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【企画参加】合わせ鏡の君Vol.1
山根あきらさんの企画への参加作品です。
お題は『合わせ鏡』、それではさっそくいってみましょー(どこへ?)
『合わせ鏡の君』
今から1000年前、ノートガルド村に突如現れた暴風龍🐲を封印した、伝説の魔法使いがいたそうだ。
👩🦳「1000年前かぁ‥」
ノートガルドは有能な刀鍛冶や、占い師が多く、これといった特産物はないけれど、行き交う旅人は、けっこう有名な冒険者が多い。
天音(あまね)のお父さんは刀鍛冶で、お母さんはけっこう有名な魔法剣士だったらしいけど、旅に出たまま帰らぬ人となった、らしい。
地味で寡黙な刀鍛冶が、どんな馴れ初めで、有名な魔法剣士とそういう関係になったのか、お父さんに何回もしつこく問い正したけど、まったく口を割らない。
「天音がオトナになったら話すよ」と、お父さんはいつも言うけど、゛オトナってなんだよ゛と、天音は思わずつぶやいてみた。
今月の霊獣召喚の試験に合格したら、少しは天音をオトナ扱いしてもらえるかな‥
そんな、ぼんやりとした望み薄な思いで、ふだんはあまり勉強しないのに、今年は1月からみっちり勉強してきた。
👩🦳「よしっ!」
天音は鏡の中の自分を見つめた。。
白髪のショートヘア、頼りなくて、これといった特徴のないマネキンみたいな顔
だいじょうぶ、いつも通りの自分ならうまくやれる。
天音は、仕事場の父に向かって、大きな声で「いってきまーぁーす!」と声をかけた。
仕事場の奥の方で「おうっ!」と、短い返事が帰ってきた。
ほんとに仕事が好きな人だなぁと、もどかしくもあり、父らしいなと思いながら、天音は家を出た。
天音が通う霊獣中学校は歩いて30分ほどの所にある。
今日は朝から野外試験だから、朝の8:00までにノートガルドの村から2kmほど先にある、小高い氷の丘の上にある礼拝堂で集合だ。
天音は少し早めに礼拝堂に行って、魔法の詠唱の復習がしたくて、2時間前の6:00に出発した。
霊獣召喚の試験に合格すれば、霊獣に乗ってひとっ飛びとかできるのかなーと、にやにやしながら、天音は礼拝堂を目指した。
るんるん気分で、礼拝堂に着くと、まだ誰も到着しておらず、礼拝堂の玄関も鍵が閉まっていた。
👩🦳「あちゃー!早すぎたかー」
天音は開かないとわかっている無駄に立派な礼拝堂の扉をガチャガチャしてみた。
👩🦳「まあ、開かないよね‥」
あきらめて、先生が来るのを待とうと思ったけど、礼拝堂の中央付近から虹が🌈立ち上っていた。
👩🦳「うわー、虹🌈だ!すごいっ!!」
礼拝堂の中央付近には、大切な″御神体″があり、10年に一度だけ、国王軍の賢者たちが訪問する儀式がある。
👩🦳「虹の根元にはお宝がっ!なんてね」
天音は立ち上る虹🌈をしばらく、口を開けて眺めていた。
👩🦳「ヒマだし、ちょいと中に入ってみるか‥」
天音は得意の飛翔魔法で、ふわっと浮かび上がった。
👩🦳「虹の根元に何か目印があれば、テレポートできるかな‥」
礼拝堂の10mを越える高い壁を、真上から眺めてみる。
👩🦳「うわっ、礼拝堂の中央部って、ピラミッド型の透明体なんだ‥」
礼拝堂での魔法使用は、先生に禁じられているけど、まあいっか‥
👩🦳「どっか目印になるモノ〜、うわっ!飛翔魔法の効力が切れそう‥」
ちょっと集中力を切らすと、一気に真っ逆さまだ、天音は大きく深呼吸した。
目を凝らせ、できるだけ小さくて、ハッキリと見えるモノ!
ピラミッドの頂点がキラリ✨と光った気がして、天音は透明体なピラミッドの頂点に目を凝らした。
👩🦳「あっ!頂点ならアタシでも焦点合わせて、テレポートできるかも‥」
よし!、もうやるしかないっ!
👩🦳「X、Y、Z、W軸確認OK!焦点問題なし、距離、613.77くらいか‥」
飛翔魔法が切れそうで、思わずあっと声が出た。
👩🦳「えーい、わからん!飛んじゃえ」
天音は透明なピラミッドの頂点をめがけて飛んだ。
(つづく)