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#64 故意に見逃された融資詐欺

8月25日 保釈。
9月17日 第一回公判が開かれることになりました。

初公判の前に公判前整理手続は、4回行われました。

公判内容の詳細については、法律用語を交えながら郷原弁護士の著書に詳しく書かれています。

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9月4日。公判前整理手続の4回目が終了。
第一回公判は9月17日の午後4時に開かれることが決まりました。

初公判を前に、弁護団は異例の刑事告発を行いました。
中森氏を有印公文書偽造・同行使、詐欺の事実で名古屋地検に告発したのでした。これらの事件は、中森氏が明らかに犯していたにも関わらず警察・検察が捜査を行っていなかったのでした。

郷原弁護士のブログを勝手ながらに要約すると、
(詳細はこちらをご覧ください → <「弁護人による告発」と「司法取引」制度の導入 ~悪質融資詐欺の告発で虚偽の贈賄自白の背景に迫る~>)

中森氏は、合計4億円に迫る金額の何件もの詐欺をしていていたにも関わらず、たったの2件、2,100万円分の起訴しかされていませんでした。この2,100万円という金額は、有罪となっても執行猶予が付く可能性のある金額だということでした。
検察は、この2件しか立件、起訴しなかった理由を「被害届が提出されていないから」と説明しました。そのため、郷原弁護士が地元の金融機関に質問状を送りました。するとその回答は、「個別の融資案件についてはお答えできない」というものでした。
詐欺の被害に遭っておきながら、被害届を出さないということは、詐欺師をそのままのさばらせてしまうことになり、あり得ないことです。そうできない何らかの理由が、金融機関にあったのでしょう。
また、不可解なことに「藤井に対して賄賂を供与した」という内容の贈賄自白の上申書が作成された直後に、融資詐欺の捜査が終了していたのです。まるで、賄賂を渡したことを話す代わりに、多額の融資詐欺の罪を見逃してもらったかのような捜査の流れになっていました。
更に、その起訴されていない融資詐欺の中には、美濃加茂市役所が巻き込まれている案件もありました。中森氏は市役所の担当者と浄水プラントの設置についての話をしている最中に、手に入れた資料をもとに書類や印鑑を偽装し、工事が既に発注されているかのように偽り、金融機関から合計4,000万円の融資を受けていました。
それにも関わらず、この事件は捜査すらされていなかったのでした。

弁護団は、この美濃加茂市を巻き込んだ4,000万円の融資詐欺を検察庁に告発しました。この告発は、10月20日付で検察により起訴されました。
半年以上も前に、詐欺の事実を把握しておきながら、何もしてこなかった検察の判断は怠慢と言うより、不当に中森氏を優遇していたと考えざるを得ませんでした。
検察は追加の起訴を回避する理由を探したのでしょうが、どうしても見つからなかったので、やむを得ず起訴したのでしょう。

公判初日、多くの人が裁判所に並んでいました。家族には席が確保されましたが、傍聴席の数は決まっていたため、美濃加茂市から駆けつけてくれた支援者の皆さんや親戚は列に並び、くじ引き抽選を行なっていました。
私は、名古屋地方裁判所の隣にある愛知県弁護士会館の窓からその様子を見ながら、弁護団の先生方と待機していました。約80の傍聴席に対して300人以上の人が並んでいたとのことでした。

法廷内、裁判官に向かって左手に弁護団と私が座り、向かい側には、検事3名。
私を何日も取り調べたK検事は不在。その代わりに見たこともない女性検事1名、男性検事2名がいました。

裁判官が一段高い入り口から法廷に入ってくると、法廷内の全員が起立し一礼し、裁判が始まりました。
裁判長が少し話をすると、検察の主張が始まりました。
厳粛な法廷。裁判官、被告人の私と弁護団、そして多くの人の面前。検察は、このでっち上げ事件の主張を、どのような論理で、どのような証拠をもとに展開するのか。

私は怒りを抑え、検察の一言一句に聞き入りました。

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