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ものぐさ太郎映画日記〜「裁かるゝジャンヌ」

横浜シネマリンでカール・テオドア・ドライヤー監督の特集上映があって、柳下美恵さんのピアノ伴奏による「裁かるゝジャンヌ」も上映されるということで行ってまいりました。タイトルとあのジャンヌのアップのビジュアルだけは以前からどこかでうっすら見て知ってはいましたが、不勉強でドライヤー監督作品はこれが初めてであります。

百年戦争で兵を率いて各地で勝利したジャンヌは、イングランドに送られ、異端審問にかけられる。厳しい審問に、一度は挫けるジャンヌだが、最後には自ら火刑になる道を選ぶ。

その後復権裁判で守護聖人となったジャンヌではありますが、実際の異端審問の記録から描き出されたジャンヌの姿は、意志は強く揺るぎない信仰心を持ちながらも厳しい尋問に恐れを抱く普通の若者でした。物語は恐ろしいほど静かに進んで行き、ついにクライマックスの火刑のシーンへ。柳下さんのピアノは静かに物語に寄り添いながら、海千山千の審問官たち(これがまあ揃いも揃って顔面強度MAXのおっさんばかり!)とただ一人で対峙する19歳のジャンヌの姿を、その苦悩を浮き彫りにしていました。肉体的な拷問はありませんでした(拷問道具はこれでもか、とばかりに映されていました)が、尋問は緊迫感に溢れていました。そういう意味ではなかなかきつい映画でした。それでも目を背けることなく最後まで見ることができたのは、柳下さんの演奏のおかげかもしれません。

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