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第十三話:脳の多様性を愛せ

2016年から、NPO法人生涯発達研究所、ヘルスカウンセリング学会、日本精神保健社会学会の3団体連合で、「認定発達しょうがいアドバイザー」「認定発達しょうがい療育士」という認定資格が創られた。
宗像は、それに合わせ「発達しょうがいコーチング法」という手法を創り、その情緒安定化を図ることで、あるがままにいきることをサポートする。発達しょうがいを「脳の多様性」と捉え、「気質」と「症状」とに区別、それを個性や才能として開花させるように支援しようという。
発達しょうがいを理解していない人は、接し方に戸惑い、良好な関係性を築けなかったり、マイノリティとして排除しようとしたりもする。いまの日本社会は、まだまだそのような人に優しくはない。また逆に、それを盾に、だから私は生き難かったのかと開き直り、社会に甘える人も見たりする。
しかし、宗像は、これも「個性」として生かせと世の中に問うのだ。

多様性が本当の意味で尊重されない今日の社会では、ADH気質や自閉症スペクトラム気質をもつものは、ありのままに生きようとすること自体が困難であり、生きづらく慢性的にストレスを持ちやすい状況を作り出します。その状況下ではADH症や自閉症スペクトラム症というストレス症状が作られ、炎症を起こす蛋白質を生み出しやすいために、脳内炎症である精神疾患のみならず、体内のあらゆる炎症から身体疾患の生成にも繋がります。

ADHDを測定する尺度(ASRS-v1.1)や、自閉スペクトラム症を測定する尺度(AQ)の得点の高さが発達しょうがいの得点を示しますが、SAT療法により穏やかな自分を取り戻すことで、現在のストレス症状を消失させられますから、尺度得点が低下し、発達しょうがいを示す得点がなくなり、ただの個性として、気質の特徴を表すだけの得点となります。また気質の多様性によっては、特定の刺激に反応しやすい場面別に負担感があったり、相手の気質によって負担感が生じますが、SAT療法では、それらに応じた気質対応行動を穏やかに実施できるようトレーニングします。

ADH気質や自閉症スペクトラム気質のチェックと対処法

発達しょうがいと言われ、いま生きづらさを感じているあなたに、宗像は、その情緒を光イメージや代理顔表象、心が安らかに感じる光景をイメージさせることによって安定させ、この社会の中でも、上手く生きられるSAT療法を創り、サポートしている。

まず、ADHDを測定する尺度(ASRS-v1.1)をチェックしてもらい、遺伝的特徴、気質としてのADH気質を診る。

0点だと発言内容が普通で常識的。
点数が増えるごとに、発言内容が平凡でなくなり、パニクりやごだわり、情緒不安定の傾向が増していく。

4点以上になると、以下のような「注意欠如多動症ADH症」の特徴が見られるようになる。
・何かをしていてもいろいろなことに気が散る
・じっとしていると何か落ち着かなくなる
・上から目線で何か言われると反発したくなる
・シャツのボタンがズレたり、ファスナーを閉め忘れる
注意欠陥多動症ADH症の方はADH気質のない方に比べ、意思決定や行動を計画する時に働く前頭前野の活性や快感中枢である側坐核の活性が低いため、行動的だが衝動的でミスが多い

という脳の特徴があるが、宗像は、これをマイナスと捉えるのではなく、

機械はミスをしないが、それは創造性がないことを意味する。ADH気質の人がミスをすると新しい発想、学習が生まれる。反抗挑戦性があり行動的なADH気質の人は、創造力が高く、これまでにない新たな発明や発想で挑戦でき、行動力が高い。これは営業マン、起業家、発明家、芸術家に向く。しかし、学校では「従来のことを模倣して学ぶ」ことが中心となり、保守的な社会では「変わったことを言う、ミスを繰り返したり、行動的で反抗的な面がある」ADH気質の人は、まわりから好まれづらいところがあるため、エジソンやスティーブ・ジョブスのように、自分で失敗をしながら学ぶという生き方になる。

