人も野菜も、バス停に集合!?貨客混載の「やさいバス」【実装支援事業】
野菜を載せて走るバス。それが「やさいバス」。
優しいその響きに筆者が想像したのは、マイクロバスに新鮮な野菜をたくさん積んで、バスの路線をのどかに走っている姿でした。
しかしその実態は、のんきな私の想像をはるかに超えるすごいバスだったのです。
人と野菜が一緒に乗る「やさいバス」
やさいバスはその名の通り、各生産地を“停留所”として、出荷する野菜を載せてスーパーなどの売り場近くまで運んでいます。生産者にとっては新しい販路のひとつに、店舗にとっては収穫直後の新鮮な地元野菜を仕入れる手段となります。
そして“停留所”を周るバスには、「やさいバス」専用チャーター便と、路線バスを利用した貨客混載便があります。
貨客混載便では、路線バスのバス停で乗客とともに野菜を載せて、出発進行!目的地の売り場近くのバス停まで、野菜と人が一緒に乗って行きます。
昨年度D-EGGS PROJECTでは、そごう広島店にやさいバス専用売り場ができたほか、JR三原駅にも試験的に売り場が設けられ、県内の採れたて野菜が多くの人の手に渡りました。
ぐいぐい広がる「やさいバス」
D-EGGSから続く実装支援事業では、アグリプロデュース(株)がやさいバスを運営します。
アグリプロデュースは、農地の土づくりから生産者のブランディング、収穫後の販売方法のコーディネートも行っていて、地元農家さんや販売店舗との強いつながりを持っています。そんなアグリプロデュースとのタッグでも、やさいバスのスタートは苦労の連続でした。
出荷してくれる生産者、野菜を運んでくれる人、野菜の売り場を探して東奔西走です。
D-EGGSを機に「やさいバス広島」が始まっておよそ2年半。2022年4月にはそごう広島店の売り場面積が倍になり、無印良品広島アルパークでも販売がスタート。2023年2月には貨客混載便の県内7ルート目がスタートして、大発展しています。さらに、マックスバリュ可部店やフレスタ横川店など、広島市内のスーパーでの販売も始まりました。
広島の中心部に、瀬戸内海の島から、山口県、島根県、鳥取県からも、貨客混載便で野菜が集まっています。
野菜づくり・生産のプロである農家さんを、販売面でサポートしているアグリプロデュースは、その苦労を間近で見ています。
つくる・売る・食べる人以外にもやさしい「やさいバス」
生産者と販売者をつなぐ「やさいバス」ですが、つくり手とつかい手をつなげる以外にも大きな役割があります。
それがフードマイレージ。食料がつかい手に届くまでの輸送距離の短縮です。
通常、農家さんが野菜を出荷してから私たちの手に届くまで、いくつもの場所を経由します。その点「やさいバス」は各バス停を経由して、ほぼまっすぐ売り場に届きます。
環境にも配慮できるとあって、ESGなど社会課題に取り組む企業にとっても嬉しいサービスです。
さらに、バスという視点からも嬉しい効果が見込めます。
あらゆる課題に立ち向かう「やさいバス」。次なる展開は?
●EDITOR’S VOICE
田舎出身の筆者は、席が空いてガラガラのバスにゆったり乗るのも嫌いではありません。でも空いた席がもったいないと思うこともありました。
空いた席に新鮮野菜が座ってる……冒頭に続いて、またのんきに想像する筆者でした。
野菜を買うときも、より新鮮なものが手に入るに越したことはありません。
野菜と人が仲良くバスに乗って、近所のスーパーにやって来る…ああ、想像が止まりません。
(Text by 小林 祐衣)
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?