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聲
脳裏に焼きついて離れない、あの日の光景。
凍てつく3月の海風。
岸壁に打ち寄せては戻る波の音。
辺り一面に張られた規制線。
真っ暗な港を照らす赤色灯。
青ざめた父。
海面をぷかりぷかりと漂う母の背中。
母が殺害されて24年もの月日が流れたが、昨日の事のように鮮明に覚えている。
なのに何故だろう。
月日が流れる度に、母との思い出は薄れていく。
正直、優しい母の声をもう思い出せない…
今聞こえてくるのは、あの日の悲痛な叫び。
叶うのならもう一度、優しく「ひろくん」と呼んでほしい。
36歳にもなって、マザコン過ぎるかな笑