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振返りシートの効用

久々の投稿になりました。コロナ禍発生以来大学でのオンライン授業が本格化しました。その割と早い段階から導入した「振返りシート」を授業前に読むことが習慣となりました。自分が授業で伝えたいと思ったメッセージを学生はしっかり受け止めてくれたのか、授業内で行ったグループワークなどの活動はどうだったのか、授業に対する要望、苦情は何かを知る絶好の機会となっています。今回は、この「振返りシート」について書いてみます。

振返りシートとは
これは授業後2日以内を期限として、毎授業後にすべての学生から課題として提出してもらうオンライン形式のアンケートです。リアクションペーパー(略称は「リアぺ」)などとも呼ばれています。内容は至って簡単で、質問は3つだけ。「今日の授業で重要だと思えたこと、役に立つと思えたことは何ですか?」、「質問は?」、「要望事項は?」。最初の質問は、授業の中で自分が伝えたことが、学生諸君に正しく伝わっているのか、私が伝えたどのトピックス、部分に興味がわいたのか、あるいはわかなかったのか、あるいは授業内で行った活動、使用した教材に対する評価や感想を把握するためのものです。質問と要望事項については、前向きの質の高いものを多く投稿した者には、成績評価上で高い評価を与えるということを伝えています。一人の学生が抱いた質問や要望は、多くの場合、他の学生も抱いている可能性が高いと考えているからです。

振返りシートをどう使うか
毎回の授業では、前週の授業後に書かれたコメントに対し、授業の冒頭でフィードバックを行うことにしています。皆の授業感想(アンケート項目1)に書いてあるすべてのコメントについてフィードバックすることはしていませんが、注目すべきものがあると、また質問や要望事項については、極力全てのものに対して回答するようにしています。このオンラインフォーム(Google Formsを使っています)によるコメント収集では、集まったコメントをクラス別、学生指名順などでソーティングしエクセルなどに落とし込んで表作成ができるので、非常に効率的です。オンライン以前の紙のアンケートでは、なかなかできないことでしたので、そもそもアンケートを毎授業時にとることもしていませんでした。
この試みにより、学生との対話は、量的にも質的にも充実してきましたし、授業改善により早く結びつけることができるようになったと自負しています。

対面授業とオンライン授業は対立するものではない
今回の振返りシートは、いわばコロナ時代を通して行ったオンライン授業の副産物と言えますが、そのプロセスの中で、対面授業の良さとオンライン授業の利点は、競合するものではなく、共存し活用し合えるものだという確信を得ました。以前紹介したことのある、さまざまなオンラインアプリ活用により双方向性の高い授業は、対面授業が中心となった現在も行っています。具体的には、対面授業の教室でZoom授業を行っています。以前の板書は、オンラインアプリ「Google Jamboard」に代わり、逐次授業内で行う小クイズ、アンケート(いずれも授業内容の理解を短時間で確認し、授業の展開につなげるためのもの)を利用しますが、これらはZoomのチャットに必要となるリンクを送ることで容易に実現できます。今後は、冒頭に書いた「対面授業とオンライン授業は対立するものではない」を念頭において、授業実践例を発表していこうと思っています。


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