今週のモバイルアプリ関連ニュースまとめ Vol.4(2/21週) | Weekly Mobile Update
今週の注目ニュース
FacebookにReels機能が登場しクリエイターの収益化を後押し
既に傘下のInstagramでは2020年8月に同機能をリリースしていたが、(遂にと言うべきか今更と言うべきか分からないが、)Facebook本体でも同機能がリリースされた。
Facebook Reelsでは、Instagramと同じく最大60秒のショート動画が作成可能で、クリエイターはReels内にステッカー広告を掲出したり、チップ機能にあたるスター機能を介して投げ銭を得るなど、クリエイターのマネタイズとFacebookの売上増加が主眼に置かれた機能になっている。
一方の元祖ショート動画アプリであるTikTokは、旧来1分間が上限であった動画時間を3分に延長すると昨年8月に発表しており、現在も5〜10分などより長尺の動画のテストを実施している。
背景には、挿入できる広告数・種類の上限や、クリエイターが動画作成の自由度を求めている2点があり、TikTokはより長尺に移行することで広告主・クリエイターを惹きつけることを意図している。
SNS業界では各プレイヤーがショート動画の強化を行っている一方で、VOD業界からもYoutubeがYoutube Shortsの激プッシュ・Netflixがモバイルゲームのリリースを行うなど、エンタメ領域における可処分時間の奪い合いは年々加熱しており、今後どのようなプレイヤーがどのような手段でアテンションを獲得していくかは注目に値する。
欧州 マッチングアプリが1分あたり1600ドル売上 昨年比で既に30%成長
SensorTowerが欧州におけるマッチングアプリの利用動向をまとめたレポート「The State of Dating & Social Discovery Apps in Europe 2022」を発表。
月別の売上は年々成長しており、2022年現時点の売上は前年比30%成長、1分毎に1600ドルの売上が創出されているとのこと。
一方で、新規ダウンロード数は2020年のパンデミック以降は漸減傾向にあり、2022年は2021年からほぼ横這いの推移が予想される。
これはつまり、ARPU・MAUのどちらか、もしくは両方が増加していくことを表しており、実際急成長を続けるHinge・Bumbleは両指標において継続的に成長を続けている。
一般に、出会うことで退会 = アクティブユーザー数の減少 に繋がるマッチングアプリにおいて、新規獲得数が減少してもアクティブユーザー数が増加していくアプリが存在する背景には、欧米における多くのマッチングアプリが「恋人探し」だけを目的としているわけではない点に起因するのではないだろうか。
例えば、上記でも取り上げたBumbleや、先日Bumbleが買収したFruitzでは、「真剣な関係性」・「友達探し」・「カジュアルな関係」・「ビジネスネットワーキング」など様々な目的のユーザーのマッチング体験を提供している。
「マッチングアプリ疲れ」が加速する中、ユーザーのサービス利用の目的・期待値を事前に明確して最適なユーザーとマッチングさせる思考が重要になっていると感じる。
より詳しい解説はポッドキャスト、「#97 世界のマッチングアプリ市場を制すのはTinderかBumbleか」か「#98 欧州 マッチングアプリが1分あたり1600ドル売上 昨年比で既に30%成長」を参照頂きたい。
インド タタグループのスーパーアプリは前途多難
インドのコングロマリットであるタタグループは同社のグループ企業のサービスを集約したスーパーアプリ「TataNeu(タタ・ニュー)」を2021年中に公開する予定だったが、関係者によると頻発するバグや非現代的なUIに悩まされ公開に踏み切れていないようだ。
「TataNeu(タタ・ニュー)」には、食料品・日用品の購入、金融ソリューション、ホテル・飛行機の予約などの機能が統合されている他、各サービス利用に応じてタタグループが発行するポイントである「NeuCoin(ニューコイン)」を得ることができる。
旧来サービスごとにバラバラであったポイントプログラムの「NeuCoin」への一元化を意図しているが、ポイントの取得は「TataNeu」を用いなくても、各サービサーから直接可能になっており、消費者にどこまで普及するか、そしていつリリースされるのかは見通しが立っていない。
