
【解説】Emperorの能力について
FABを楽しむ皆様、こんにちは。
今年も大変お世話になりました。広島FABの日下です。
今年も残すところあと数時間となりまして、まもなく2025年の幕開けとなります。年明けてすぐには新弾HUNTEDの発売を控え、ニンジャとウォーリア、そして沢山のアラクニが屈伸をしながらウォーミングアップをしていることでしょう。それを迎えうつは…どんなヒーローになるでしょうか。ガーディアンの時代が来たらいいなぁ。ウフフ
来年は、どんな年になるか、ドキドキとワクワクが止まりません。
さて、先日Twitterの日刊ジャッジクイズにこのような問題が出題されました。
Tyler, playing Emperor, activates their Hero ability targeting Arc Light Sentinel. They have no Command and Conquer in their deck. What happens next? pic.twitter.com/m2aHxr4FHY
— Judges of Rathe (@FaBJudges) December 13, 2024
Q
EmperorをプレイしているTylerは、Arc Light Sentinelを対象にヒーロー能力を起動する。彼のデッキにはCommand and Conquerがない。次に何が起こるか?
A. サーチする。それはさておき、ポップする。
B. サーチする。見つけるのに失敗したためポップなし(成功したらポップする)
C. サーチしない。ポップする。
D. ポップしない。対象がないためサーチできない。
解答は既に出ておりますが、想定していたよりも遥かに低い正答率でございました。
種明かしをすると、この問題を提起、出題したのは広島FABなのですが、これは結構複雑で重要なルールを孕んでいて、日本語でも解説が必要だな…と感じたので、少し解説をさせて頂こうと思います。
解説を始める前に、ここから先の話はChain Linkについてある程度理解していることを前提として進めることとします。
Chain linkについては、解説動画を作ってありますので、不安な方はそちらをまずご覧ください。
さて、始めましょう。
Attackの種類について
一般にAttackとは、スタック上にある、もしくは、戦闘チェイン上にあるオブジェクトです。
Attackには、Attack-cards、Attack-layers、Attack-proxiesの3種類があります。(CR 1.4.1.)
ひとつずつ、見ていくことにしましょう。
Attack-cards
Attack-cardsは、アクションカードのうち、サブタイプに攻撃(Attack)を持つものを指します。これが、スタック上にあり解決を待っている、もしくは戦闘チェインに攻撃している状態で存在していると、Attackとみなされます。(CR 1.4.2.)
防御していたり、手札や墓地にあるときは、Attackとはみなされません。(CR 1.4.2a)
Attackの中では、一番理解しやすいものですね。
Attack-proxies
Attack-proxiesとは、能力によって作り出されたもので、発生源となるカードとは異なるオブジェクトとしてみなされます。(CR 1.4.3.)
一般には武器による攻撃のことを指します。
これはカードとはみなされないため、カードを対象に取る効果は受けません。また、能力の発生源とは異なるオブジェクトとしてみなされるので、例えばDawnbladeで2回目の攻撃をするとき、剣は1本しかありませんが戦闘チェインを閉じることなく二度目の攻撃をすることができます。

意外と、細かいことを意識せずとも、ゲーム上使えていると思います。
Attack-layers
Attack-layersはAttackを作り出すことができる特性を持ったレイヤーです。(CR 8.5.38) レイヤーとは、スタック上にあるオブジェクトを指し(CR 1.6.1.)、攻撃力を持ちません。(CR 1.4.4.)
つまるところ、スタック上にあり解決を待つ間のみAttackとみなされ、解決すると別のAttackが戦闘チェイン上に作り出されます。現状はEmperorの能力のためだけに定義されているルールです。

Emperorの能力は、リリースノートに仔細が書かれています。
能力の発動に際して、攻撃の対象を宣言する必要があり、能力の発動によって戦闘チェインが開始、Layerステップが開始されます。
既に開いているチェインリンクのLinkステップで、Emperorの能力を起動したとしても、戦闘チェインは閉じることなく新たなチェインリンクを開始します。
カードを探した結果、見つけない(見つからない)こともできます。
見た目はnon-attack actionのようですが、attack actionのように振る舞います。戦争屋の外交術で、WARを宣言していると使用ができます。

Attack-layerの解決の流れ
では、実際にチェインリンクの中でどのような順番で解決されるのかについて考えましょう。
宣言
TaylorがEmperorの能力を起動します。コストを支払い、ターゲットを宣言します。(CR 5.2.2.および5.2.2b)
そして、Emperorの能力がスタックに置かれます。チェインリンクが開始し、戦闘チェインが開かれます。
Layerステップが開始。(CR 7.1.)
Emperorの能力以外の全てのレイヤーが解決し、双方のプレイヤーが優先権を放棄すると、次に進みます。
Attackステップが開始。(CR 7.2.)
Emperorの能力を解決します。
デッキを探し、CnCを戦闘チェインに直接加えます。(CR 7.2.3c)
この時、CnCはプレイしたとはみなされず、受ける修正や引くことになるトリガーがあれやこれやありますな、そこら辺の詳しいことは上記のリリースノートをお読みください。
〜ここから先は、CnCをプレイした時と変わらない為省略します。〜
混乱ポイントは、Attack-layerも解決はLayerステップではなく、Attackステップということ。
つまるところ、Attackなのです。武器の攻撃時効果と同じ挙動と考えれば理解が簡単なはずです。
Spectraをおさらい

さて、いま一度もう一人の主役、ALSのテキストを確認しましょう。別にALSである必要はなかったのですけど、一番ありえそうなSpectra持ちということで、どうか何卒。
この能力はAttackの対象になった時に誘発。Layerステップで解決します。
結論
さて、もう分かりましたね?
Emperor起動(Attack-layer)→対象ALS
↓
Spectra誘発
↓
Spectra解決→戦闘チェイン終了
↓
Emperor能力は解決しない。
Emperorの能力は、それ自体がアタックなのでした。
その為、能力自体が解決されないまま、戦闘チェインが終了します。
CnCがデッキにあろうがなかろうが、そもそも探しません。
デッキの中に攻撃手段を温存しつつ、Spectraを処理したいときに、覚えておくと役立つかもしれない小ネタ…ですが、Attackの種類とチェインリンクの流れ、誘発のタイミングと解決の処理をしっかり理解しておかないと解決できない複雑なシチュエーションでした。
とはいえ、Emperorの能力がAttack-layerであることを知っていれば、武器で攻撃した時と挙動が同じことにすぐ気がつけるかもしれませんね。
最後に
Judges of Ratheのアカウントでは日刊ジャッジクイズが開催されています。実際のコールや、メタの変遷を踏まえたホットな想定問答集に触れることができます。是非フォローの上で、チェックしてみてください。
それでは、皆様良いお年を!!
…と、する前に2024年最後の宿題を一問だけ出しておきましょう。
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