という。そして、

SAT法の「情緒安定化法」によって、穏やかな自分を実現できると、自分に起こってくる問題から、あるがままを生きるための独自の生き方を学ぶことができる。

のだという。


次に、AQ尺度で、従来型自閉症、高機能自閉症、アスペルガー症など自閉症スペクトラム症を診る。

10点以内・・・社交的、空気を読む、視線を絡ませる
15点を越え20点以上・・・「視線を絡ませない傾向、マイペース、興味が個性的で静かな面」自閉症スペクトラム症の特徴が強まる。

30点を越える・・・以下のような「自閉症スペクトラム症状」が出てくる。
・人の目を見ると話がわからなくなってしまう
・「あなたは、話をちゃんと聞いていないでしょう」とよく言われる
・急な予定変更に上手く対応できない
・まわりのことが全然気にならないくらい何かに没頭してしまうことがある
・全体を見て周りの空気を読むのは困難である
・「そんなに多くの荷物を持ち歩かなくてもいいでしょう」とよく言われる
・まるで映画を見ているかのように、物との距離感が立体的に分らない
これら症状を出しているときは、不安や恐れが強いために、その情動を抑えるために絶えず左脳思考し、思い込みや妄想を持ちやすく、反対に右脳による直感が働きづらく、周りとどのようにかかわればいいかわからない状態になる。
大脳の特徴から見ると、自閉症スペクトラム気質の人は、異なることを2つ、3つ同時にこなすのは得意でなく、周りの目線を気にせず空気を読まないで1つのことに没頭することが得意で、職人、アーティスト、研究者に向いている。
自閉症スペクトラム気質の人は、ビル・ゲイツのように社交性が弱く、人づきあいは下手。

なのだが、これも先のように、SAT法の「情緒安定化法」によってコントロールできるとする。

自分で発達しょうがいをチェックする

自分はADHDではないのか、そんなふうに感じている方、日本イーライリリーのウェブサイトで自分でチェックできるので、やってみるといい。
成人期のADHDの自己記入式症状チェックリスト(ASRS-v1.1)

これは、あくまでも主観になる。
宗像は、この質問事項を、「いま」と「これまで」とに分け、いまは該当しないけれども、持って生まれたものはあるな、なんて見方もしているので参考にされるといい。
ちなみにパートBをやっても、結果をみるボタンはありません。

パートBの結果は、医師にとって役立つ情報となりますので、もし医療機関を受診される可能性がある場合、チェックをしてください。

なので、時間のムダは避けてね。

AQ尺度についても、以前はウェブで無料診断できたのだけれど、いまはみつからない。商業ベースに乗ってしまったのだろうか、残念である。
文献があるので紹介しておく。その気のある人は、中を読んで、自分でチェックされてもいいだろう。

若林明雄ら「自閉症スペクトラム指数(AQ)日本語版の標準化-高機能臨床群と健常成人による検討-」
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjpsy1926/75/1/75_1_78/_pdf


発達しょうがいの適職

ADHや自閉症スペクトラムの適職については、宗像も挙げてくれたが、ウェブ検索をしてみても、いくつも出てくる。
いまは時代が大きく動いているから、なかなか生きづらいかもしれないけれど、これらを参考に、あるがままに生きられるとしあわせだね。

● DIAMOND onlineの記事
発達障害の人に向く職業、向かない職業は何か(2018.7.10)

ASDの人に向いているのは『コミュニケーションをあまり必要としない職業』です。例えばプログラマーなどのコンピューター関連の仕事が挙げられるでしょう。また、なにか1つの物事に対して抜群の集中力を発揮する、という特性も持っているので、研究者、校正・校閲のような、スペシャリスト的な仕事に向いています。単純な入力作業など、同じことを何回も繰り返すような仕事にも向いているでしょう。

逆に、コミュニケーション能力を要するような職業や、マルチタスク能力を要する職業、臨機応変に対応しなければならない職業などには向いていない。具体的には接客業や営業職、教師などがこれに当たる。また、様々な業務を並行するマルチタスク能力が必要な一般事務や電話オペレーターなども難しそうだ。

ADHDの人は、職種以前に、まずは自分の興味のある分野から仕事を探すべき。「何事にも強い動機づけが必要なADHDの人には、その人が興味を持っている分野の職業が向いています。得意だ、好きだ、という明確な意思があれば、そのハンディを克服できるでしょう。また、興味の対象が移り変わりやすいので、その日によって扱う物事が変わるような職業が向いています。具体的に挙げるならば、ジャーナリストなどのマスコミ関係、芸能人、個人経営の貿易商などです。逆にマルチタスク能力を必要とする職業は不向き。また、継続した集中力が求められる、工場の流れ作業のような仕事も難しいでしょう。」

