タコピーの原罪から見る現代社会
タコピーの原罪という漫画があるのは知っていましたが、七つの大罪みたいなものかなぁとあまり興味を持ちませんでした。しかし読んでみると、苦しいけど読みたくなる漫画でした。同じ作者のタイザン5さんの短編、キスしたい男とも重ねて現代社会の問題を見ます。
山田玲司のヤングサンデーでも詳しく取り扱われていました。
ジャンプ+で頑張れば無料で全話読めるので読んでみて頂きたいです。
少しネタバレです。
親の問題、分かち合えない傷
ドラえもんのような、タコピーという宇宙人がやってくる所から物語は始まります。
タコピーはしずかちゃんという女の子に給食のパンの残りを貰い、その恩からしずかちゃんをドラえもんの秘密道具みたいな道具を使ってハッピーにしようとします。
しかし、しずかちゃんはまりなちゃんというクラスメートにいじめられています。
しずかちゃんの母親がまりなちゃんの父親と浮気をしており、まりなちゃんの母親もヒステリックみたいになっているのでお互いに家庭が崩壊しています。
いじめられるしずかちゃんを見かねて東くんという学級委員(出来杉くんみたい!?)の子が助けようとしますが、東くんも完璧な兄と比較され、母親(毒親、教育ママ)に愛して貰えない教育虐待を抱えています。
東くんのお兄さんは完璧すぎてムカつきました。。ここまで苦しめられた作品は初めてです。
今だと無料で読めます↑
タイザン5さんの作品には「愛情」が強く描かれていると思います。「キスしたい男」では、アンジェリーナジョリーにキスしたい男の子が出てきます。しかし、それは愛されない辛い家庭や自分の置かれた環境という辛さや現実から離れるために目を瞑る手段でした。
本当に求めるべきなのはアンジェリーナジョリーの唇よりも普通の日常や普通の愛情立ったと思います。
個人主義やスノビズムを強く抱えた親、しずかちゃんの離婚した父親は新しい家庭を築いて、訪ねてきたしずかちゃんを知らんぷりしました。タコピーの原罪はそういう空虚でハリボテな世間的や社会に問題を突きつけます。
道具では解決出来ない「ドラえもん」批判
80年代やガジェットの進化が著しかった時代は、好景気で、スノビズムのような道具によって自分や世界が良くなるという考えがあったと思います。それが分かりやすいのがドラえもんです。
しかし、自分もドラえもんファンですからドラえもんが悪いとはそこまで思いません。藤子F先生やドラえもんは、道具に頼ってばかりではいけないというメッセージを繰り返し発していると感じます。
そのメッセージは子供だけでなく、単純な思考で「いい学校」「いい仕事」で子供の人生を解決しようとする親世代へのものでもあったと思います。
是枝裕和監督作品 誰も知らない
万引き家族で新たな家族の形を描いた是枝裕和監督ですが、誰も知らないという映画もあるんです。 あらすじのサイトです。↓
社会に築かれないという危険性、SOSを発せない圧力のある息苦しい現代社会。それらはこの作品とタコピーの原罪とで共通します。
コミュニティーと繋がる希望について
農村社会へのアンチテーゼとして都市部が発展してきたのだと考えています。
俺さ東京さ行くだや、80年代の群馬出身の糸井さんや山梨出身の林真理子さん、新海監督の「君の名は」など、消費社会と田舎の人達の都会への憧れは密接に関わっていると思います。
居心地が悪い、プライベートのない田舎かもしれませんが、そういう暖かさにも希望を抱きたいです。私は中途半端に栄えた田舎に住んでいますが、本当の田舎の温かさに憧れています。
日本の村社会の悪い所を改善した社会が温かさや情報メディアに頼らない本当の繋がりを持つと思います。
それも「田舎」と言う道具的なモノに頼っているじゃん!と思われますが、優しく真っ直ぐな気持ちで向き合えるようになりたいです。
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