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生活保護の不正受給は本当に悪なのか?

こんにちは!
バーチャルソーシャルワーカーの陽色しなです。

今回は、生活保護の不正受給は本当に悪なのか?というテーマでお話をします。

最初に問おう。
「あなたは不正受給が悪だと思いますか?」

X(旧Twitter)で医師が生活保護の人を批判していたりだとか、生活保護なのに習い事に行っていたり、車を所持しているといったことを見かけましたので、そのあたりも含めて解説していこうかと思います。


生活保護受給者の余暇活動・車の所持について

まず、余暇活動については全く問題ないというのが僕の意見です。
もちろん生活していけないほどに趣味にお金を使ってしまうことやギャンブルなどは問題がありますが、そうでなければ趣味の活動に何の問題があるのでしょうか?

「国の税金で生きて行けているんだから大人しくしとけよ」

こういう批判をする人はもしかしたらこんな風に思っているのかなと想像しています。

税金や社会保険料の増加、物価の上昇などに伴って日本では中間層の生活が苦しくなり、かなり貧困状態に陥ってきているとも言われていて、日本国民全体の余裕がなくなってきていると感じるので、こういった批判は増えてきそうだなと思うのですが、難しい問題ですね。

次に車の所持についてですが、これも例外的に認められることがあります。
田舎に住んでいると車がなければ買い物に行くことも出来ない地域はまだまだ存在します。
そういった場合は認められることもありますので、車を持っているから一概に不正受給というわけではありません。


日本の生活保護の不正受給率

日本の不正受給の割合は年々減少しており、最近では0.29%という試算があります。


不正受給が減っていること自体は良いことなのですが、実際には生活保護を受ける必要があるのに、受けれていない人もかなり存在します。

これを捕捉率と言い、上記の記事では2~3割だと言うことです。

つまりは7~8割の生活保護を受給しなければいけないほど困窮している人がいるにも関わらず、受給出来ていないという現状が日本にはあります。


そもそも不正受給とは?

不正受給というと、暴力団や詐欺集団などが、悪巧みをして、行政を騙して生活保護費をかすみとっている…。
そんなイメージをされる方が多いのではないでしょうか?

ハッキリ言って、そんな不正受給は今では、ほぼありません!

じゃあ不正受給って何なの?ってことで、不正受給になり得る事例を2つ紹介します。


ケース1「母のためを想って…」

母子家庭で育った高校生のAくん。
弟とは歳が離れていて、まだ保育所に通っているし、母には持病もありフルタイムではなかなか働けず、パートで仕事はしているものの、最低生活費には届かず、生活保護を受給している。

そんな母の助けになれればと思ってAくんは母にバイトをしようと思うことを相談するものの、母からは勉強や部活を頑張ってほしいと言われてしまった。

しかし、それでもAくんは諦められず、母に黙ってバイトを始めました。

不正受給です!


ケース2「知らなかったから…」

70歳女性で単身生活をしているBさん
3年前に夫を亡くし、その後も年金とパートで仕事をしながら生活してきたが、昨年身体を壊し、仕事を辞めてから年金だけでは生活していけなくなり、生活保護受給となった。

しかし生活保護受給開始してから約1年後に夫から多額の遺産相続があったことが発覚。
Bさんは認知症の症状が出始めていることもあって遺産の入っている銀行口座を保護課に見せていませんでした。

不正受給です!


解説

生活保護を受けるにあたっては、収入の申告が必要であり、それは申請時も必要ですし、年に1回の収入申告も必要になります

当然、その申告に不備や虚偽があった場合には、不正受給になるわけです。

今回はAくんが黙ってバイトをしていたことは母さんは知らずに収入申告をしてしまい、不正受給となってしまいました。

Bさんの場合も多額の遺産があるにも関わらず生活保護を開始してしまったので、これもまた不正受給に当たります。


もう一度問おう

「あなたは不正受給が悪だと思いますか?」


まとめ

生活保護の不正受給には「善意の不正受給」と「悪意の不正受給」があります。
しかし、実際には「悪意の不正受給」なんてものは、ほとんど存在しません。

不正受給のほとんどが事例としてあげたような善意であったり、知らなかったことで起こるものです。
これを一概に知らないのが悪いと言えるでしょうか?

そして、不正受給が起こる要因としては保護課のケースワーカーの説明不足や配慮が足りていなかったという場合もかなりあると僕は思います。

つまりは多くの人が想像する生活保護の不正受給なんてものは幻想です。

それよりも捕捉率の低さの方がとても問題です。
想像しづらいかもしれませんが、こんなに豊かな日本でも生活保護を受給することが出来ずに餓死してしまう人もいます。

また貧困が広がっていることによる治安の悪化も見逃せません。

生活保護の捕捉率の上昇は誰にとっても生活しやすい社会の形成には欠かせないと僕は思っています。

動画にもしましたので、こちらもぜひ!


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