インスタレーション:羽ばたきの結晶
Temporal Installation Design
自分発信でデザインを発表する機会をこのように書くのはどうすればよいのか。いやそもそもお前誰だよ的な状況で書き始めるのはどうしたものだろうかと思いつつ、それでも自分で書くことで自分自身を見つめなおすことが少しでもできればという思いでお届けしております。
今あるコンペでインスタレーションのデザインの設計をしています。
新潟十日町市というところで行われる3年に一度の芸術祭なのですが、越後妻有トリエンナーレというイベント。
まだ当選されたわけでもなくデザインできる機会があるわけでもないが、できればこの場をお借りして街をデザインしていきたいという。楽天的で楽し気な街の中で思い描くストーリーを展開出来たらと奮闘中です。
私たちは街の文脈を大きく捉え、何を作りたいのか、なぜこの形なのか、色なのか、空間として何を想像できるかということを深く突き詰めました。数学やシミュレーションであらゆることが予測できるようになったこの時代だからこそ、この場にきて体験してもらえるここでしか味わえないようなものって何なのだろうか。私たちなりに考えてみました。
コンセプトの主軸に、羽ばたくヤタガラスと鈴木牧之という方の「北越雪譜」という題材をこの地のローカルなコンテクストを織り交ぜ、考えていきました。
「北越雪譜」という書物なのですが、鈴木牧之という方が描かれた雪の結晶の形を描いた図が何通りも描かれているんです。雪の結晶はフラクタル(数列のようにモジュール化された形がある規則をもって無限につくり続けられる形態生成のプロセスのこと:後程解説)ですがその形そのものをモチーフとしてこのインスタレーションに応用できないかと考えました。
そして大自然に囲まれた大きな空飛ぶカラスがとても神秘的に見え、守り神のような自然の淘汰される光と闇を映し出す美しさとその裏側の儚さを表現する、そんな空間を目指しました。