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いつまでも切ない恋の思い出に【Vol.3】
【出演者】
主役:高橋健司(川崎:明星高校・2年生)
相手方:井上さくら(横浜:旭ヶ丘高校・2年生)
【バスケット部員】
キャプテン(3年生):市川
部員(3年生):吉田・金子・角田・田村
部員(2年生):小林・佐藤
【友達】
主役 友達:小林智樹(川崎:明星高校・2年生)
主役 友達:佐藤勇気(川崎:明星高校・2年生)
相手方友達:三上由紀(横浜:旭ヶ丘高校・2年生)
三章 《はじまり》
~初めてのデート(大会前日)~
健司は、ソワソワする気を持ち抑えながらみなとみらい駅で、さくらの来るのを待っていた。
さくら:
『高橋君~、』
さくらもまた高揚する気持ちを抱きながら待ち合わせ時間の15分前に到着していた。
健司:
『おはよう、井上さん。今日はどうする?』
さくら:
『そうだな、高橋君がエスコートしてよ』
健司:
『えっ、あまり横浜なんて知らないんだけど』
さくら:
『では、よろしくお願いします』
健司:
『はぁ、』
健司は良く知らない横浜だったが、出来るだけの知識を絞りだしエスコートを始めた。
健司:
『では、はじめは、ベイブリッジに行こう』
さくら:
『ベイブリッジは、高速道路じゃないの?』
健司:
『ベイブリッジは、高速道路の下に歩道があって歩くことが出来るんだ』
『いろんな船が楽しめるから面白いよ』
さくら:
『すごい高いのね。少し怖い気がするけど楽しいわ』
健司:
『この前、スマホを発見した時はビックリしたよ』
さくら:
『ありがとう、友達とケーキを食べに行く約束をしていたから助かりました』
さくら:
『高橋君は、好きな子がいるの?』
健司:
『今は、大会の事だけで頭が一杯だよ』
さくら:
『これからも、たまに誘ってよい?』
健司:
『いいよ、いつも暇しているからさ』
さくら:
『今度の大会は勝てそうなの?』
健司:
『恐らく、決勝には鎌倉の高校が来るとおもう』
『今のところ、互角かな』
さくら:
『厳しい試合になりそうね』
健司:
『よし、お腹も空いてきたし次は中華街に行こう』
さくら:
『中華街って、人が多いね』
健司:
『人も多いけど、お店の数も多いよね』
『天心でも食べてみない』
さくら:
『たくさん種類がありすぎて迷っちゃうね』
健司:
『食べ放題だから、気になるものを注文しようよ』
さくら:
『何から注文しようか、やっぱり迷うな』
二人のお腹は、中華で満たされたのだった。
健司:
『お腹がいっぱいだ、もう何も食べられないよ』
さくら:
『少し散歩しようよ、明日の為にも』
二人は、山下公園をしばらく歩いた後、近くのベンチに腰掛けた。
さくら:
『明日の試合頑張ってね』
健司:
『3年生の最後の大会だから頑張らないと』
さくら:
『こないだのお礼なんだけど、はぃ』
健司:
『何、開けて見ていい』
『お守り?』
さくら:
『そう、今朝早く、近くの神社に行って高橋君が明日の試合で活躍できるようにお願いしてきたの』
『その時に買ったお守りよ』
健司:
『ありがとう。』
『なんとしても明日は頑張らないと』
~大会当日~
いよいよ、今年の地区大会が開幕した。
1回戦目の相手は、厚木の県立吉岡高校との試合が組まれた。
1回戦目は多少苦戦をした面はあったが勝利を収める船出となった。
その後、順調に2回戦・3回戦と勝ち進み、決勝を迎える所までたどり着いた。
決勝戦は、当初から推測されていた「鎌倉の岩崎学園高校」が勝ち上り明星学園と激突する運びとなった。
市川キャプテン:
『いいか、決勝まで来れたぞ、』
『3年生は最後の大会となるから杭を残すことなく頑張ってくれ』
『日ごろの成果を思う存分見せつけてやれ』
『それでは、スタメンを発表する。』
『吉田(3年生)・金子(3年生)・田村(3年生)・市川(3年生)・佐藤(2年生)以上だ』
