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もしも自治体がカスタマージャーニーの発想を身に付けたら
流山市を持ち出すまでもなく、ペルソナを設定するだけで、新しく住民を呼び込んだ自治体が存在することを考えると、今ある行政サービスの質を上げるために、カスタマージャーニーマップを作成するノウハウは自治体にこそ重要と言えそうです。
言うまでもなく、すでに日本は人口縮退期に突入しています。そういう中で、ひそかに始まっているのは自治体間の人の奪い合いです。日本には約1700の自治体が存在し、そのほとんどは住民税、固定資産税に依存しています。潤沢な法人税、事業所税を得ている自治体は数えるほどしかありません。人口が減っていく中で、いかに担税力の高い市民に住んでもらうかに、自治体の生命線が懸かっているといってもいいでしょう。
自治体にこそ必要なCXとカスタマージャーニー
そのための方策は二つです。一つは魅力的な政策を打ち出すこと。もう一つは今ある行政サービスの質を向上させること、です。賢明な読者はお気付きと思います。前者の手法はコストが掛かり、自治体としては勇気が要るため、なかなか取れない選択肢です。ところが後者の行政サービスの質向上は、本稿で縷々述べてきたCXの設計およびカスタマージャーニーマップの作成によって実現できます。
もちろん、何でもタダでは無理ですが、自治体職員がカスタマージャーニーマップの作り方を身に付けることができるとすれば、その効果は計り知れません。自治体職員は大なり小なり、自分たちが提供している行政サービスに対して「もっと多くの市民に知ってほしい」「なぜ、利用者満足度が上がらないのだろう?」と悩みを抱えているでしょう。
生産性高く行政サービスを向上させるCX
そうした悩みが生じるのは、ある意味当然で、ペルソナも設定されていなければ、必要なCXもデザインされず、カスタマージャーニーマップも整えていないからです。まだ、どの自治体も着手していない、今こそ周囲と差異化を図るチャンスです。誰も始めていないからこそ、すぐに効果に表れるでしょう。問題はCXの設計やカスタマージャーニーマップの作成をどこに頼んだからいいか、です。BtoB(企業間取引)やBtoC(企業と顧客の取引)では確立されているCXやカスタマージャーニーも、GtoC(住民に対する行政サービス)で提供できる企業はほとんど見当たりません。なぜなら、自治体が担う公共性を企業が理解していないからです。
行政サービスにおけるCXの導入、カスタマージャーニーマップの整備は、直面する自治体間競争時代に、極めて有効な打ち手となることは間違いありません。いち早く気付いた自治体から導入が始まるだろうと思います。