完敗 24‐25第11節 マドリーvsバルセロナ(H)

[情報]

マドリー スタメン


バルセロナ スタメン

システム
マドリー
保持ではベリンガムが内側に入ってルーカスが大外に。非保持ではベリンガムが右SHに戻る442

バルセロナ
433を基本として、保持ではカサドの横にペドリがサポートして4231の配置。非保持ではフェルミンが前に出てプレスに行く場面とヤマルとハフィーニャが外切りでプレスに行く場面があった。最終ラインはハイラインでボールサイド(主にクバルシ)がラインコントロール。

交代
バルセロナ①HT’フェルミン→フレンキー
ペドリがトップ下に
マドリー①63’チュアメニ→モドリッチ
バルセロナ②カサド→オルモ
ペドリが再びボランチ
マドリー②76’カマヴィンガ→ブラヒム
4222に変更。ベリンガムが左、ブラヒムが右のSH(トップ下)
マドリー③85’メンディ→フラン
バルセロナ③87’ペドリ→ガビ

マドリーはキッカーがバルベルデ、ルーカス、モドリッチと変容


[試合]

~流れに乗れない~

マドリーはスロースタートから徐々にエンジンをかけていくということでお馴染みだが、この試合では最初からしっかりエンジンをかけてスタート。開始1分でペドリの左サイドへの展開をカットしてマドリーの左サイドに展開、メンディから縦パスを受けたカマヴィンガのスルーパスにエンバペが抜け出してチャンス。カマヴィンガのポジション取りがよく、クバルシを引き出してエンバペへの対応を難しくした上でのスルーパスだった。オフサイドになったが。

前から人を当ててくるバルセロナのプレス。前から来る時は、ウイングがCB、ボランチをCFのレヴァンドフスキとフェルミンで見る。SBに対してはSBが縦スライドで対処する形。そのため、マドリーはGKからSBへ飛ばしたり、CB経由で単純にSBにつけるなど、SBを第一選択肢としてビルドアップを行なっていく。しかし、SBにボールが入っても次の選択肢がほとんどない。SBの縦スライドによる対応で簡単にはFWのヴィニやエンバペには届けられないし、横にサポートしにくるベリンガムやバルベルデ、チュアメニにもマークがつかれており、彼らがボールを受けられるのは相手を背負った状態であることが多かった。彼らが動き回り、ほぼ一択しかない状況の中で無理やり前進することにトライしていた。トニルカだと、このような時に左に密集して打開してたけどね。でももういないから違う方法を考えないと。

11‘、さっき言ってたSB経由のビルドアップが行き詰まったときに、バルセロナの前への圧力を利用して蹴っ飛ばす選択をする。相手のCBとそれ以外の間延びを利用した形。ミリトンから飛ばしてクバルシが跳ね返したところをエンバペが拾ってシュート。GKが裏のスペースへの対応をするために前に出ていたことを見てのシュートだった。枠の上に逸れるも、想定していてもどうしようもない攻撃パターンでゴールに迫った。

↑の場面によってバルセロナのゴールキックとなり、ここからあわや失点という場面に陥る。少し落ちているフェルミンにリュディガー、レヴァンドフスキにミリトンの状態でクバルシからレヴァンドフスキへ鋭い縦パスが入る。その瞬間にヤマルが斜めに走り出し、ハフィーニャ、フェルミンが前に向かって走り出す。レヴァンドフスキはフリックしてヤマルに通し決定機。この反応速度と連携は練習してきている。マドリーのCBが段差になってでもスタートから前に捕まえにいく特徴を利用された形。
この形は開始直後から狙われていて、イニゴからレヴァンドフスキに当てようとしてパスがズレた場面がこれ以前にあった。ミリトンとリュディガーならやれるとは思いつつも、別に前から捕まえる必要はないんじゃないかなと。

