iOS15新機能「in-app events」仕様と想定活用方法の検討
■ はじめに
こんにちは!Reproの稲田宙人(@HirotoInada)です!
先日開催されたAppleの開発者向け会議では今年もアップデート内容が盛りだくさんでした。(まだアップデート内容をチェックしていない方はこちらをご覧下さい!)
今回はその中でも、iOS15から登場するアプリ内で実施するイベント情報をAppStoreでプロモーションできる「in-app events」機能に関して、詳細の仕様を自分用に調査したので、想定活用方法も含めてまとめます。
尚、本noteの内容はあくまでも自分の調査メモだったので、本文の文体は「である」口調など堅苦しいですがご了承ください 🙇♂️
1. 「in-app events」とは?
■ 機能概要と期待される効果:
旧来の課題:旧来アプリ内で期間限定のイベントなどを行っていても、その情報を伝えられる対象は既にアプリを利用している既存ユーザーが主だった。
・iOS15から登場する「in-app events」では、アプリ内で実施するイベントをAppStore上で連動してプロモーションができるようになる
・これにより、新規ユーザー獲得や休眠ユーザーの復帰などの効果を期待できるように
■ 見え方とユーザー導線:
・「In-App Events」ではイベント情報がカード状になっており、検索結果やアプリ詳細ページで表示がされる。
・ユーザーはカードをタップしてイベントに関する通知を受け取る設定を有効にしたり、アプリをダウンロードして直接アプリ内のイベントページに遷移することが可能になる。
Source:Meet in-app events on the App Store
2. 仕様
■ 掲載箇所:
「in-app events」は以下の箇所に掲載がされる。
・プロダクトページ
・検索結果一覧
・Apps/Gamesタブのレコメンドセクション
・Todayタブ
・AppStoreのウィジェット
アプリ詳細ページ(プロダクトページ):
・アプリを既にダウンロードしているユーザー(ダウンロード済み・ダウンロード経験あり)には、スクリーンショットよりも先に表示される
・アプリを未インストールのユーザーには、セクションが分かれスクリーンショットの下に表示される
Source:Meet in-app events on the App Store
検索結果一覧:
・アプリを既にダウンロードしているユーザー(ダウンロード済み・ダウンロード経験あり)には、イベントカードのサムネイルが表示。
・アプリを未インストールのユーザーには、通常のスクリーンショットが表示される。
Apps・Gamesタブ:
・「Events You Might Like」のセクションでパーソナライズされたイベントのおすすめ情報が表示されるように。
Todayタブ:
・Apple編集チームがイベントを選定する・通常のフィーチャーと同じ。
Source:Meet in-app events on the App Store
■ メタデータ:
In-App Eventsは検索結果で表示されるサムネイル形式の「event card」・カードをタップするとエクスパンドする 「event details page」の2つの要素が存在する。
In-App Eventsは以下のメタデータで構成される。
イベントバッジ:
・イベントの種類を以下より選択
・「チャレンジ」「競争」「ライブイベント」「メジャーアップデート」etc
イベント名:
・イベント名を最大30文字で記述
簡単な説明:
・イベント情報の要約を最大50文字で記述
詳細な説明:
・イベント参加による報酬などの詳細な情報を最大120文字で記述
※ 「event details page」のみで表示される
イベントカードメディア:
・アプリ内イベントを表す画像か動画を添付する
・動画は最大30秒でループ再生され、ポスターフレーム(サムネイル)設定が必須
Source:Meet in-app events on the App Store
上記はユーザーから見えるメタデータであるが、加えてユーザーからは見えない以下の要素を設定する必要がある。
イベントの実施期間:イベントの実施期間・公開期間の設定が必要
イベントページへのディープリンク:アプリ内の当該イベントページへのディープリンクが必要
イベント参加にかかる費用の有無:イベント参加にアプリ内課金などが必要かの設定が必要
イベントの目的:イベント告知をなぜやるのかを選択する
イベントの優先度:イベント告知の優先度を設定する
■ イベント開始の通知:
・ユーザーはイベントが開始したタイミングで通知を受け取れるように、イベントカードから通知を設定できる。
・通知は当該アプリではなくAppStoreから送信される。
・アプリインストール済み:プッシュ通知を開封するとアプリの当該イベントページに直接遷移する。
・アプリ未インストール:イベントカードに遷移する。
■ イベントカードへのリンク:
・イベントカードへのユニークの直接リンクを発行することが可能。
・リンクをタップしたユーザーを直接イベントカードに遷移させることができる。
■ ユーザーへの公開フロー:
・イベントカード公開はイベント実施の最長2週間前から可能。
・イベントカードが公開された時点からAppStoreで公開がされユーザーは見つけることができるように。
・イベント終了後は検索・探索には引っ掛からなくなるが、イベントカード詳細へのリンク自体はイベント終了後30日間は有効。
