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【官民共創を考える】欧州に見る行政と企業による新規事業のつくり方
この記事からの続きです。
事業リスクに対する考え方も企業と自治体では正反対です。企業は機会の損失を恐れ、利益の最大化を図ろうとします。
利益の最大化には時間というファクターも含まれます。時間をかけてゆっくり最大化とは通常考えられないので、可能な限り短い時間で、最短経路で利益の最大化に到達するのが企業の行動原理と言ってもよいでしょう。
これに対して自治体が考える事業リスクは、市民の反発です。「みんな」から文句が出ない形にしようと無意識に思考するので、前述したように無難なものに落ち着いてしまう。ポジティブな言い方をすれば、企業と違い、かなり広範囲にステークホルダー(利害関係者)の存在が見えているのが自治体ということになります。
リスクの評価軸が根本から違う両者が公共サービスを設計するにはどうしたらいいのでしょうか。身もふたもない言い方かもしれませんが、ここは両者がお互いを理解しながら、設計していく以外にないだろうと思います。
ただ、ひな型というか、その参考になる事例は欧州にあります。それがフューチャーセンターと呼ばれる、官と民、そして大学、市民による政策形成とビジネス創出の場です。欧州発のフューチャーセンターの大きな特徴は予算がついていることに加え、オープンな場で議論されるため、そこで合意されたものは速やかに企業によってサービスとして実装されることです。
例えば、オランダのLEFフューチャーセンターは道路水管理庁が運営する世界最大級のフューチャーセンターで、洪水や渋滞といった社会課題を解決するために政府と企業が創造的対話を繰り返しており、その数は年間400セッション以上といわれています。
次に続きます。