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タロサックとO君:英語環境に身を置くことにコミットする

インターネットは面白い出会いを与えてくれます。Noteの記事を一本書いてYouTubeを見に行ったら目に入ってきたのが、このタロサックさんでした。ほんの10数分前に記憶が曖昧で、彼のどの動画を見たかについて定かでないけれども…いや思い出しました。最初に見たのは、彼がどうやってYouTubeで30万人登録に辿りついたかについての動画でした。

タロサックさんは自律的学習者の典型

英語うまいなぁと思ってみていたら、動画の途中で別の動画を紹介していて、それが「英語力ゼロの馬鹿から英語ペラペラに」でした。この中で、タイトル写真にあるように、彼は「自分の身をできる限り英語環境に置く為の努力ができるか」を英語力を伸ばす1番のカギだと言っています。具体的には、ぜひ動画をご覧になることをお勧めしますしますが、私が感じたのは、今は、私が英語学習を始めた50数年前に比べれば、その気になれば自分を英語に触れる環境におくことは何十万倍を容易になっていると思います。ネットの恩恵が大きいと思います。

タロサックさんの語りからはわからないのですが、英語を覚えたい、海外に行きたいという強い気持ちを彼が持つには、それに火を点けた人がいるのではないかと思います。幸いにも大学で毎年300〜400人くらいの学生さんと付き合う立場にありますので、その中の何人かの人にとって、後から考えて「戸田先生に火を点けてもらった」と思い出してもらえる存在になるように、頑張ろうと思いました。

心に火が点いてやる気になれば、その人は自分で自分の学びを切り拓いていけるのだと思います。この「自分で自分の学びを切り拓いて」いける学習者を学問の世界では自律的学習者(autonomous learners)と呼んでいますが、私のやっている言語教育の世界でも、教育上の大きな課題が、この自律的学習者の育成です。よく学生諸君に伝えるのですが、彼らと一生そばにいて英語指導できるわけではないので、私の言った言葉や学習方法の一つでもが、彼らをやる気にさせ、自律的学習者になるきっかけになってほしいと強く思います。

思い出す学生O君のこと

コロナ禍が襲ってきて初めての学期に、ある大学での私の授業を受講したO君は、自律的学習者の典型でした。彼が受講したクラスは、私がスピーチを使って行う授業でした。具体的には、Steve Jobsのいくつかのスピーチを、本人になったつもりで(モノマネ芸人の人たちが本物をそっくりに真似るように)真似ることを課題として課す授業です。

決してネイティブ至上主義というわけではなく、本物の英語を真似ることによって、英語の音、リズム、ストレスや音の変化などを徹底的に真似ることで、彼らの話す英語がより伝わりやすくなるようにという趣旨で指導しているクラスです。

課題は、スピーチの中の1分間程度を「真似して」、それを録音した音源を私に提出するというものです。(課題としては、甘いと思われるかもしれませんが、びっくりするほど本物に近づけるには、相当な努力、練習が必要です)その中で、O君の出来は出色でした。彼がどれだけ変化したかを示すのが、下に示す音源です。1:08あたりまでが最初の学期(春)、それ以降が次の学期(秋)、5ヵ月後くらいです。秋学期の音源を聴いたときは、同じ人のものとは思えませんでした。

彼に後できいたところ、私のクラスでは「100点取るぞ!」と決めて、おそらく100時間くらい準備したと言ってました。その間、ネイティブの友人にもチェックを何回をしてもらったとのことでした。学生の時に、こういう、いい意味で「馬鹿みたい」に何かに熱中することも必要かなと思わせてくれました。彼の大きな自信につながったわけで、本当によかったなと思っています。教師として嬉しい瞬間です。

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