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いつまでも切ない恋の思い出に【Vol.1】
【出演者】
主 役:高橋健司(川崎:明星高校・2年生)
相手方:井上さくら(横浜:旭ヶ丘高校・2年生)
【バスケット部員】
キャプテン(3年生):市川
部員(3年生):吉田・金子・角田・田村
部員(2年生):小林・佐藤
【友達】
主役 友達:小林智樹(川崎:明星高校・2年生)
主役 友達:佐藤勇気(川崎:明星高校・2年生)
相手方友達:三上由紀(横浜:旭ヶ丘高校・2年生)
一章《偶然の一致》
~バスケットの練習~
高校3年生最後の大会が近づく暑い夏の日、高2の健司は地区大会の優勝を目指し、もくもくとバスケットの練習に汗を流していた。
すると3年生の市川キャプテンが、ばて気味の健司に向かって激を飛ばした。
市川キャプテン:
『健司、ばてている場合じゃないぞ』
『お前、それでも優勝するつもりがあるのか!』
健司:
『市川キャプテン、すいません』
『少し気合が足りませんでした。回り込みますのでパスを下さい』
市川キャプテン:
『相手にフェイントをかけ、裏に回りこめ』
健司は市川キャプテンの指示を受け、敵を交わしシュートを決めた。
市川キャプテン:
『よし、その調子だ』
『大会まで1か月もないから忘れるなよ』
健司:
『わかりました』
『もっともっと練習して、先輩たちの最後の大会をサポートします。』
市川キャプテン:
『期待しているからな、健司』
『みんな集合、本日の練習は終了だ、解散』
健司はシャワーを浴びて制服に着替えた。
先に着替えの終わった同じバスケット部の小林と佐藤は部室で健司が来るのを待っていた。
小林:
『おっせーなぁ~、健司を置いて帰るか』
佐藤:
『もう少し待とうぜ、すぐに来るよ』
健司が走って2人のもとにやってきた。
健司:
『待たせてごめん、何か食べながら帰ろうぜ』
小林:
『待たせた罰にジュースをおごれよな』
3人は、バスケットの話をしながら駅のホームで電車を待っていた。
駅員:
『電車が参ります。黄色い線から離れてください。』
電車のドアが開き、3人は電車に乗り込んだ。
~帰り道(電車)~
電車は比較的すいていた為、3人で椅子に座ることができた。
小林:
『恐らく、決勝戦には鎌倉の高校がくるよな』
佐藤:
『前回の練習試合の時、健司はマークされていて身動きができなかったよな』
小林:
『恐らく、次の大会もマークされるぜ』
健司は、二人の会話を横目に前の座席に目をやると、同じ年頃の女子学生が二人で話していた。
由紀:
『さくらとは、会えなくなるから今度ケーキでも食べに行かない』
さくら:
『横浜に美味しそうなケーキ屋さんを知っているから行こうよ』
由紀:
『どんなケーキがあるか楽しみ』
由紀とさくらは、ケーキの話で盛り上がっていた。健司は二人の事が気になり、小林と佐藤の会話など全く聞いていなかった。
小林:
『健司、聞いているのかよ』
『作戦を立てないとまたやられるぞ』
健司:
『とりあえず、先輩たちと作戦を考えるよ』
佐藤:
『来年は俺たちの時代になるな、大丈夫か小林』
小林:
『あったりめーだろ』
『かわいいマネージャーが来れば「チカラ」が入るんだけどな』
健司:
『頼むからもっと練習してくれ』
健司は小林に苦言しながら、女子高生の『さくら』と何度も目と目が合っていた。次第にお互いが気になり始めていた。
女子高生二人は、健司が降りる駅のひとつ前の駅で下車した。
健司は、下車した女子高生が座っていたシートに目をやると、スマホが1つ落ちているのを見つけた。
健司はとっさにその落ちていたスマホを手に取り、閉まる電車の扉をすり抜けその駅に降りた。
小林と佐藤は、動き出す電車の中で呆然としながら健司を見つめていた。
駅に降りた健司は、女子高生二人を追いかけ声をかけた。
健司:
『すいません、このスマホ落としませんでしたか』
するとさくらが反応した。
さくら:
『すいません、私のスマホです。全く気が付きませんでした』
由紀:
『良かったね。連絡が取れなくなるところだったね』
健司は、「さくら」にスマホを手渡した。
さくら:
『ありがとうございます。』
さくらもまた健司の事が気になっていた。
健司は、下車した駅で一人次の電車が来るのを待っていた。
ようやく電車に乗ることが出来たが少し混んでいた為、電車の扉にもたれかかりながらさくらの事を考えていた。
健司は、二人がどこの学校の生徒かとても気になっていた。
~次の朝~
小林:
『おはよう健司、お前なんで昨日途中で電車を降りたんだ』
健司:
『前に座っていた女子高生が、スマホを置き忘れたんだよ』
小林:
『わざわさ、スマホを届けたのか?』
健司:
『困ると思って、とっさに追いかけたんだ』
小林:
『会えたのか?』
健司:
『渡すことが出来て良かったよ』
小林:
『連絡先は聞いたのか?』
健司:
『聞いてない』
小林:
『ば~か、何で連絡先を聞かないんだよ。二度と会えないじゃないか』
健司:
『聞く必要があるのか? 親切心でやったことだよ』
小林:
『これだから、バスケットしか知らない奴は困るな!』
健司:
『ほっといてくれ』
しかしながら、健司の気持ちは後悔に苛まれていた。
- To be continued -