で、次の決定機。自陣深くまで攻め込まれていた中で、バルデに下げたところをベリンガムがスイッチ入れてプレス。GKのペーニャまで下げさせ、エンバペも連携してプレスをかけてパスミスを誘う。これで得たスローインをすぐに始めてカマヴィンガからエンバペにスルーパスを出して横パスでベリンガムの決定機。エンバペがオフサイドということで終わったが、ベリンガムが決めていた場合はどうなっていたかわからない場面。ペーニャにギリギリで止められてたけど。これが13‘から14‘の出来事。
ペーニャのプレス耐性の低さにつけこめていてよかった部分はある。ミスの仕方が「CBへの球出しをミスってタッチラインに出る」だったのはマドリーにとってよかったのかどうか。マドリーとしては高い位置で奪ってショートカウンターの方がゴールの完結しやすかったではと思ったり。

21‘から22‘。またロングボールでひっくり返そうとしたところでヴィニに対してクバルシのファール。そのリスタートから一度CBまで下げてメンディへ。メンディからカマヴィンガ、ヴィニに渡して平行のサポートに来たチュアメニに落とす、ヴィニは裏に走ってチュアメニがスルーパス。ヴィニは背中から追ってきているクンデ、カバーに来るクバルシまで交わしてシュートを打つも、ゴール左に外れる。シュートが力みすぎていた。これは決めたかった。

次は24‘。チュアメニがファールを受けたところからのリスタート。メンディから左に流れたエンバペ。その内側を抜けていくカマヴィンガにパスが出て決定機を迎えるもゴール左に外れる。ずっとメンディとカマヴィンガで決定機を演出している。

29‘、ミリトンが右サイドへのフィードでルーカスに届ける。少し運んでからエンバペにスルーパスでゴールに繋げるもまたオフサイド。このシーンでは、ベリンガムがルーカスの外を回ったからこそ、バルデの守備に迷いを生じさせ、決定機に繋がった。

ここまで。ここまでの中で一点でも入っていればマドリーのゲームだったかもしれない。マドリーはこの時点で、「繋いでからバルセロナのハイラインの裏を突く」「蹴っ飛ばしてヴィニとエンバペの能力に頼る」の2手目まで打ってる。もう次の手はモドリッチのゲームコントロール能力でゲームを変える、ブラヒムでリズムを変えるまで同じ手になる。だからこそ、この時点で少なくて1点、可能なら2点欲しかった。こんな中でも、ギリギリで凌ぎ、自分たちが練習してきた攻撃パターンを繰り出すバルセロナは怖い。
このあとは、バルセロナがいくつかゴールに迫るも、決定的にまではならない場面が続いて前半が終わり。マドリーは蹴っ飛ばし作戦でバルセロナCBを背走させることができなかったために防戦一方。

〜ゲームチェンジ〜

HTでフェルミンに変えてフレンキーを入れたバルセロナ。ペドリをトップ下に配置し、フェルミンを配置していた前半よりもチュアメニとバルベルデに対応させる情報を増やす。ペドリの方がフェルミンよりも自由で頭がいい。アンカーをやっていたカサドの隣にフレンキーを常駐させることでペドリを捨てるか、フレンキーorカサドを捨てる択を迫る。さらに、フレンキーがサリーしたり、ペドリが必要に応じて下がったりして的を絞らせなかった。ここにマドリーが対応しなかったことでゲームの流れが一気にバルセロナのものになった。

53‘にバルセロナの先制弾。ベリンガムがバルデを倒したところのリスタートから。マドリーは戻って442のブロックは組んでる。組んでいるけど、油断した一瞬の場面。イニゴが始めて横のカサドにパス。カサドが少し運んでスルーパス。レヴァンドフスキが簡単に抜け出してルニンと1対1を制してゴール。あまりにも簡単にやられてしまった。
エンバペはマーカーであるイニゴが蹴るのだからカサドをケアすべきであるし、レヴァンドフスキをフリーにしてまでもハフィーニャにマークをつく必要があったのかわからないミリトン。さらに、SBの方がCBよりも後ろにいるおかしなライン設定。防ぎ用があった失点。

