お肌の調子が悪いと朝からブルー――というのはよく聞く話。そんな悩みを改善しようと立ち上がったのが今回エントリーの「肌の常在菌検査にもとづく自分軸でのスキンケア選択」プロジェクト。
菌を使った肌カルテ作成という試み自体興味シンシンだが、話を聞く中で見えてきたのはRING HIROSHIMAというホットでオーガニックなコミュニティの実相だった。
CHALLENGER「株式会社ユーブローム」柴田未央さん
今回のチャレンジャー・柴田未央(しばた・みお)さんは東京理科大学薬学部に通う現役大学生。といっても正確に言うと、2度目の大学生活である。
柴田さんが目を付けたのは「人間の肌には菌がいる」という事実。腸内細菌と同じように肌の表面にも菌がいて、その分布によって肌のコンディションが決まるという。たとえばニキビの原因として知られているアクネ菌、表皮ブドウ球菌、黄色ブドウ球菌……。
だとしたらこうした菌の状態を検査することで、その人に合ったスキンケアができるんじゃないか? 自分の菌に適したスキンケアアイテムを見つけられたら、肌のパフォーマンスをもっと上げられるんじゃないか?……
そうした想いに加え、若き日の苦い思い出が柴田さんの背中を押した。
柴田さんは肌の菌の状態をチェックできるキットを開発。それを元に各自の「肌フローラカルテ™ 」を作成し、肌に最適なスキンケア製品を提案するというサービスを開始した。2021年4月、「株式会社ユーブローム」創業。
ただ、ここで気になるのは、東京在住の柴田さんがどうしてRING HIROSHIMAに応募したのかってことである。
なんと! 前回も今回もセコンドに参加している樗木さんが橋渡ししてくれたとは。
そして柴田さんは広島のRINGに上がることとなる。
SECOND 国立研究機関の産学連携担当 郡司裕一さん
柴田さんのセコンドに付いたのは、こちらも前回から続投の郡司裕一(ぐんじ・ゆういち)さん。郡司さんは物質・材料分野のライセンス契約の専門家だが、なぜか前回は縁もゆかりもない保護犬ゼロ活動とマッチング。慣れない業界の中でインフルエンサー芸人の育成やメッセージアニメの企画など、アグレッシブに奮闘していた。
その姿は結構大変そうにも見えたものだが(笑)……どうして再びセコンドに応募したのだろう?
なんとなんと! セコンドの人材バンク化とでも呼ぶべきか。樗木さんといい郡司さんといい、チャレンジャー以上にチャレンジングな人が多いのがRING HIROSHIMAの特徴。そんな郡司さん、今回はまた畑違いの美容業界に派遣されたが、そのあたりはどうなのだろう?
セレンディピティ=偶然の産物。はたしてこのマッチングは吉と出るか、凶と出るか?
目指してたのはそこなんだ!
壁打ちによる想いの言語化
結論から先に言うと、この組み合わせはアリである。年齢も性別も背景もまったく異なる2人だからこそ、新たなケミストリーが起こっている。基本は週1でZOOM会議。
2人が今回のRINGで目指してるのは、肌フローラカルテ™を使ったサービスがどういう人に届くのか調べること。事業化のためのマーケティングがミッションである。
ユーブロームは今年度末に資金調達を予定。そのときに提示するデータを揃えて資金調達を完了するというのが、今回のプロジェクトのゴールとなる。
RING HIROSHIMAは
社会をよくする変人集団?
ということでプロジェクトの方は着々進んでるこのコンビ。面白いのは、どちらもRING HIROSHIMAという枠組みを存分に満喫してるところだ。
ある種のサードプレイスというか、自由闊達な交流の場。この風通しのいい空気感が新たなイノベーションを生むのだろう。郡司さんが言ってたように、チャレンジャー、セコンド問わず、RINGに集まる人たちの多様性が広島のプライスレスな財産になるのかもしれない。
え、RINGって変人集団なの!? 個人的にそれは否定しないが、いつでも革新と奇天烈は紙一重。結果がどうなるかはさて置いても、この変人だらけのコミュニティ、何やらとても楽しそうなのが素敵じゃないですか!
●EDITORS VOICE 取材を終えて
本文を読んでいただければわかるように、柴田さんの肌フローラカルテ™の取り組みも興味深いけど、それ以上に惹かれたのが2人のRING HIROSHIMAへのハマリっぷり。ものすごくRINGをENJOYしてくれてるなぁ!って、こっちまで嬉しくなるほど。でもいいモノを生み出すには、その土台にいい環境があること、大事ですよね。
もうひとつ微笑ましかったのが2人の仲の良さ。だってRING後の展開について尋ねたら――
カップル成立かーい! 仲良きことは美しき哉。これからも応援してますよ。
(Text by 清水浩司)