挿管患者の栄養

経口摂取ができない挿管患者では経腸栄養が第一選択となる。
24時間以内、遅くとも48時間以内の開始が推奨されている。
投与量はoverfeedingを避けることが重要である。つまり急性期では少量持続投与から開始し、1週間かけて目標に到達するようにする。

経腸栄養の始め方
Step1 目標エネルギーとタンパク量の設定
目標エネルギー投与量/日:実体重(㎏)×25~30kcal
目標タンパク投与量/日:実体重(㎏)×1.2~2.0g

重症患者ではタンパク異化・分解が亢進しているため多く見積もる必要があある。透析患者では膜外へのタンパク喪失があるため少し多めに1.5~2.0g/㎏/日のタンパク投与が必要になる。

Step2 経腸栄養製剤の決定
半消化態栄養剤は吸収するために消化が必要だが、消化態栄養剤と成分栄養剤は消化の過程を経なくても吸収できる。
重症患者や長期の絶食後など腸管に吸収障害が懸念される場合は、消化態栄養剤を選択する。


成分栄養剤
例 エレンタール→適応:クローン病急性期、急性膵炎、短腸症候群など

消化態栄養剤
例 1kal/ml→ ペプチーノ、ぺプタメンインテンス
  1.5kcal/ml→ぺプタメンスタンダード、ぺプタメンAF

半消化態栄養剤
例 1.5kcal/ml→アイソカルサポート、メイバランスHP1.5
  2.0kcal/ml→アイソカル2K

Step3 投与計画を立てる
15~20ml/hr(500kcal/日以下)少量持続投与から開始
1週間かけて目標量まで増量していく。
血糖に注意し必要に応じてインスリンを使用する。
P、Mg、Kをモニタリングし急激な低下があるときにはビタミン補充・電解質補正を行う。

Step4 トラブルへの対応
重症患者では経腸栄養を早期に開始しても、胃内残渣が多い、腹部膨満感や嘔吐下痢が続くなどで目標投与量の到達まで難渋することもある。
頭側を30~45°挙上する
間欠投与の場合は持続投与に切り替える
腸管蠕動促進薬を使用する
メトクロプラミド、エリスロシン、六君子湯、大建中湯など
上記対応でも改善がない場合には経腸栄養を幽門後へのチューブ留置を検討する
下痢が続くとき
Clostridioides difficile感染症を除外する
間欠投与を持続投与に切り替える
栄養剤を低浸透圧のもの、水様性食物繊維を含むものに変更
プロバイオティックスを使用する


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