第二話:魔法の愛の言葉
私がヘルスカウンセリングを学び始めた頃は、カウンセラー、グループカウンセラー、コーチと3つも養成コースがあったため、毎月のように市川に出向いていた。2009年2月から学びをスタートした私は、4月に、母親の子宮をイメージし、自分が産まれ出るまでの光景を良くすることで、その後生じる問題を解決する自分になるセラピーを練習し合った(SOM研修)。
4月は、めずらしく大阪で研修を受けたが、時間が足りなくて、産まれ切ることができず、悪い胎内に取り残されたままになり、苦しむ羽目になった私。その1週間後、市川で宗像に無事出してもらったことが、いまでも鮮明に記憶に残っている。いまは、こんなリスクの高い方法は行なわれないので安心してほしい。
十月十日過ごした母親の胎内、そこにお別れを告げて、狭い産道をくぐり抜け、必死の思いでこの世に産まれ出る。その瞬間、目に飛び込んできたお母さん、お父さんの顔はどんなだっただろう。お母さん、お父さんは、あなたにどんな言葉をかけてくれただろう…。
バーストラウマ
あなたが、この世に生まれた時、もしも両親が、無表情だったり、悲しい顔をしていたとすると、大きな心の傷となっているかもしれない。
あなたは「バーストラウマ」という言葉を、聞いたことがあるだろうか。赤ちゃんがお母さんのおなかの中にいる時(胎内期)、いろいろ苦しい思いをしているかもしれない。へその緒が首に巻きつくこともある。両親の夫婦喧嘩が絶えなかったり、嫁姑の仲がうまくなかったり、お母さんがストレスフルな環境下に置かれていると、子宮がギューッと締まったり、羊水が冷たくなってしまっているかもしれない。あるいは、臭く汚れた羊水になってしまっているかもしれない。赤ちゃんは、おなかの中にいながら、外の音も聴いている。自分がギュッと締めつけられて苦しい時に、聞こえてくる声や音は嫌なもの、避けたいものとして、幼い頭に記憶されることだろう。
出産時はもっと大変である。いままで守ってくれていたお母さんの子宮、羊水の海にお別れを告げ、身体を回転させながら、狭い産道を通り抜け、痛みや苦しみも感じるだろう。そして、初めて自分の肺で呼吸をする。それまで、へその緒を通じて供給されていた酸素や血液も断ち切られてしまう。酸欠状態になり、死の恐怖を覚えているかもしれない。これからは、自分の力で生きていかなければいけないのだ。そのために、本能的に母親の愛を得ようとする。
なのに、たとえば早産だったりすると、母親の温かい胸に抱かれることもなく、新生児室などに別々にされて、悲しい思いまで経験する。
これらの体験が、赤ちゃんに、不安や恐怖などネガティブな感情を抱かせたりする。癇癪や夜泣きがひどかったり、ひどい後追いとなって現れたりする。
「計画出産」について、ネット検索してみる。
陣痛促進剤を使い人工的に陣痛を起こし,出産日時をコントロールすること。予定日を過ぎても陣痛が起こらず,胎盤機能も低下した場合,医学的立場から母子の安全を第一に考え,出産日を決定する。病院や妊婦の都合で安易に決めるべきではない。*ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説
陣痛促進剤で無理矢理子宮から出される。帝王切開になった場合、メスの先端を見ていたという記憶を持つ赤ちゃんもいる。尖った刃が自分の方に迫ってくることが、どれほどの恐怖なのだろうか。
先の解説の最後にはあるが、実際には、病院の都合、親の都合で、赤ちゃん自身が生まれたいと思うときに生まれて来れない状況を作ってしまうこともあるかもしれない。それが、大きな心の傷となって残ってしまう。
ただ、赤ちゃんが成長するにつれ、潜在意識に潜伏してしまうことから、ご本人には気づきにくいことが少なくない。
バニシング・ツイン
この他にも、赤ちゃんがおなかの中にいる時に、いろいろな出来事が起こっているようである。いまは、エコー検査で、胎内の赤ちゃんの姿を見せてくれる。お母さんは、その姿を見たり、元気そうな心音を聴いて安心するとともに、わが子に対する愛を感じる。
学校で妊娠のことを教わるが、その内容はいまでは真実でないことも少なくないようだ。たとえば「過妊娠」「過受胎」という言葉がある。妊娠経過中に排卵が生じ、妊娠週数の異なる二つの妊娠が同じ子宮の中で起こる、異なる時点の性交で、複数の卵子が受精するということがあるということなのだ。
「双生児」に関する記述の一部を、Wikipediaから引用する。
バニシング・ツイン(Vanishing Twins)
双胎妊娠が判明した後、ごく早期の段階で一方が流産となり結果として単胎妊娠の形になることをバニシング・ツインという。胚(胎児)が母体に吸収され、あたかも子宮内から消失(バニシング)したように見えるため、この名称がついている。研究者の中には実はほとんどの妊娠のごく早期は多胎受精なのだが、妊娠が確認される頃に単胎になっているのではないか(バニシング・ツインを経た後に妊娠が判明しているだけなのではないか)と仮説を立てている者もいる。
