「ミニミニ外国」ってなんだかかわいい名前。それは身近でコンパクトなポップアップ型の異国の街。アーチをくぐるとレストランやカフェ、銀行があって、話す言葉はすべて英語。ここで外国を疑似体験してるうちに、いつのまにか苦手な英語にも慣れていって――そんなテーマパークが広島にあったらどう思う?
医療の世界から転身した今回のチャレンジャー、起業の世界はワンダーランドだったのでしょうか?
CHALLENGER「株式会社MMGインターナショナルサービス」宮井ふみ子さん
宮井ふみ子(みやい・ふみこ)さんは以前は薬剤師。20年間安佐北区で病院薬剤師として働き、40歳すぎに広島大学病院に治験コーディネーターとして転職した。それが人生の転機となった。
きっかけは自身の経験であり子供の反応から。そこから宮井さんは日本国内で英語体験ができる「ミニミニ外国」事業を立ち上げることを考える。
ミニミニ外国とは、つまりテーマパークのようなもの。そこは多くの外国人が街を作って待ち構えている。パスポートを持って入国審査を通過し、ミッションをこなすとお金がもらえる。それを銀行でドルに両替し、そのお金でショップで買い物ができるのだが、その過程は常に英語で行われるのがミソ。ゲーム感覚で楽しみながら異国の生活が体験できる仕組みなのである。
アイデアが閃いた宮井さんはさっそく行動に出た。
実際やってみたことで手応えも気付きもたくさんあった。
これまでミニミニ外国として大きなイベント52回、その他のイベントを280回開催。当初はNPO法人を立ち上げ薬剤師と二足のわらじを履いていたが、「ミニミニ外国一本でやっていきたい!」という想いが強くなり2017年に「株式会社MMGインターナショナルサービス」設立。今は専業で事業に取り組んでいる。
そんな大きな夢を抱えてRINGの世界に飛び込んだ。
SECOND「株式会社ファルコン・キャピタル」立野剛超さん
宮井さんのセコンドに付いたのは、東京で経営コンサルティング会社「株式会社ファルコン・キャピタル」を経営する立野剛超(たちの・こうき)さん。
まさに経営のプロと言っていい立野さんの夢は「広島発の世界企業を創出・支援したい」。宮井さんのビジネスプランを聞いたときは何を思ったのだろう?
立野さんにも英語で苦労した経験があったとは。
夢は大きいが経営は素人のチャレンジャーと、経営に関して叩き上げのセコンド。このコンビでミニミニ外国の活性化がはじまった。
小学校の英語授業に参入
実証実験として4校が採用!
そんなミニミニ外国が今回RING HIROSHIMAでトライしたのは、県内の公立小学校における実施検証だ。
ミニミニ外国を授業の一環として採用してもらえないかというのが今回のポイント。しかしすぐに壁にぶち当たった。
それでも2人は挫けなかった。開き直って各学校に飛び込み営業を仕掛けていくうちに次第に視界が開けてきた。
最初こそ停滞したプロジェクトだったが、動き出してからは早かった。あまりの引き合いの多さに、当初3校だった予定を4校に増加。12月には廿日市市の平良小学校、廿日市小学校、年明けには広島市の祇園小学校、廿日市の大野学園で「授業としてのミニミニ外国」が開催される。
RINGで成功しても真の成功にはならない
大事なのはRINGを機に事業が伸びること
これまでの活動を振り返って、2人はこう話す。
想いを持った情熱派チャレンジャーと、それを支える現実派セコンド。2人の組み合わせはRING HIROSHIMAが目指す理想的なコンビネーションであるように感じられる。
「国際平和文化都市」を自認する広島の中に、もうひとつの独立国=ミニミニ外国が誕生する。それはとても素敵な話だし、その日が来るのは案外遠くないかもしれない。
●EDITOR’S VOICE 取材を終えて
個人的に、たまたまサンモール上階に貼ってあるミニミニ外国のポスターを見て、「これ何だろう?」と思ってたんです。こんなテーマパーク活動が行われていたとは。なるほど、納得できました。
宮井さんの話で印象的だったのが、ミニミニ外国は子供たちのためであると共に、広島在住の外国人のためでもあるということ。
国際都市を目指すには、多くの外国人が快適に働ける環境があってこそ。ミニミニ外国は広島の街の未来の在り方も問うているように思えます。
(Text by 清水浩司)