João Gilbertoとの出会い-1967- 僕と音楽と⑹
レコードを買うという病気が始まると、僕の雑食な嗜好は最初からだと分かる。
買うと言っても、お小遣いでは、EPシングル盤。
好きだけど買えない。それでも買う。自分の好みに色が付いていく。
因みに僕のThe Beatlesは、Hello,Goodbyからだと思うが、レコードは無い(笑)
僕のシングルコレクションは、いつかまた整理するとして、
いわゆるLPレコード、アルバムはシングルの5倍(だいたい10曲入っているから)で、
1,500〜1800円位だったから、お小遣いではなかなか手が出ない。
そんな思いで、とうとう手に入れた、初めてのLPレコードは良く覚えている。
ラヂオの時代、既に洋楽ポップスも聴くようになってはいたが、
いつもはクラシックか唱歌しか掛からない学校の音楽で、先生はボサノバを掛けたのだ!
この瞬間が、僕がジャズ寄りの世界に引き込まれた最初の瞬間だったと思う。
お小遣いを握りしめ、レコード屋へ駆け込み、手にした白いジャケットの帯には、
「これがオリジナル・ボサ・ノヴァ」と。
記憶の海とは曖昧なもので、後年レコード棚から引きずり出すまで、
僕はジョビンのレコードだったと信じ込んでいた。が、
これこそが大好きな、João Gilbertoとの出会いだった。
Joãoは、通称オデオン3部作と呼ばれる、デビュー作〜3作がある。
想いあふれて (Chega De Saudade) (1959)
愛と微笑みと花 (O Amor, O Sorriso E A Flor) (1960)
ジョアン・ジルベルト (João Gilberto) (1961)
僕が擦り減るほど聴いたのは、この2作目の、O Amor, O Sorriso E A Florの全曲に、
デビュー作の、Chega De Saudadeから数曲を加えた日本編集盤だった。
40余年を経て、21世紀に入って3度の来日を果たし、
2006年11月4日、東京国際フォーラムのホールAで、遂にJoãoを見、そして聴いた。
祝日にも関わらず、外せない仕事が入り、タクシーで駆け付けたのは、
2時間近く遅れた頃。もう終演かと思いきや、常習犯のJoãoは演奏を始めて間もなく、
静謐な、Joãoの音楽空間に滑り込んだ。
もう一度来日の話があったが、体調を崩し、これが最後の来日公演となった。
この日の公演は、初の映像作品となるはずで、予約をしたが、Joãoのo.k.が出ず、
お蔵入りとなっていたが、来日公演を実現した宮田茂樹さんの粘り強い説得で、
13年後の2019年3月、劇場公開、5月には我が家のリビングへやって来る。
オデオン3部作については、2018年4月19日、下北沢にて、宮田茂樹さんから、
オリジナルマスターを聴かせて頂いた。
そして2019年7月6日、Joãoは88年の生涯を閉じた。合掌
本日の一曲
João Gilberto「Corcovado」