ガラスの仮面の劇中作を読む①「伊豆の踊り子」感想

数ある名作漫画の中で最も好きなガラスの仮面に出てくる劇中作を読んで感想をnoteに記していこうと思います。

このnoteに書く読書感想文というのは第一に私がガラスの仮面の大ファンであるということとあわせて読んでくれると助かる。
出来るだけガラスの仮面を読んでない人も劇中作を読んでない人も楽しめるような感想文にしていこうとは思うがそのようなことは可能なのだろうか。

川端康成「伊豆の踊り子」
約二日で読み終わった。
“踊り子“という旅芸人の一座と出会った少年が伊豆を共に旅するところから始まる。
「伊豆の踊り子」の内容をまるで知らないまま小説を読み始めてしまったため、前知識がなかったのだが、作中で何度かさまざまなな登場人物(メイン主人公ではない)たちが踊り子たちを忌み嫌うシーンがある。
読み終わった後になってなぜなのか気になり踊り子という仕事を知らないためネットで検索したのだが、【ドラクエ 踊り子】がトップに出てきて笑ってしまった。
そうじゃない。

しかしドラクエの踊り子というのはそもそもどういう職業なのだろう。
私はドラクエを一度もやったことがないためついでに調べてみた。

以下ネットで出てきた検索内容↓
○踊りを踊る人、踊りを踊ることを職業とする人で、舞踏家やダンサーと同じ意味。
○ DQ3から登場した汎用キャラクターで、バーなどのステージで踊っていることが多い。
初期の作品では華やかな芸能人としてよりも、ストリッパーや売春婦のような性を売り物にする職業という演出が多かったが、後述のPCの職業という扱いになってからはそのような表現は薄められている。

なるほど、なんとなくどういう職業かわかっただけでなく、差別のあった背景も理解することができた。
先に言っておくと私はやりすぎたフェミニスト的思考は持ち合わせていないが、一方で女性差別を全く許せるわけでもなく、常に価値観はアップデートされるべきだと思う。
Twitter等で考えを述べることはほぼないが、文字数が足りないようなところで言うならば「今、もう令和だぜ?」である。とはいえ1927年に出版された本を語るにあたって、多少現在の考えとはズレることを許して欲しい。

踊り子たちは何人か出てくるのだがこれまた魅力的な女性ばかり。
何度か映画作品にもなってるということで、しかも超人気女優がヒロインをやっているそう。

ここで一度ガラスの仮面の話をさせてもらう。
劇中では主人公の北島マヤが映画館までの出前を頼まれ、ついつい映画館内に入ってしまい「ちょっとだけ、ちょっとだけ」と言いながら、上映されていた映画を最後まで見てしまう。結局帰ってきたのは一時間半後。その時の映画が、「伊豆の踊り子」。

ガラスの仮面において北島マヤは誰よりも演技に対する熱量がハンパなく、演技をやめると死ぬのでは?と思えるほど、北斗の拳でいうケンシロウでありONE PIECEでいうルフィでありドラゴンボールでいう悟空なのだが、マヤが某少年漫画たちとは違い本気でハマるものがバトルでなく「演技」。
ただそれだけの違い。

桜田百恵という作品内における主演者名は、山口百恵と桜田淳子を合わせたものと思われるそうで、作者の美内すずえ先生が考えたのかな、と少し笑った。
マヤは普段から家のラーメン屋の手伝いで忙しくしており、ドラマを見たり映画を見るような生活をしていない。
(ちなみに同居してるラーメン屋の女将さんの娘から、年末に配達を一人でやるなら「椿姫」の映画のチケットあげるよと言われ本当に一人で120軒配達してしまい、意地の悪い娘から極寒の川へ映画のチケットを捨てられるが迷わず飛び込んで映画を見れることを喜ぶという狂気シーンがあるほど)
そんなマヤのラッキーチャンスで巡ってきた幸せの配達が「伊豆の踊り子」なのである。

帰らねばと分かっていてもつい映画の上映時間最後まで見てしまう。
当時の私はよっぽど面白い映画なんだな、と楽に考えていたが、「伊豆の踊り子」原作を呼んでわかった。
これは見てしまうわ。
マヤが悪いんじゃない、川端康成の才能が凄いのだ。
そして見ることのできないキャラ《桜田百恵》がきっと凄いのだ。

ちなみに「伊豆の踊り子」の感想としては大変面白かったのだが、男女の考えの差を私は痛感した。
小説の中の魅力的な男性は、いつだってロマンチックで、行動的で、そして自分勝手なのだ。
同じく魅力的な女性は、現実的で、強くて、そして話が長い。
私以外の「伊豆の踊り子」の感想を数件レビューで読んだが、誰もこの感想を書いてなくて笑ってしまった。
「伊豆の踊り子」に出てくる女性の話の長さ!
今のようなスマホもなければすぐに会える環境ではないからこそ、思いの熱をすべて文字におこすことしかできないのだろうなと思い、少し煩わしさと儚さを感じた。

私の好きな漫画「オトメの帝国」の中に、こんなセリフがある。
「せめて知識のひとかけらぐらい 彼女と重なりたいだけ」
私にとってこの読書感想文はガラスの仮面、そして作者の美内すずえ先生への熱烈なラブレターなのである。

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