で、またミリトンのゴールキックで飛ばして陣地回復を試みる。CBを背走させられていないので簡単に回収されて、前線で追えないので回されて。フレンキーが内に入ってきたハフィーニャとパス交換してルーカスが食いついたところ、大外をバルデが駆け上がって、そこにボールが出る。ベリンガムがついていくも、クロスの瞬間は寄せきれずに簡単にクロスを上げられレヴァンドフスキに頭で合わせられて2失点目。ミリトンとリュディガーの間にポジションを取るレヴァンドフスキにドンピシャ。ミリトンはレヴァンドフスキをもう少しケアすべき。リュディガーはレヴァンドフスキを見なきゃいけないが、その奥にもペドリが入ってきており、迷ってる間にやられた。これは55‘の出来事で1失点目から2分後のこと。

63‘にモドリッチ、76‘にブラヒムを入れて奇襲をかけようとするも、ブラヒム投入直後に失点。何度もやられてるのにミリトンは前のオルモを捕まえに行き、3バックの状態。GKのペーニャからレヴァンドフスキへのロングボールを蹴ると、競りに行ったリュディガーの頭も超えて落ちる。そこのケアをルーカスがしようとするも、ハフィーニャの方が先に反応してボールを持っていかれる。そのまま内側にドリブルで進まれて右のヤマルへ。ヤマルが縦に持ち出して右足でニアハイ。決定的な3点目。

83‘  イニゴからハフィーニャへロングボールを送ると簡単に裏を取られて失点。0-4。みんなハーフウェーラインよりも前にいるのに、ルーカスだけハフィーニャについて行って最終ラインがゴタゴタ。マンツーマンだ!の意識が強すぎてついて行ったのかもしれないが、あんなの捨てるところ。  真面目がすぎる。

終わりに

ハイプレスによる守備の良さと悪さが同時にあって、そのバランスが良い方に出ていたのが前半の前半で、それ以降は悪さが圧倒的に出てしまった。プランA(SB経由のビルドアップ)、プランB(CB裏へのロングボール)、プランC(モドリッチ)しかなく、ピッチ内で柔軟に対応しなかったことが裏目に出たかなと。モドリッチ投入後の69‘のベリンガムの決定機を筆頭に、チャンスはあるものの、集中力も覇気もなくゴールに結びつかない。ゲームプラン、選手起用の頑固さが悪い方向に進ませてしまっていた。




ただの妄想

ここからは試合に関係あると言ったらあるけど、ないと言ったらないので読まなくていいです。
直前のセルタ戦でチュアメニをアンカーと3バックの中央に置くシステムを試してたじゃないですか。もし、あれが成功してたらの話をしたい。
アトレティコ戦の直前であるアラベス戦でミリトンとリュディガーの位置を入れ替えてたのはスルロット対策のお試しだってのではないかという話をしたんです。
この「対強豪の前に、本番でやりたい戦略を試す」をやっている今季なので、セルタ戦の3バックもその一種だったのではないかと思う。セルタ戦を思い返して欲しいんですけど、保持では3バックで非保持では5バックで開始。ちょっと上手くいかない時間には保持でも非保持でもチュアメニアンカーを試したり。5レーンに人を配置するセルタ対策として5バックは良い面もありつつ、ちょっと無理やりやってる感もあった。

この3バックでのビルドアップ、5バックでの非保持はバルセロナを相手とした時にちょうどやりたかったことのイメージが合致する。レヴァンドフスキの列落ちをチュアメニが3バック中央からそのまま着いていくことでケアでき、リュディガーとミリトンでWGのヤマルとハフィーニャの対応、SBに対してはWBで対応でき、この試合で負っていたベリンガムのタスクをルーカスに任せられた。そうすることで、ベリンガムの守備の負荷を軽減でき、クラシコの前半にマドリーの勢いの元となっていた前からのプレスの一部を彼が担えていたかもしれない。

カルロがセルタ戦の後に「5では守らない」と言ってたんですね。その拒否の強さがこの試合だけのものではない気がして。単純にカルバハルの怪我によるSBの人材不足を補うためのシステムだった可能性はありつつも、バルセロナ対策だったのではないかと考察している。

一言。

ここからはもっと関係なくて。これ書いてるの2025年の2月なんですね。もう22節のエスパニョール戦も終わりました。遅すぎね。当時の感情も思い出しながら試合をなぞってみたけど、覚えてるわけもないので、僕がちょっと試合を復習する時にでも使えたら。

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