宗像は、8人に一人は多胎児であり、その8割がこの世に生まれてくることがないのだと教えてくれた。
キメラ (chimera)
本来ならば二卵性双生児になるはずだった二つの受精卵が、融合して一つの受精卵となることがある (dual identities)。多くの場合は受精卵が成長せずに出産まで至らないが、一個体が二種類の遺伝情報を持つキメラとして生まれることもある。またバニシング・ツインで本来は母体に吸収されてしまう胚が残った胚と融合し、キメラで生まれる場合もある。特に異性双生児として生まれるはずだった胚が融合した場合、雌雄同体 (hermaphrodite) や半陰陽が生まれる可能性も生じる。
この「キメラ」の話は、また別の機会に詳しくお話ししたい。
胎内でのこのような出来事が、赤ちゃんにとって、どれだけ心の傷になるのだろうか。少し私が手を加えた例を以下に示すが、宗像は、このような質問をいくつかして、これらのトラウマを調べていく。
・強い恐怖感や戦標を感じたり、実際に死ぬような体験、あるいは重傷を負うなどで、無力感を感じるようなできごとが、一度または数度あるような気がしますか。
・強い恐怖感・無力感や戦慄を感じるような他人の生命危機にかかわるできごとを目撃したり、直面したような気がしますか。
・心の傷に関するような、触れることを避けたくなるような、恐いと思うことがありますか。
これら質問が気になる人は「SATヘルスコーチング」を受けられるのもいいだろう。「DNA気質」でもお話した「代理顔表象」を使ったり、もっと心の奥深くに触れる「SAT療法」で癒すことができるから。
魔法の愛の言葉
専門的な話になってしまったが、もっと簡単に、親の愛を感じられる方法があるので、今回のお話は、それを紹介して終わりにする。
自分がこの世に生まれる瞬間、両親の愛を、思いっきり感じる。それを体験できたら、あるがままのあなたでいいんだと、自然と思えるようになるだろう。両親の愛を感じられると、自己価値感もグッと高まり、心があったかくなるのだ。冒頭の研修の話に戻る。私はそこで、両親の愛を感じられるような言葉を、互いがかけあって、心の癒しを体験した。
宗像の著書「人生をリセットしたいあなたに―「心」と「脳」に効くバーチャルサプリ」にCDが添付されている。
すでに絶版となって買えないから、少しだけここに引用させてもらう。
お母さんの「魔法の愛の言葉」
お母さんね、赤ちゃんを授かって ほんとにうれしい。
これまでの人生のなかで 一番うれしいことかな~。
お母さんのところに来てくれて ありがとう。
お母さん、とっても幸せだよ。
お母さんのお腹のなかで、いっばい栄養をとって
いっぱい休んで 大きくなって生まれてくるんだよ。
お父さんの「魔法の愛の言葉」
お前を授かって、お父さん、うれしいよ。
無事に出てこいよ。
お父さん、外でまってるからな。
がんばって 無事に出てこい。
生まれてきたら、そこにお父さんがいるからな。がんばれよ。
実際には、この何倍もの言葉が書かれているが、著作権に触れるので、あとは古本などに機会を譲る。
自分の小さいころの写真を見ながら、それをどんどん小さくし、お母さんのお腹の中に戻っていくイメージをしながら聴く。宗像先生が父親、もうお亡くなりになってしまったが橋本小百合さんが母親役。この2人の言葉は、いつ聴いても心を癒してくれ、平安な気持ちにさせてくれるのだ。
おわりに
「魔法の愛の言葉」と題しながら、出産時だけでなく、胎内期の深い話にまで触れてしまった。このトラウマをもっている人は、私の書いた文章を見て、反応が出てしまったかもしれない。もし、ネガティブな思いが込み上げているとしたら、大変申し訳ない。
ぜひ、どこかで、この、魔法の愛の言葉を手に入れて聴いてみてほしい。あるいは、私やほかのヘルスカウンセラー仲間に相談してほしい。
前回、「第一話」としている。前にも書いたように、一応、なにを書くかを構想して書き始めたのだが、なかなか筆の進まない話題もある。そうすると、そこでつかえて、前に進めなくなってしまうということになる。実は、このテーマが、ちょっと引っかかり、なかなか更新ができなかった。なので、今後は、タイトルだけに変更するかもしれない。気になるタイトルから読んでいただければ幸いである。記事が貯まったところで、マガジンとして整理していく予定。
これで、宗像恒次から教わった「愛」の話を2つ書いた。まだ、このnoteには、感想を直接いただけていないが、Facebookにいただいたものがあるので、ここに記述しておく。よかったら、あなたの感想も聴かせてくれたら、私は嬉しい。
「あるがままの自分」にたいするコメント
・4/5 note たったの今 読みました。涙しながら読みました。ミスター横地さんが上京される時がありましたら、ぜひ気軽にご連絡いただきたく思います。(Mさん)
・シェアさせて頂きました!とてもわかりやすく素敵です。(Mさん)
・横地さんの文はパワーがあるのに整然としていてわかりやすいですねー。(Hさん)