Source:Meet in-app events on the App Store
■ キャンペーンステータス:
・全てのイベントはAppStoreの審査が必要になる。
・バイナリ提出やバージョンアップデートは必要なく、メタデータを埋めた時点でいつでもレビューへの提出が可能。
・承認済みのイベントは10個・公開中のイベントは5個までが同時に設定可能。
・どちらかの制限に引っかかっている場合は追加でレビューに提出できない。
Source:Meet in-app events on the App Store
■ 管理APIのリリース予定:
・イベントページの設定を全て自動で行うことができるAPIである「Full API Support」を今年後半にリリース予定。
3. 施策運用方法
A:設定・公開
AppStoreConnectを用いて設定を行う。
Source:Meet in-app events on the App Store
■ イベントの実施期間:
・イベントの実施期間・公開期間の設定が必要。
・イベント開始・終了はアプリ内での実際イベントが行われる期間を指し、最長で31日・最短で15分の実施が可能。
・イベントの公開期間はAppStore上でイベントカードをプロモーションする期間を指す。
・イベントカード公開はイベント実施の最長2週間前から可能。
■ イベントページへのディープリンク:
・アプリ内の当該イベントページへのディープリンクは、無駄なリダイレクトなどを挟まないように短縮ツールなどは用いないこと。
■ イベントの目的:
・どのイベントの目的を選んでも全てのAppStoreユーザーに対して検索は有効。
・イベントの目的設定は、あくまでもAppStoreがユーザーにイベントをレコメンドする際に考慮される。
Source:Meet in-app events on the App Store
■ イベントの優先度:
・イベントの優先度は「High Priority」に設定したイベントは「Normal Priority」のイベントよりも順番が先にアプリ詳細ページで表示される。
・「Normal Priority」の複数イベントが存在する場合は、イベント開始日時でソートされる。
B:効果計測
AppStoreConnectのAppアナリティクスで以下各種数値を確認可能。
インプレッション数:どの面でカードが表示されたのかをドリルダウン可能
イベントページの開封数:イベント詳細ページをタップしたユーザー数を計測可能
ダウンロード数:カード経由で再ダウンロード・新規ダウンロード数がどのくらい発生したかを計測可能
4. 想定活用シーン
イベントの種類×イベントの目的 の2軸で検討する。
基本的にはゲームアプリでの活用が想定されるが、コンテンツ系での新作発表などにも使えそう。
導線も新規・既存関係なく動作するので、どちらかに偏重したUXというわけでもなさそう。
ただ、効果計測の設計や通常のユーザー導線を考慮すると、復帰ユーザー側へのインパクトは小さくなることが予想され、新規ユーザーに関してもゲーム以外ではイベント目当てで流入する量はそこまで多くないと考えられる。
どちらのユーザー群にアプローチするにしても、絶妙に中途半端な機能なので、使い方は結構難しそう。
■ イベントの種類
1. チャレンジ:ゲームの特定イベントのクリア促進など
2. 競争:ゲーム内でのトーナメントイベントなど(リワードの有無に関わらない)
3. ライブイベント:スポーツの試合やライブストリームなどのリアルタイムでの体験
4. メジャーアップデート:大幅な機能拡張や新機能の提供など
5. 新シリーズ:ゲームの新シリーズやドラマの新シリーズなど
6. プレミア:メディア初公開のコンテンツなど
7. 特別イベント:上記複数のイベントバッジが該当するような特別な体験
■ イベントの目的
1. 全ユーザー対象
2. 新規ユーザー獲得
3. 休眠予備軍への最新情報提供とアクティブ化促進
4. 休眠ユーザーの復帰促進
①ゲームアプリ:
・チャレンジ×1. 全ユーザー対象
・競争×1. 全ユーザー対象
・ライブイベント×1. 全ユーザー対象
・メジャーアップデート×3. 休眠予備軍への最新情報提供とアクティブ化促進・4. 休眠ユーザーの復帰促進
②コンテンツアプリ(VOD・マンガ):
・新シリーズ×1. 全ユーザー対象
・プレミア×1. 全ユーザー対象
③ライブストリーミングアプリ(スポーツ・音楽):
・ライブイベント×1. 全ユーザー対象
④その他アプリ全般:
・メジャーアップデート×3. 休眠予備軍への最新情報提供とアクティブ化促進・4. 休眠ユーザーの復帰促進
最後に
以上「in-app events」機能の仕様詳細と想定される活用シーンの検討メモでした。
自分用のメモの展開なので読みづらい点が多いかもですが、機能の全体感を掴んで頂けたのであれば嬉しいです。
想定活用シーンでも記載しましたが、「in-app events」はその効果計測できる指標や、想定されるユーザーの導線を考慮すると、少し使いどころが不明確な機能である所感です。(特にイベントごとに審査がいるのはめんどくさい)
ただ、ゲームアプリやコンテンツ系のアプリであれば活用は可能かと思うので、iOS15リリース時には検証をしてみる余地はあるのではないでしょうか。
ぜひ、みなさんの想定する活用方法なども意見を頂けると嬉しいです!
以下、「in-app events」機能に関する参考リンクです。
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