【精●剤にも!】補腎の生薬が最強すぎる!
今回は腎を改善する生薬を科名を踏まえて詳しく説明します。これにより、各生薬が何科なのかを把握しより中医学的な知識が深まるでしょう。
1. 地黄(ジオウ)
科名: ゴマノハグサ科(Scrophulariaceae)
特性: 地黄は滋養強壮や補血作用を持つ重要な生薬です。血を増やし、血行を促進し、ホルモン分泌の調整に役立ちます。また、血行不良によるしびれや内出血、乾燥性便秘、皮膚の乾燥などにも効果的です。
応用: 「六味地黄丸」「八味地黄丸」などの処方に含まれ、主に腎陰虚の改善に用いられます。貧血や虚弱体質の方に向いています。
※四物湯で覚えたと思いますが、補血活血+補腎も
2. 山薬(サンヤク)
科名: ヤマノイモ科(Dioscoreaceae)
特性: 山薬は滋養強壮と消化器系をサポートする作用があります。腎だけでなく、脾(消化器)をも強化し、エネルギーの吸収を促進します。
応用: 慢性疲労、食欲不振、腎虚による精力減退に使用されます。これも「六味地黄丸」「八味地黄丸」に含まれることが多く、腎と消化器を同時にサポートします。
※自然薯は最高です。
3. 車前子(シャゼンシ)
科名: オオバコ科(Plantaginaceae)
特性: 車前子はオオバコの種子で、利水・通淋(排尿を促す)作用があります。体内の余分な水分を排出し、尿路の健康をサポートします。また、去痰・止咳作用もあり、呼吸器系にも効果があります。
応用: 膀胱炎、尿の出が悪い、関節痛、痰が絡む咳などに使用されます。
4. 鹿茸(ロクジョウ)
科名: シカ科(Cervidae)
※植物ではなく動物性生薬です。特性: 鹿茸は鹿の若い角から得られ、強壮作用が非常に強い生薬です。体を温め、エネルギーを増やし、男性ホルモンの分泌を促進する効果があります。コラーゲンやアミノ酸も豊富に含まれています。
応用: 腎陽虚による慢性疲労、腰膝の弱さ、低血圧、性機能低下、更年期障害などに使用されます。「参馬補腎丸」などの処方に配合されます。
※横浜中華街に1gから売っておりますがかなり高額です。
5. 淫羊藿(インヨウカク)
科名: メギ科(Berberidaceae)
特性: 淫羊藿は滋養強壮と強精作用を持ち、特に腎陽を補う働きがあります。体を温め、精力を高め、冷えや疲れに効果があります。
応用: 性機能の低下、冷え性、腰痛、倦怠感などに用いられます。エネルギーを回復させるための処方に含まれています。
6. 海馬(カイマ)
科名: タツノオトシゴ科(Syngnathidae)
※こちらも動物性生薬です。特性: 海馬は補腎・強精作用があり、精力を強化し、元気を増進させます。滋養強壮に優れ、疲労感を和らげます。
応用: 精力低下、体力の減退、慢性的な疲労などに使用されます。主に男性の健康サポートに用いられます。
7. 牛膝(ゴシツ)
科名: ヒユ科(Amaranthaceae)
特性: 牛膝は血行を促進し、筋骨を強化する作用があります。腰膝の痛みや関節のこわばりを和らげ、利尿作用でむくみの改善にも役立ちます。
応用: 関節痛、腰痛、下肢の衰弱、むくみなどに用いられます。「独活寄生丸」などに含まれ、筋骨の健康維持に役立ちます。
8. 山茱萸(サンシュユ)
科名: ミズキ科(Cornaceae)
特性: 山茱萸は腎のエネルギーを保持する作用があり、精力をサポートします。尿漏れや頻尿を防ぎ、体力の維持に貢献します。
応用: 精力減退、頻尿、腰膝の衰弱、慢性的な疲れなどに使用されます。腎を強化し、エネルギーを保持するための処方に配合されます。
※ちょっと酸っぱい感じの実のようなものです。
代表的な漢方処方
六味地黄丸: 腎陰虚を改善し、体の潤いを補います。老化の予防や虚熱の鎮静に効果的。
八味地黄丸: 腎陽虚に用いられ、体を温め、エネルギーを強化します。頻尿や冷え性を改善します。
知柏地黄丸(ちばくじおうがん): 腎陰虚による熱感を冷ます作用があります。
耳鳴丸(じめいがん): 腎虚による耳鳴りを改善します。
参馬補腎丸: 強い滋養強壮作用で、特に腎陽を補います。
独活寄生丸(どっかつきせいがん): 関節の痛みや腰痛に用いられ、筋骨をサポートします。
※次回以降の記事で記述していきます。
これらの生薬と処方は、体質や症状に合わせて選択し、腎の健康を長期的にサポートするために使用されます。