LDの人は、全体像を読み取る力に長けているため、視覚的な仕事が向いている。「建築家、彫刻家、カメラマン、デザイナー、俳優、シェフ、アニメーターなどが向いています。細かい情報を読み取るのは苦手かもしれませんが、そのぶん、記号として視覚的に物事を認識できる仕事がいいのでしょう」
ただし、LDの人は苦手な能力が人それぞれ異なるため、一概に言うことはできない。何が苦手なのかをしっかりと把握した上で職業選択に臨む必要がある。

注意したいのはASDとADHDを併発しているといったケースもあることだ。もし併発している場合は、特にどの症状が強く出ているのかをより見極め、「絶対にできないこと」をあぶり出す必要がある。


● Kaienという会社のウェブページ
発達障害に向く仕事・働き方 「一般雇用」と「障害者雇用」の違いから

ASD傾向の方に向いている仕事・業務
「ASD(自閉症スペクトラム、アスペルガー症候群・広汎性発達障害)」傾向の場合は作業内容が固定化された型にハマったような仕事が良いでしょう。
ASD傾向の発達障害の人の適職の例として「経理職」が上げられます。「IT関係」の仕事も適性が当てはまることが多いようです。人間相手の微妙な頃合いで正解が変わるものではなく、ある程度合理的に仕事が進んでいく、成果物も○×がわかりやすいという点がフィットしています。「事務作業」も対人折衝が少なければ得意なことが多いでしょう。

ADHD傾向に向いている仕事・業務
「ADHD(注意欠如多動性障害)」傾向の場合はご自身の興味関心にあった上でミスや抜け漏れが目立たない仕事が良いでしょう。
ADHD傾向の方の適職は、ユニークな発想を活かせるクリエイティブな仕事や、その場でやりとりが完結するような業務が得意な傾向があります。重要なのはご本人の集中力が薄れないこと。いくつもの業務や役割を同時に任されることよりもその業務に専属で取り組めることも重要になります。
起業家やフリーランスには発達障害、特にADHD傾向のある人が多いと言われます。確かに起業家にADHDが多いのは実際に調査結果でも出ています。しかし得意を活かせるものの、営業や経理まで一人でこなさねばならない点では不向きな働き方です。起業やフリーランスでの働き方を選ぶ場合は、自分の苦手をカバーしてくれるビジネスパートナーや取引先、支援者との協力関係を築くことが何より重要です。

発達障害の方が苦手とする仕事・業務は残念ながらたくさんあります。「電話応対の多い業務」や同時並行が多く相手の気持ちも汲みながら働くような「接客業務(特にASD傾向の強い場合)」、段取り良くかつ時には話を盛る必要もある「営業」、ミスが許されない「書類の作成業務」などがあげられます。
向いているとされるIT関連でも、調整の役割の多い「SE」や、プロジェクト全体の予算や進行工程、人の管理を行う「プロジェクトマネ―ジャー」といった職種は基本的には避けたほうが良いでしょう。

今回は、最近よく話題になる「発達しょうがい」に対する、宗像の取り組みを紹介し、そのチェックの方法や適職について書いてみた。宗像は、発達しょうがいという脳の特徴があっても、SAT法で情緒を安定させれば気質として生かすことができると教えてくれた。
過去に世界で名を馳せた事業家たちの中にも発達しょうがいが大勢おり、その特徴を生かすことができれば世の中に大きな愛を提供できる。社会の「常識」に合わせて生きなければいけないという考えは、そろそろ捨ててはどうだろう。人は元々人とのつながりの中で自分の役割を持ち、それを発揮させることでしあわせを感じるようにできている。恐れず前に歩み出せ!


私はSAT気質アドバイザーとして、標準3×3の気質に加え、このADH気質や自閉症スペクトラム気質のチェックや、コントロールについてのアドバイスも行っている。気になる方はこのブックのトップページを参考に、連絡を入れてみてほしい。

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