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インタビューをそのまま真似る

國弘先生の英語プログラムの録音が見つかりました。本当にYouTubeにアップしてくださった方に感謝です。懐かしい思いが込み上げてきました。

そう、今やNHKのラジオやテレビの英語プログラムは、夥しい数にのぼるようですが、昔はかなり限られていたと思います。どちらかというと、英語に親しんでもらうという傾向で、やさしい表現を使ってコミュニケーションを取ることを目指す番組が多いようですが、最近番組から引退された杉田敏先生の番組は、格調高いビジネス英語を目指すものでした。國弘先生のここでご紹介する番組は、そのような趣があったと思いますが、杉田先生の番組とも異なるのは、毎回主に英語ネイティブスピーカーで、さまざまな分野の権威と言われるような人々を招いてインタビューを行うというものでした。

今にして思えば、その時使ったテキストブックを保存しておけばよかったと思いますが、30分ほどのインタビューのスクリプトが掲載されたものでした。大学時代に、英語バカみたいな数人の仲間と集まって、このインタビューの「完コピ」をしていました。

まるで、インタビュアーである國弘先生とゲストの役をそれぞれに振り分け、NHKの番組を役者になったつもりで真似してするというものでした。特定の表現を現在に至るまで覚えているということではないのですが、格調の高い英語に触れながら、そのリズムやストレス(出てくる単語中に強く読むところ)などを意識しながら何度も練習することで、英語に慣れたという記憶があります。現在は、これを思い出しながら、大学では、英語スピーチを使って、学生諸君にスピーチの「完コピ」をしてもらうという授業を展開しています。こういう発想に至った原点は、國弘先生のこの番組だったんだと思います。

聴いてお気づきの方もいらっしゃると思いますが、國弘先生の英語は、アメリカ英語の影響を大きく受けているとは思いますが、ネイティブスピーカーのそれではないことが分かります。しかし、英語という道具を駆使して、海外のエキスパートと堂々と渡り合っているといった「サムライ英語」的な響きを私は感じます。ご本人は、「僕の英語は、職人英語だよ。理屈はよくわかってないけど、俺に任せれば家はちゃんと建つよ」と江戸っ子らしい啖呵を切られたことを思い出します。同時通訳者として、いくつのも「修羅場」をくぐり抜けたこられた矜持であったかなと思います。

國弘先生の本に出会ったから、50年以上が過ぎてしまいました。改めてこのインタビュー番組を聴くと、自分が大学時代に目指していたところまでは到底達していないなと反省しつつ、「まだやらなきゃいけないことは沢山あるのだ」と今後の英語との格闘を楽しもうとする気持ちにもなれます。

次回は、少し遡って、私の本当の「英語事始め」についてお話ししたみたいと思います。(続く)

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