目で見て口で言へ(演劇篇)22本目「壁背負う人々」
アゴラ劇場でくによし組「壁背負う人々」見てきました。昨年か一昨年配信で短編を見て以来です。
上演順はチラシの表記とは少し違っていて、「壁とアルコールとアイドル」が最初、次が「ななめ島」でした。「壁教」を巡る話は初めて見ましたが、なんというか、小さな壁を背中にしょっている佇まいがそこはかとなく可笑しくて、どんなまじめな話をしていてもクスクス笑ってしまいますね。作演出の國吉さんの作るお話は、「それをどうやって舞台で表現するの?」という設定が多いような気がします(あまり見てないけど)。たとえば「ななめ島」の設定とか、眠り続けているうちにおじさんみたくなった元美少女とか(なんなら壁教という宗教とか)。それを力技で立体化してクスクス笑わせながら納得させるところがすごいです。どの話も、「自分は何者なのか、何に拠って自分は生きているのか」ということを声高ではなくひっそりと問いかけている(あるいは自問している)お話なのではないかな、と思いました。(以前初めて見た「サバンナモンキーの憂鬱」のアレとかも非常に印象に残っています)
「壁とアルコールとアイドル」の壁教の人が、誰だか知り合いに似てるなあと思いながら見ていましたが思い出せず、自宅に帰ってから思い出した名前は知り合いではなく芸人さんでした。(誰かはあえて伏せます)(直後にその役者さんの写真を見ていたら知り合いの誰に似ているのか天啓のように思い出しました)(やはり名前は伏せます)
「眠る女とその周辺について」は、今時はやりのシェアハウスを舞台にした若者たちの恋愛模様(苦手というか興味があまりないやつ)かなと思わせつつ、かなりエグくてかつ現実的な事象を終盤で(実ははじめからだったんだけど)ぶっこんできていて、クスクス笑いが一瞬止まりました。でも笑ってしまいますね。笑うしかないというか。
「ななめ島」「壁の人」は閉じた社会のじっとりした、でもそこに絡めとられて行く快感も味わわせてくれるお話だと思いました。
ツイッター(X)とかで國吉さんのツイートを読むと、なかなか劇団やっていくの大変そう(特に経済的に)ですが、無理のない範囲で続けてもらって、また長編見たい劇団のひとつです。
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