スーパーアプリは各地域において運用事業者の業種やその広がり方に大きく特性がある。今回のニュースに絡めてAPAC・アフリカのスーパーアプリの特性の差異に関して解説したポッドキャスト「#98 インド タタグループのスーパーアプリは前途多難」はこちら。
Google モバイルアプリのプライバシー・コンプライアンス診断サービス”Checks”発表
Google内のインキュベータ組織”Area 120”は、モバイルアプリのプライバシー・コンプライアンス診断サービスとして”Checks”をリリースした。
“Checks”では、自社のプライバシーポリシーがGDPRなどの規定に準拠しているか・利用しているSDKが規定に違反していないかなどを診断してくれるサービスになっており基本利用は無料。
プランに応じて、診断対象になるアプリ数や範囲が異なり、最上位プランであるEnterpriseプランでは人力によるカスタマイズされたレビューを受けることも可能になっている。
昨年のGoogle I/Oでは、導入SDKのクラッシュ・バグの統計・安全性レポートをまとめた「Google Play SDK Console」機能リリース予定を発表しており、今後も自社のアプリ機能だけでなく利用SDKなども含めた安全性を担保するための機能はリリースされていくと予想される。
現在、”Checks”はこちらからアーリーアクセスの申し込みが可能になっている。
Appsflyer “The State of Gaming App Marketing“ 発表
Appsflyerがゲームアプリの統計情報をまとめたインフォグラフィック「The State of Gaming App Marketing」を発表。
個人的に注目したデータは各国のインストール数成長率比較。
以下の図からも既に欧米・日本においてはインストール数は頭打ちになっており、代わりにMENA・東南アジア・南米などのモバイルフロンティアの伸長が著しいことが分かる。
モバイルフロンティアにおけるプライバシーへの向き合い方も傾向が異なり、昨年4月末に施行されたATT(App Tracking Transparency)のオプトイン率は日本では47%なのに対して、ベトナムでは65%と非常に高い数値になっている。
また、全体でのATT実装率は68%になっており、以前調査したATT実装率と大きな差がなく、ほとんどの主要なアプリは実装済みであるのが窺える。
リテンションレートでは日本は他国と比較しても高い水準にあり、ベンチマークとして参考になる。
参考記事・リソース
モバイルゲームのガチャシステムの現状と未来
モバイルゲームのガチャシステムの分類と分析がされた記事です。
売上上位100のモバイルアプリにおけるガチャシステムの採用割合は米国では66%であるの対して、流石元祖ガチャ国家の日本では92%に跳ね上がるそうです。
ガチャの事例として日本のゲームも取り上げられており、どのガチャがどのようなユーザーに対して最適なのかをメリット・デメリット含めて解説されており参考になります。
ガチャは常に法規制と背中合わせのシステムですが、今後もその傾向は続くと予想され、収益性とユーザーへの透明性を両立するガチャシステムを模索するのが今後必要になるとしています。
2022年のモバイルアプリデザインのトレンド予測
TechMagicによる2022年のモバイルアプリのデザインのトレンド予測記事。
ダークモードはApple・Google両社ともに普及に力を入れていますし、今年はいよいよ音声インテクラション・顔認証などの非テキスト認証がガッツリトレンドで来そうな気もする…
アプリ内での拡張現実体験も今年はエンタメ領域で特に伸長するんじゃないでしょうか…
グローサルデリバリーアプリ”Zepto”のグロース施策解剖
現在投資が加熱しているインスタントデリバリー業界のサービスである”Zepto”のアプリグロース施策の解剖記事。
所謂ARRRAモデルに沿って、各ステップでどのような施策を行い次のステップに進むことを阻むフリクションを低減しているのかを事例ベースで取り上げていて参考になります。
兎角差別化が訴求しづらいデリバリー領域において、USPを認知から利用開始まででどのようにプロモーション・プロダクトで伝えるべきかを解説しているため、一読の価値ありです。
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