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目で見て口で言え「バッドエンド・ピノキオ「ペトリューシュカ」」

久しぶりに配信で舞台を見た。以前からTwitterなどで名前だけは知っていたTremendousCircusのCODE:RED2「バッドエンド・ピノキオ「ペトリューシュカ」」。無観客配信公演ということで、まずはロシア民謡などのミニライブがあり、続いて表題のお芝居。ペトリューシュカとは、20世紀初めにストラヴィンスキーが作曲したバレエ音楽で、身体におがくずの詰まった道化人形の物語。同じ人形使いに操られてショウをするバレリーナ人形に恋をし、ムーア人の兵士の人形と彼女を争う。今作では、それぞれの人形に人間としての前世があり、すべては人形使いの所為で自由のない人形となって見世物にされたペトリューシュカが、人間だったころの心を取り戻し、人形使いに逆らって、ついに……という展開。ペトリューシュカは戦争から逃れる途中で親と生き別れになり、バレリーナは母親からの虐待に、ムーア人は兵士として人を殺し続けることに、それぞれ絶望したところに現れた人形使いの甘言に乗って彼の操り人形となったのだった。

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映像配信はツイキャス。それに加えて、当日パンフレットやネタバレ満載の作品に関するカンニングペーパーもついてくるという贅沢仕様。三人の人形を演じる役者は一言も声を発せず、かわりに彼らの後ろに立つ役者が「心の声」としてマイクを使う。パンフレットにも書かれている現在の世界情勢に関する高らかな創作者としての「宣言」に重なるような、「声を出せない人形(ボディ)たち」と「その心の声たち」の対比と終盤の迸る展開が鮮やか。冒頭マイクを持つ彼ら(声)に感じた違和感は、すぐになくなった。そしてこの「心の声」たちに関するある演出も、面白かった。そしてまあ、人形たちの身体能力の高さといったら!今回の公演は、今月予定していた舞台を中止したため急遽無観客配信という形で企画したらしい。年内かなり精力的に公演を予定しているようなので、見に行くのがとても楽しみ。なお、配信は今月25日まで視聴できるそう。台本や創作ノートも販売している。ご興味がある方はぜひ。

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