタビューも直接英訳する、というような形をとっていた。昨今のロックダウンの影響だろうか。コロナウイルス禍の一日も早い終息を願う。


 ACAにとって、今年は勝負の3年目だ。
 団体の発展はもとより、内政面で基盤の安定化、外交面でネットワークの強化が求められる。ご存知の通り、ACAは前身のACB(Absolute Championship Berkut)とWFCAが合併した事により出来た団体であるが、ファイナンシャル面ではACBがWFCA(チェチェン共和国の公的総合格闘技団体)に吸収合併された形とみてよいのかもしれない。つまり事実上、ACAはロシア連邦内のチェチェン共和国という自治体(国)が運営する総合格闘技団体であるとも読み取れる。それが良い事なのか、悪い事なのか、私には分からない。

 一つの事実として、YouTube(を運営するGoogle)は、ACAの公式チャンネルを丸ごと削除した。過去の大会の公式映像は、現在一切視聴できなくなっている。チェチェン共和国との結びつきの強い、ACAを危険因子とみなしたのだろうか。まるで、GAFAがトランプ前大統領の公式SNSを全て検閲・削除したニュースと重なる。闇は深い。

何はともあれ、2021年。ACAの一挙手一投足にさらに注目したい。

今年もACAスタッフが創る、#LessShowMoreFighting な世界を楽しみにしている。

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