エッセイ ホテルカリフォルニア問題 快適に安住して、そこにしがみ付き、無為に生きてしまうこと 2023年7月

先日、清掃の仕事の間、ホテルカリフォルニアのイントロの部分がずっと頭の中で鳴っていた。

この曲は1967年にイーグルスが発表した曲で、歌詞と伴にイントロも有名である。
歌詞は隠喩に富んでいて興味深い。

歌詞の訳は
https://www.worldfolksong.com/popular/hotel-california.html

要約すると、快適さに慣れると、そこに安住して、外に出られなくなる、という意味だ。

ある環境にい続ければ、い続けるほど次の出来事を予測できるようになり、予想外が減少して不快を避けられるようになる。学校然り、職場然り、行きつけの店然り、住居周辺然り。慣れれば慣れるほど不快を回避できるようになり、快適に過ごせるようになる。
時間を横軸に、快適さを縦軸に取ると、時間が経つほどに快適曲線が上昇する。しかしある所まで行くと当たり前だが頭打ちになる。どれだけ慣れても快適さが増加しなくなるからだ。
同じ強さの刺激を感覚器に与え続けると、時間の経過とともに感じる刺激の強さは漸減する。感覚刺激漸減の法則である。
同じようにある状況で生じる感情の強さは、状況が同じであり続ければ、生じる感情は漸減していく。
つまり快適さが頭打ちになった後は、状況は変わらないので快適さは漸減していくのだ。漸減しても慣れているので気楽にやっていける。気楽にやっていけるが故にそこから出られない。更には、そこから出たくないが故に、快適さをほとんど感じなくなっても、そこに執着してしまう。

これがホテルカリフォルニア問題である。

誰でも、何処でも、何時でも生じうる問題である。

なぜそこまで執着してしまうかと言うと、外界が不安だからである。外界に出ると、侵害されそうで不安なのだ。ではなぜ外界が不安なのか。
で、結局行きつく先はいつもと同じ、自己肯定感が低いからである。


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