「プリント」といえば紙など2次元の表現だったのに、いまや3Dプリンターの話題を耳にすることもかなり増えた。
そのたびに「そんなものまで作れるの!?」と驚く筆者だが、今回の“サキガケセブン”は、なんと3Dプリンターで家を作ってしまうのだ。
……家をプリントする…?どういうことか、詳しく聞いてみよう。
家が24時間以内でできる!?
セレンディクス(株)は2022年3月、日本初の3Dプリンター住宅を愛知県小牧市に作った。その施工時間はわずか23時間12分。24時間かからずに、家が1軒できあがった。
2023年夏には、日本初の3Dプリンターによる商用初物件を長野県佐久市で竣工。施工時間はより短く22時間52分で完成した。さらに7月末には国内で初めて一般住居用の販売を開始した。
同社のビジョンは「世界最先端の家で人類を豊かにすること」。3Dプリンター住宅がどのように豊かさとつながるのだろうか。
マイホームという一世一代の買い物が、昔と比べてかなりハードルの高いものになっているのだ。
では、世界でも3Dプリンター住宅は作られているのだろうか。
コンクリート単一素材であることで、様々な機能を持たせられるという。
壁面を二重構造にすることで、ヨーロッパの厳しい断熱基準をクリア。さらに世界最高水準である日本の耐震基準もクリアした。
通常、コンクリート住宅は壁を垂直に建てる。そうしないと自重で落ちてしまうらしい。
それを上の写真のように壁をななめに作っているため「世界で最も難しい3Dプリンター住宅」と言われているという。
世界各国でも報道され、日本経済新聞社主催「日経優秀製品・サービス賞2023」で日経産業新聞賞を受賞したセレンディクスの住宅。
大きな需要はどこにあるのだろうか。
終の棲家に「3Dプリンター住宅」という新しい選択肢が増えたということだ。
さらに強い家を作るためサキガケで目指すこと
サキガケとの出会いは、何がきっかけだったのだろう。
サキガケで目指す達成目標は、自動車産業との関係構築以外にもある。
広島県に3Dプリンター住宅が建った暁には、筆者も知人に「これ知ってる?」と自慢げに話したくなるに違いない。すぐ近くで起こることは自分事化しやすいというのは、身を持って理解できる。
この春には広島での施工が始まるようだ。
さらに、サキガケではその先の目標も見据えている。
サキガケを経て、さらに強固な3Dプリンター住宅が作れるようになるかもしれない。
3Dプリンター住宅メーカーが目指すは究極の「幸せ」
「怒り」がなくなった先に待つのは「幸せ」。
そして「幸せ」って何だろうと考えるとき、マズローの欲求5段階説(生理的欲求・安全欲求・社会的欲求・尊厳欲求・自己実現欲求)が思い出されるが…?
EDITOR’S VOICE
飯田さんは「進歩とは力の結集」と話してくれました。3Dプリンター住宅の開発に必要な技術を持つセレンディクスも、自社だけでは施工できず、建設会社との協業が必要です。完全ロボット化には自動車産業の力も不可欠。
そんなにたくさんの力が合わさってできているのに、車を買える値段で買える3Dプリンター住宅。驚きです。
もしかして、私にも買えるかも…?
(文・小林祐衣)