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参加者として研究セミナーを活用する6つの方法: Consciousness Club Tokyoを例に

Consciousness Club Tokyo (CC Tokyo)の2ndシリーズをはじめてはや1年半が経ちました. Youtubeの登録者も450人ほどになり, 研究セミナーを専門で流しているチャンネルの中では国内外で見ていただける比較的大きなチャンネルになりました.

また, 世界的にオンラインでのイベントも増えており, 今後もこの流れは加速していくと思っています. 意識研究の拠点, そして国内外を繋ぐハブとして機能できるようにCC Tokyoは活動していきます.

一方で, 国内でオンラインセミナーの活用方法が大きく議論されたり共有されていないと感じています. 単に最先端の情報を仕入れるだけでなく, 研究活動に役立てられる点がたくさんあります.

企画人の立場からみて, 「参加者にどのようにセミナーの活用してほしいか」について, まとめておきたいと思います.

1. 慣れる

CC Tokyoでは, 英語でセミナーをおこないます.

英語に慣れていない人には, それ自体で有意義だと思っています. 私が, 大学生の時には英語がわからないのでセミナーに行ってもわからずに寝てしまったことは何度もあります.

特にセミナーでの英語は聞き取りやすいものばかりではなく生の英語で, それ自体に慣れが必要だと思っています.

また, 議論の仕方にも独特な言い回しや気をつけるポイントがあり, それに慣れるのにも活用できると思っています.

2. 研究内容の本質を学ぶ, 流行を知る, 新しい知識得る, 疑問を解く


一番直接的な利用方法は, 知識を得ることです.

研究で一番最初に必要なものの一つとして, 分野のコミュニティが共有している用語を共有することだと思っています.

たいてい発表の最初にこれらの用語を定義しながら進めていきます.

一番大事なのは, 自分のいる研究分野の解くべき問題は何かを知ることができることだと思います. 

ここが一番難しく奥深いところだと思います. なぜその問いが面白いのか, なぜ解くべきなのかを言語化することを何度も行うことで, 自分の研究がどうして解くべきなのかを他人に伝える言葉を作っていくことになります.

また, なぜ解くべきなのか, 解くことに成功しているのかしていないのか批判的に問いながら学ぶことができます. 

解くことに成功しているかどうかを批判的に見ることで, 自分の研究を批判的に見る目を養うことができるのです.

3. プロとしての振る舞いを学ぶ

2.と関係することとして, プロとしての振る舞いです.

研究者には, 言語化しづらいプロとしての振る舞いがあります.

質問の仕方, 質問の受け答えの仕方, 発表の仕方, 間の持たせ方, などなど振る舞いを学ぶにはとても良いです.

例えば, 質問の応答に時間使いすぎて, 時間の使い方を間違うと予定以上に時間を使ってしまうことがあります. 

普通の対応として, 

1. 「関連する話題があるから, そこで回答します」と進める.

2. 発表に直接的な話題ではない場合は, 「後で話しましょう」と話を打ち切る.

状況に合わせて, どのように対応するのが良いのかを学ぶことができます.

4. 他人の研究に貢献する

2.の批判的な思考方法を学ぶこととも関連しますが, 批判的な思考があれば, より良い提案も可能です.

このような手法の方が良いのではないか」と相手が一番やりたいことを提案するという頭の使い方は, 相手の研究に貢献しようとする営みだと思います.

批判的であることは必ずしも相手の研究を否定することではなく, より良いものとして昇華するために必要なプロセスなのです.

他にも, 「うちの分野にはこういう研究手法があるから, こちらの方が良いのではないか?」というような提案はよくあります.

このような質問で実質的に研究が進むこともあり, 相手のためになるコメントをしようとする姿勢は大事だと思っています.

5. 出会いを通じて新しい人脈を得る

意外に大事なのが, 「誰が誰と組んでどのように問題を解いているのか. 」だと思っています.

自分が似たような問題を解くとすれば, 誰にどのようにアプローチして, どんなメリットがある形で共同研究を提案できるのかを想像するのは大事だと思っています.

ある学生のの共同研究の提案をサポートしたことがありますが, 「イベントに参加しているかどうかをポスターや発表で探し, 参加していれば積極的に連絡をとり研究提案をする」ことで, 実際に国際的な共同研究が成立しています. いまのところかなり上手くいっているようです.

小さなセミナーから共同研究がスタートすることは多くはないですが, 一緒に研究したい相手を探すのにはとても大事です.

国内外であっても, このような視点で共同研究を進める体制を整えるためにも必要です.

6. 企画チームに働きかけて, 話してみたい人を招待してもらう

Consciousness Club Tokyoでは, 毎回私が金井さんと相談し, 登壇者に連絡をとっています. 

しかし, 「この分野だとこの人の話をぜひみんなに聞いてほしい」や「いま一番面白い内容で研究しているので紹介してほしい」といった参加者からの要望も聞いてみたいと思っています.

一例として, 「論文を書いているのだけれど, 一番理解したい人の研究にわからないところが結構ある. 実際に質問をぶつけてみたい...」ということがありました. 実はWanja Wiese博士をお呼びした経緯はそのようなこともあります.

実際に参加者の方から自分の研究が整理できて, 論文執筆のやる気がでたという話をいただきました.

CC Tokyoのような小さなセミナーでは, 毎回違うテーマでコンパクトに登壇者をお呼びできるので, 「具体的に研究に必要だから呼んでほしい」という要望に比較的応えやすいです. 状況をみて判断し, 優先的にお呼びすることができるかもしれません. ぜひ活用してほしいです.

ただ, 多くの人の役に立つという前提で運営しているのですべての要望にこたえることはできません.

最後に

私が大学生の頃はわざわざ足を運んでセミナーに参加して, 興味のある研究室の教授とお話させていただきました.

それがオンラインでもアプローチが可能になったのは本当に良い時代になったと思います. ただ, もっと活用できる部分もあることを多くの方に認知してほしいとも思っています.

こういったオンラインセミナーを通じて, 国内外の関係づくり, 共同研究推進や論文執筆にも大いに利用してほしいと思います.

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