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きっと成功を掴む未来【第23話】
【登場人物】
主役:佐々木隼人(横須賀大学・4年生:経済学部)
《勤務先:ジャパンファイナンス(金融会社)》
同級生:宮崎ひとみ(横須賀大学・4年生:経済学部)
《勤務先:グローバル保険(保険会社)》
同級生:石原勇気(横須賀大学・4年生:社会学部)
《勤務先:日本開発不動産(不動産会社)》
同級生:木内早苗(横須賀大学・4年生:商学部)
《勤務先:アジアパシフィック証券(証券会社)》
【第23話】交差する想い
宮崎の快気祝いに参加できなかった佐々木は心の何処かに蟠(わだかま)りを感じていた。
日付が変わり佐々木は黙々と仕事に取り組んでいた。するとそこに金子が近づいてきた。
金子:
『佐々木君・・・いろいろとありがとう!』
佐々木:
『また、何処かに出かけようね!』
金子は先週の出来事から一変し明るさを取り戻していた。
金子:
『佐々木君! こんど山形に一緒に行かない!?』
佐々木:
『山形!?』
金子:
『私の暮らした街なんだけと、山形も自然が豊富で魅力的な所よ!』
佐々木:
『山形ゕ! 楽しそうだね!』
金子:
『まとまったお休みの時にでも行ってみない!?』
佐々木:
『よし! 行こう!』
佐々木は金子と一緒に山形にいく事を決意した。
その日佐々木は、先週から取り掛かっていた仕事と向き合っていると田辺課長から声がかかった。
田辺課長(営業1課):
『佐々木・・・いろいろと迷惑を掛けたな! 金子は元気を取り戻したみたいだな!?』
佐々木:
『元気になってくれて本当に良かったです』
田辺課長(営業1課):
『大変だったと思うがありがとう!』
佐々木:
『今度、金子の住んでいた山形に遊びに行ってきます』
田辺課長(営業1課):
『これからも仕事で躓(つまづ)くことがあると思うが同期入社の同僚として一緒に助け合ってくれ!』
佐々木:
『わかりました』
~夕方~
辺りはすっかりと日が落ち暗くなってきた。
佐々木は一日の仕事を済まし帰宅の準備をしていると佐々木の携帯に一本の電話がかかってきた。
その電話の主は同級生の木内からだった。
佐々木:
『よぉ! 木内・・どうした!?』
木内:
『佐々木君・・何でひとみの「快気祝い」に来てくれなかったの!?』
佐々木:
『ごめん!・・宮崎はどうしていた!?』
木内:
『私たちの前では明るそうな振る舞いをしていたけど寂しい表情で涙を流していたよ!』
佐々木:
『いろいろとあって本当にゴメン!』
木内:
『佐々木君・・・前に桜木町で仕事帰りの私と出会った事を覚えている!?』
佐々木:
『そんなのあったっけ!?』
木内:
『私が会社から帰る途中に偶然に海を見ている佐々木君がいたから声をかけた日の事よ!』
佐々木:
『思い出したよ!あの時は誰かと思ったよ!』
木内:
『その時、私と誰かを間違えなかった!?』
佐々木:
『そんなことはないよ!お客さんと会う約束をしていたんだから!』
木内:
『どいうお客さんだったの!?』
佐々木:
『えーと確か、飲食店の社長だよ!』
木内:
『社長さんと仕事をしているんだ!』
佐々木:
『その社長とは仕事がうまく行きそうだから『男同士』横浜で食事をしながら打ち合わせをしていたんだよ!』
木内:
『そうだったんだ!頑張っているんだね』
佐々木:
『まぁ!それほどでもないよ!』
木内:
『佐々木君と別れた後、忘れ物を取りに会社へ戻ったんだけど佐々木君が女性と歩いているのを見てしまったのよ』
佐々木:
『えっ・・・』
木内:
『付き合っているの!?』
佐々木:
『人違いだよ!俺は社長と打ち合わせをしていたんだから』
木内:
『ひとみの事はどう思っているの!?』
佐々木:
『お祝いに行けなくて悪いと思っているよ!』
木内:
『ひとみの傍にいてあげてね!』
佐々木:
『わかったよ・・ありがとう!』
木内:
『プープープー』
木内との電話が切れ佐々木はその場で立ち竦(すく)んでしまった。
~翌日~
佐々木はいつものように必死に仕事に取り組んでいた。
佐々木は、木内との電話のやり取りがどうしても頭から離れすにいた。
佐々木は石原に電話をかけ助けを求めた。
佐々木:
『石原・・今、大丈夫か!?』
石原:
『なんだよ! 朝から忙しんだよ』
佐々木:
『悪いな・・すぐに終わるよ!』
石原:
『どうしたんだよ!?』
佐々木:
『昨日、木内から電話があって女性と一緒に歩いている所を見られていたんだ!』
石原:
『気にするなよ!俺だって妹と一緒に歩く時があるぞ!』
佐々木:
『宮崎のお祝いに行けなかった理由の女性だよ!』
石原:
『その女性と結婚しちゃえば!?』
佐々木:
『冷たい事を言うなよ!』
石原:
『どうしたいんだよ!?』
佐々木:
『快気祝いを仕切り直したい』
石原:
『お前が宮崎の事を好きでも、宮崎はお前の事など気にしてないぞ!』
佐々木:
『とっ・・友達としてお祝いをしたい!』
石原:
『わかったよ! 木内と相談してみるわ・・またな!』
佐々木:
『よっ・・よろしくね! 石原君~!』
佐々木は石原へ電話をしたことで胸の痛みが多少和らいでいた。
しかしながら同僚の金子を放っておくことも出来ず難しい選択に頭を悩ませていた。
~続く~