【WACK外伝】盲目の吟遊詩人1-16消えない氷(前編)
火🔥と水🌊と風🌀と石🪨の世界
四元素と時🕘を操る神さまの話👼
フーゴは鉄の棺桶みたいな箱に閉じ込められながら、なぜ、こっちの雷撃による攻撃がまったく効かず、相手の氷の壁が消えなかったのか考えていた。
なぜ、フーゴたちが囲まれた氷🧊が、″フーゴ″を中心に存在していたのか?なぜ、敵はフーゴを中心に六角形にガイコツ戦士を配置したのか?
フーゴは、冷たい鉄の壁に囲まれた空間で、ひたいと両手を鉄の壁につけ、冷静になって考えなおしてみた。
そうか氷か‥それで「六角形」だったのか‥雪の別名「六華」にも使われているように、雪の結晶はどれも六角で形成される‥これは水の分子が氷になるとき、六角に並ぶ性質があるから‥
【前回までのあらすじ】
フーゴたちは馬車で街に向かう途中、馬車を操縦していた″氷の魔女″が、ちょうど魔法陣の中心に馬車が到達した瞬間、近くの小高い丘から、石の国の王子に、決戦の始まりを示す、″戦闘の角笛″を鳴らす指示をしていた。角笛に驚き馬車の馬🐴が、ひひーんと前足を上げ急停止し、馬車の中でフーゴが辺りを警戒し竪琴を鳴らした。氷の魔女は馬車を降り、着ていた黄色のカッパのフードをおろし、あらかじめ描いてあった魔法陣の中心に、右手に持ってあたトイレ掃除用のデッキブラシの柄の部分を地面に突き刺し、魔法の詠唱に入る。
一方、魔法の壁が形成される前に、遣いのカラス🐦Hiroを逃がすことに成功し、街から仲間を呼び反撃に出る。
—————————————————
第1章 旅のはじまり
第13話 「消えない氷の壁」
—————————————————
天空の竜ゼフィロスは、最終奥義の″天空の怒り″を発動させ、氷の壁の外周の六箇所に巨大な⚡️カミナリを落とした。
目も眩む、巨大な青白い閃光が走ってた後に、数秒遅れ、ガガーン、バリバリと天地を切り裂くような、激しい地鳴りとともに、地面が激しく振動した。
しかし‥
六体のガイコツは無傷だった、それどころか、雷を吸収し青白く光輝いている。
かつては″六神官″と呼ばれ、火、水、風、石の四元素 そして、時の″過去″と″未来″を司る、神官として神を支えた6人の賢者も、石の国に墓を荒らされ、みすぼらしい、剣と盾をつけされ、石の国の奴隷になりさがっていた。
ドゥギーを倒した、ガイコツ戦士の一人、風の神官だったネビュラは、ようやく長い旅が終わると、安堵の気持ちだった。
「ようやく、風の王子を捕らえた‥」
————————————————
勇者ワディに、鉄の箱に閉じ込められた″炎の魔女″は、鉄に囲まれた暗闇の中で、手探りで黒装束のポケットから、″黒い箱″を取り出した。
🧙♀️「石ちゃーん」
外から、鉄製の棺桶が開かないように、磁力の魔法で封じ込めていたワディは、あまりの声の大きさにギョッとした表情をした。
🧑🚒「この子‥すげぇ声がデカいな」
オオカミの白ちゃんに吹っ飛ばされた、石の国の王子″石頭″は、炎の魔女の声にビックリして、飛び起きた。
🥷「ひっ‥ひなた様!すいません‥」
🐺「!」
白ちゃんは警戒し、身構える。
「石ちゃん、わるいんだけど、わたしのまわりのおじさんとオオカミさんを、地面に刻みこんだ魔法陣の外に出してあげてー死んじゃうからー」
ワディと白ちゃんは″ぎょっ″した。
🥷「御意」
黒い甲冑を着た、″石頭″は目にも止まらぬ速さで、ワディの懐に入り相撲取りのように、両手でワディを抱き抱え、地面の魔法陣の外に″ポイっ″と投げ出されて、地面にころがった。
🧑🚒「いってー」
🐺「だいじょうぶか?」
🧙♀️「石ちゃーん、OK?」
🥷「はい、大丈夫です。二人とも安全な位置にいます」
🧙♀️「石ちゃーん、じゃこのまま行くねー、今まで本当にありがとねー、全部終わったらまた会おうねー」
バシュ!
炎の魔女は、鉄の棺桶ごと消えた。
(つづく)