『よし、行くぞ!』
互いにバスケットコート上には決勝戦のスタメン達が出そろった。
一人一人が思い空気に包まれて、誰もが時一刻と審判がボールを宙に挙げるのを固唾を飲んで見守っている。
佐藤:
『ボールが上がった』
すると吉田は、ボール目掛けジャンプ。
相手チームのジャンパーと激しい競り合いの結果、ボールは相手チームへ渡った。
市川キャプテン:
『戻れ~、ディフェンスだ』
スタメンメンバーたちは、すかさずゾーンディフェンスの体制を整えた。
佐藤:
『かかってきやがれ』
しかしながら岩崎学園高校も、巧みなドリブルとパス回しで、明星高校のメンバー達を翻弄し続けた。
岩崎学園高校は、入れ代わり立ち代わり激しい動きを見せた時、ゴールライン付近にいた4番にバスが渡った。
吉田:
『金子、シュートチェックだ』
金子が、相手4番のシュートチェックに向かうが、シュートが放たれた。
市川キャプテン:
『リバウンド』
市川キャプテンが叫ぶが、ボールはリングに吸い込まれてしまった。
佐藤(2年生)が落ちてくるボールを掴みゴールラインから市川キャプテンにパスをした。
市川キャプテンは全体を見渡し、冷静な気持ちでパス回しを開始した。
市川キャプテン:
『ここからは、明星高校の力を見せつけてやるぜ』
と心に熱い気持ちを込めてパス回しをしていた。
5・6回パスが回ったところで、吉田がフリースローレーンに上がってきたので、市川キャプテンは吉田にパスをするが、岩崎学園高校のセンターも背が高く吉田は囲まれてしまった。
吉田は、とっさの判断で市川キャプテンにボールを戻し、市川キャプテンが3ポイントシュートを放った。
お互いの攻防が続き、とうとう第4クウォーターが始まった。
スタート当初より岩崎学園高校は早い動きを繰り出し、明星高校もまた敵を欺く攻防で応戦していた。
現在、明星高校48点-岩崎学園高校52点と若干リードをされていた。
残り時間は3分しかないが逆転できる点数差だった。
審判:
『明星高校選手交代』
審判が交代を告げた後、田村(3年生)と健司(2年生)が交代をした。
小林:
『健司、しっかりやれよ』
さくら:
『高橋君、頑張って』
健司は、お守りに手を当てコートに入っていった。
市川キャプテン:
『高橋、敵の裏をかけ』
明星高校のオフェンスが始まり、市川キャプテンがボールを運びながら全体に指示を出した。
明星高校は、健司を残し全員左サイドに移動した。
すると相手のディフェンスもつられて左サイドに動いたため、残された健司がノーマークとなった。
すかさず市川キャプテンが健司にパスを出し、健司は3ポイントシュートを放った。
そのボールは、きれいな半円を描きゆっくりとゴールリングへと吸い込まれていった。
小林:
『健司、よくやったぞ。あと1点で逆転だ』
点数差は、1点となり残り時間1分
お互い切磋琢磨しているさなか、審判の笛がコートに響いた。
その瞬間、明星高校の負けが確定した。
健司:
『くそ~』
試合終了後、部員一同がエンジンを組んだ。
市川キャプテン:
『俺たち3年生のバスケはこれで終りだ』
『我々、3年生はこれで引退をする』
『これからは2年生が中心となり俺たち3年生の思いをぶつけてくれ』
部員たちは涙をこらえながら、市川キャプテンの話を聞いていた。
今年の大会は、準優勝で幕を閉じた。
2年生の健司・佐藤・小林そしてさくらが、最寄り駅に向かって歩いていく。
さくら:
『次は私たちが、明星高校を引っ張っていく番ね』
佐藤:
『俺たちが、乗り越える課題が見えてきたな』
健司:
『ようやく何かが始まった気がする』
さくら:
『私が、みんなの事を支えていくからね』
小林:
『うひょ~、その一言は勇気100倍です。』
さくら:
『これからも宜しくお願いします』
4人はそれぞれの思いを抱き、スタートラインに立っていました。
- The End -