目で見て口で言え「マリーバードランド」「赤き方舟」
北とぴあペガサスホールでやみ・あがりシアター「マリーバードランド」見てきました。こちらの劇団の公演は久々に拝見します。
まだ誰のものでもありませんーー。
マリーバードランドは、南極大陸西経90度から150度にかけての地域で、どの国にも領有を主張されていない、正真正銘の無主地です。
私達のご提案するマリーバードランドウエディングツアーでは、挙式だけでなく、ご家族やご友人を招き、現地で簡単な披露宴をすることが出来ます。新郎新婦はタロとジロのように寄り添い、それを見守るゲストはいわば愛の観測隊❤️
誰のものでもない場所で、誰かのものになれる旅
きっと、どんな難局も乗り越えられる二人になる
ーー南極だけに。
南極にある唯一の無主地でブライダル会社とツアー会社がタッグを組んだ、コロナ禍に喘ぐ企業の起死回生の必勝プランをプレゼンする披露宴。閉ざされた場所で繰り広げられる地獄の披露宴であり、フィーリングカップル5vs5(地獄Ver)でもあり、「いろんな愛の形ってあるよね」って地獄の鬼同士が深夜語り合うようなものであり、まあどちらにしても地獄のような展開が続く100分。惚れたはれた爆弾があちらこちらで誤爆するにもかかわらず、心の泉からっからのワタクシ(おぢさん)が楽しく見ていられたのは、(金銭)欲と(性)欲が等しく登場人物の立ち居振る舞いに出てきているからかなあ、と思ったのでした。潔い。小寺さんの演じるパティシエとウエディングプラン会社社長の夫婦についての、日野さんのスピーチが、いわれている二人に年齢が(割と)近いからか、やはりグッと来たですねえ。実は今回の舞台、間違えて前日の昼に予約していて(自分では日曜の昼に行く気でいる)、前日制作さんから来た確認メールでも気付かず、土曜日の夜にやっと己れのしでかしたことに気付いて慌てて連絡して、なんとか本日見ることが出来たのでした。本当に、スケジュール管理ちゃんとして自分!当日パンフレットでワタクシが初めて見た「すずめのなみだだん!」再演だそうで、ああ、面白そう!と思ったことであります。
つづいて下北沢に移動して、小劇場楽園で芝居屋風雷紡「赤き方舟」。
連合赤軍によるあさま山荘事件の前後の話。金山美智子は赤軍派に入り、同じ大学の重信房子と出会う。やがてパレスチナに渡った房子と日本に残った美枝子は、お互いに月を見ることで心を通わせる。赤軍派は革命左派と合同戦線を張り山岳ベースに籠って……。主人公以外はそのまま本人の名前を使っている。連合赤軍事件では約30人のうち三分の一以上が「総括」されたわけだけれど、今回の舞台では男女6人という非常にミニマムな座組。この体制は、この話と対をなすらしい「‘72年のマトリョーシカ」と似ているのかしら。「世界を変える」を合言葉にそれぞれの思惑が先鋭化して擦れ違って行く、ヒリヒリした話。声の大きい勢力に掻き消されがちな人々の、でも確かにある「声」を掬い上げて舞台にあげている。ただ、あさま山荘に立て籠った当時の彼らは二十代後半のはず(ですよね?)。そこがなあ……難しいなあと思ったですよ。いや、難しい。役者の顔や腕の肌理までが見えてしまう小さい劇場だからこその難しさ、かもですねえ。男たちのダメさ具合を(肉体という観点からも)いやというほど観客に見せつける、という意味では効果的(なのか?)と、いえなくもない……かも(自信はない)。
どちらも明日21日が千秋楽。
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