【WACK外伝】薄氷の刀鍛冶〜第2話『天使の襲来』〜
昔々ある所に、ノートガルドという架空の街があったとさ、そこには夢見がちな、″妄想族″と呼ばれる人たちが住み、天使と呼ばれる背中に羽が生えた、人ならざるモノとの戦いを繰り広げていた。
【前回までの話】
第1話『細身の双剣』
タケシは白銀の髪の魔道士から、純白の鞘に納めらた、細身の双剣を受け取り、軽さと薄さに驚いた。
【登場人物】
👳♂️タケシ 刀鍛冶見習い
🧔♂️オヤジ 武蔵野修理店の店長
🧕??? 白髪の魔道士、双剣使い
【本編】
第2話『天使の襲来』
タケシは黒いローブを身に着けた白髪の少女から、片膝をついて細身の双剣を受け取った。
🧕「じゃあたのんだぞ」
タケシは受け取った双剣を、落とさないように両手で抱くようにして持った。
🧔♂️「精密なモノだからていねいにな」
👳♂️「あっ‥はいっ!」
タケシは受け取った双剣を、作業場にある石定盤と呼ばれる作業台の上に、サッと清潔な白い布で拭いてから、そーっと双剣を置いた。
🧔♂️「まいどどうも、″りっかさん″。預かり書はこちらで書いておきます。明日の朝9時には仕上げておきますので、また取りにきてください」
りっかと呼ばれた魔道士はスッと右手を上げて、「じゃっ!」と軽く挨拶し、足早にお店を出ていった。
タケシは″りっか″という名前を聞いて、りっか?どんな漢字だろう‥と、考えながら受け取った双剣を鞘からそっと抜いてみた。
👳♂️「ん?あれ?この刀、黒い‥」
もう一本も、鞘から抜く
👳♂️「んん?、こっちの刀は、白だ」
白と黒の刀?珍しいな‥
ウーウー‼︎ カンカン!
タケシはハッとした。街中で警戒音が鳴り響いた。
タケシ「‥天使だ!」
タケシは慌てて、双剣を両手で抱き抱えて、お店の外に出た。
🧔♂️「バカ!タケシ、あぶねえから外にでるなっ!」
背中に羽が生えた、人ならずモノたちを、人々は恐れ、″天使″ または ″白い悪魔″と呼んでいた。
👳♂️「あの人も、あぶない‥助けなきゃ」
タケシは外に出ると、街中の人が空をみて指差して、叫び声を上げていた。
👳♂️「ん?空?」
タケシは空を見上げると、👼天使を20匹ほど引き連れた、″大天使″と呼ばれる、強力な魔法を使うバケモノが、優雅に飛んでいた。
🧕「おいっ」
タケシは、突然後ろから背中を叩かれて、飛び上がった。
🧕「おどろきすぎだろ‥」
👳♂️「すっ‥すいません」
🧕「謝らなくていいから、さっき渡した双剣を返せ」
👳♂️「えっ?」
🧕「いちいち、どんくさいヤツだな‥敵が優雅にお空を飛んでんだっ!、早くその武器を渡せ」
👳♂️「ああっ‥はい」
タケシは双剣を渡すと、りっかは、奪うように双剣を受け取り、左の脇の下に2本とも鞘に収めたまま、右手で2本とも一気に抜き、黒い刀を天に向かって放り投げ、もう一本の白い刀を地面に突き刺した。
👳♂️「す‥すごい」
一瞬の刀さばきに、おどきながら、天に放り投げた黒い刀が、ふわふわと不自然に宙を浮いているのを見て、二度おどろいた。
👳♂️「な‥なんだコレ?刀が宙に浮いてる!」
🧕「いちいち敏感なヤツだなオマエは‥、オマエらのいう″魔法″ってヤツだ」
👳♂️「双剣って、フツーはこう‥両手で持って戦う感じじゃ‥」
空を舞う天使たちが、何かに気がついたのか、3匹一気にタケシ達のところに、すごい勢いで、飛んできた。
👳♂️「ひっ‥きたーー!」
🧕「ん?オマエ聞こえるのか?天使の羽音が‥」
👳♂️「たっ‥助けてー」
タケシは両手で耳を塞ぎ、その場でうずくまった。
🧕「‥使えねぇな、頼むからそこから動くなよ」
りっかが手のひらを広げて、右手を高く掲げた。先ほど宙を浮いていた黒い刀が、ふわふわと垂直に立ったまま、タケシ達の足元に突き刺した、白い刀を中心に、半径5mくらいの距離で、周りをぐるぐると回りだした。
👳♂️「なんだ‥コレ?」
🧕「フィールド展開!」
ぐるぐる回っていた黒い刀がさらにすごい勢いで回り始め、一瞬で消えた。
👳♂️「!きっ‥消えた…」
すると、地面に突き刺した白い刀に、青白い稲妻のような閃光が、パリパリ、音を立てて、光り出した。
りっかは天に掲げていた右手の手のひらを、飛んできた3匹の天使に向かって、狙いを定めた。
🧕「エミッション!」
りっかが叫ぶと、青白い光の矢が放たれ、3匹の天使を一瞬で打ち抜いた。
👳♂️「!、すっ‥すごい」
🧕「まだだ‥こんどはデカイのくるぞ」
👼「愚かなる人間どもよ‥」
体長が10mを超える、巨大な天使が、20匹ほど天使を従えて、タケシたちの前に舞い降りた。
(つづく)