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#24 目つきの悪い29歳市長、危うい手腕

6人の弁護士団の先生方の時間をずらしながらの来訪。そのたびに取調べが中断され、私は冷静さを取り戻す時間を持つことができました。

一方で留置場の外では、通常では考えられない弁護活動が繰り広げられていました。何もできない無力な自分にとって、これほどまで頼もしいものはありませんでした。

そして、そんな活動が必要なほど、私を犯罪者扱いする新聞報道であふれかえっていました。

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「ここまで来たら裁判は免れないでしょう。裁判で潔白を明らかにすることと、美濃加茂市民の皆さんに正しい情報を発信していくことの両方を重視していきたいと思っています」
弁護団の活動方針が伝えられました。
私は弁護士に依頼できることは、裁判に関わることだけだと思っていたので被疑者としての立場だけではなく、「美濃加茂市長としての立場」を考えていただけること。そして、「市民の皆さんへ、市長としての立場から情報を発信していく」ことを大切にしていただけることに正直驚きました。

警察にも検察にも、裁判官にも、裏切られ、途方に暮れていた私にとって、弁護団の活動方針は唯一の希望でした。

任意同行されて以来、私の最大の気がかりは、美濃加茂市、美濃加茂市役所のことでした。

【市長逮捕】

そんなニュースを目にしたら、
「市長が悪いことに手を出した」
「政治と金の問題は、うんざりだ」
「結局、政治家は信用できない」
そのような意見が出てくるのが普通の反応だと思います。

今でも"政治家のスキャンダル"を目にすると、私でさえ、その報道を鵜呑みにしてしまいそうになります。ましてや週刊誌などで報じられるのではなく、警察が実際に逮捕しているとなると、その報道をそのまま受け止めてしまうのは仕方のないことだと思います。

そのような絶望的な状況の原因である誤解を解くために、私は自らのメッセージを市民の皆さんに届けたいと強く願っていました。しかし、それを許さないのが、身柄の勾留、接見禁止という条件でした。

そんな私に代わって、弁護団は頻繁に記者会見を開催し、記者からの取材に積極的に答え、弁護団としての発信を続けてくれました。特に、郷原弁護士によるブログや動画の配信、インターネット番組への出演などは、多くの市民の皆さんや関係者に届いていたようでした。新聞やテレビの報道では取り上げられない内容や事実、事件を取り巻く捜査機関や裁判所の関係、私が置かれている状況についてなど、多くの情報を入手できる環境を整えてくださっていました。

この時、身柄を拘束されていた私は実際に見聞きすることはできませんでしたが
「郷原弁護士の説明は非常に分かり易かった。事件についての真相は理解しているよ」
後になって、世代を超えた多くの人からそのような言葉を頂きました。

それにしても、逮捕直後の新聞やテレビによる報道内容は酷いものでした。

【選挙前、贈賄側に「金ない」】
【知人同席「渡したと聞いた」】
【取引記録 決め手】
【汚れた人脈】

このような根拠の無い"大きな見出し"が新聞に書かれていたことを、弁護士を通じて知ることになりました。

【藤井氏が中森氏に依頼して現金を受け取った】
【受け取ったお金は選挙に使った】
【同席者の証言が存在している】
【賄賂を渡したという日に銀行口座から出金がある】

そして、いかにも私を有罪と決めつけるかのような記事。これらの記事には、すべて"捜査関係者などへの取材で分かった"と書かれています。
その意味は、情報源が警察や検察であり、彼らの描いた事件のストーリーが、そのまま書き写された記事なのです。

そして、使われる写真も表情が冴えない、目を細めた瞬間の悪そうな顔写真などを積極的に使用するなど、悪意しか感じませんでした。

また、事件と関係のない批判も、一部新聞社は行いました。

【29歳市長 危うい手腕】
【施策 庁内に疑問】

私に"市長の資格が無い"印象を植え付けるための記事でした。

これが印象操作。身をもって知ることになりました。

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