店舗の競技イベントでジャッジをしよう
皆様、こんにちは。そしてはじめまして。広島FABの代表をしております、日下(くさか)と申します。いくつかのイベントでは既にジャッジとしてお会いしたことがあるかもしれません。胸にCracked Baubleを貼り付けてウロウロしていることが多いです。
広島FABは広島エリアを中心とするプレイヤーコミュニティ。自分たちの遊び場を確保することを目的としての2023年4月の発足以来、競技イベントの運営とジャッジ活動の方法を模索し続けてきました。ジャッジ資格を持ったメンバーを育成しながら国内外の競技イベントに参加したり、ジャッジ育成も目的とした非公式の競技大会の主催も行い、活動の幅を広げています。
現在はL0が2人、L1が3人、L2が1人在籍しています。そして、私を含むその全員がFlesh and BloodからTCGのジャッジをはじめた人間です。
Flesh and Bloodは、その日本語版展開がはじまり、はや3か月が経過しました。日本でのFaBプレイヤーは爆発的に増え、まもなく始まるPQシーズン、そして10月末から11月にかけて大阪で開催される世界選手権に向けて競技シーンの盛り上がりも一入です。
競技イベントを支えるジャッジの人数も着実に増えています。2024年10月1日現在、日本にL1以上のジャッジは50人。このPQシーズンで、はじめてtier2以上の競技イベントが開催される店舗や地域、そしてはじめてジャッジを務める方もいらっしゃることでしょう。
今回は、そんな方々に向けて、実際の店舗イベントでは、ジャッジはどんなことをしているのか。どんな役割があるのかをすこし共有してみようと思います。
広島FAB内ではじめて店舗イベントのジャッジをする前に共有している事項をまとめた資料を参考に、簡単に手引きを書いてみました。構築フォーマットでのイベントを想定しています。複数名のジャッジが参加する100人以上規模の大型イベントではまた違う動きや手順、やり方があります。ですが、今回はあくまで最大32人程度の店舗イベントを、ひとりのジャッジで運営することを想定しての手引きです。
一緒に確認してみましょう。
イベント開始前
イベント開始前から、ジャッジにできることはたくさんあります。円滑なイベント運営は、はじまりがとにかく肝心。
プレイヤー達に気持ちよく参加してもらえるように、笑顔とフレンドリーさをもって、カスタマーサービスに務めましょう。
受付
プレイヤーからの参加費の徴収をするとともに、GEMに入力するためのGEM IDとお名前を頂戴します。
基本的にTO(トーナメントオーガナイザー。つまり主催者)の仕事です。可能であれば店舗スタッフの方にお願いしましょう。(ジャッジは現金に触らない方がよいのです。トラブル防止のため。)
ここで、参加費と共にデッキリストを回収してしまうと楽です。
GEMの操作について、ジャッジが行うのか、TOが行うのかは事前に確認しておくとよいです。
デッキリスト回収
プレイヤーの名前とヒーローが書いてあることを、このタイミングで必ず確認するようにしましょう。(あとから発覚すると、誰のデッキリストなのか本当にわからなくなります。)
カード名は英語で記載することが求められています。あまりにも読めなかったらその場で書き直させましょう。また、書式は必ずしも公式のフォーマット通りでなくても構いませんが、ヒーロー/武器/装備品カードと、赤、黄、青のカードでそれぞれグループ分けはなされている必要があります。そのうえで、どのカードが何枚なのかが、わかるようになっていれば大丈夫です。紙が複数や表裏になっていても構いません。(TRP Appendix E)
デッキリストを持参し忘れたプレイヤーのために、白紙の用紙を何枚か用意しておくといいでしょう。
デッキリスト
デッキリストは、回収した時点で右上、もしくは左上にそのプレイヤーの苗字のイニシャルを記入しておくと大変便利です。田中さんならT、佐藤さんならS。後でデッキリストが必要になった時に探しやすくなります。言わずもがな、アルファベット順に並べておきましょう。
できればR1終了までに、全てのデッキリストについて、総カード数が80枚以下であることを確認しておきます。この時点で、81枚以上のカードが登録されているデッキリストがあれば、以降のラウンドでデッキチェックの対象にするとよいでしょう。80枚未満のデッキリストも、必要があれば確認しましょう。
参加費
基本的にはTOに任せましょう。
予約表がある場合は、誰から徴収して誰から徴収してないのかを合わせて確認しておきます。参加費の徴収をもって、イベントへの出席としましょう。
参加予約しているプレイヤーを前もってGEMに登録している場合、欠席しているプレイヤーは、イベント開始前に取り除いておく必要があります。
イベント開始直前
事前のデッキチェック
プレイヤーから事前のデッキチェックを求められることがあります。この時点で確認するべきは、スリーブの状態や、foilの反りなど、主にMarked cardsについてです。また、公序良俗に反するスリーブやプレイマットなど、相応しくないものがあれば指摘しておきましょう。(TRP 4. Tournament Materials)
必要であれば、プロキシカードを発行しましょう。(TRP4.3)
構築フォーマットでのプロキシカードには、ひび割れたガラクタを使うことが多いです。(通常、デッキには入らないカードなので、一目でプロキシだとわかる為)他のTCGのカードは望ましくないでしょう。
プロキシには
・カード名
・(プレイに支障がない程度に簡易な)効果や能力
・イベント名と日付
・発行したジャッジのサイン
を書きます。そのイベントの間は、発行したプロキシを使ってゲームをしてもらいます。
プレイヤーには、参照用に本物のカードを携行しておくようにアナウンスしておきましょう。
質問への対応
プレイヤーから、ルールや効果、ポリシーについての質問などを受けることがあります。すぐに答えられるものはその場で対応しましょう。また、確認に時間がかかりそうなものであれば
などの声掛けで、時間を稼ぐことができます。
なんにせよ、臨機応変に対応をしましょう。
基本的には、プレイヤーが困らないようにしてあげることが一番大事です。カスタマーサービスの気持ちを忘れずに!!
出席の確認
まずはプレイヤーを着席させることをオススメします。参加費を貰ってないのに会場に座ってる人がいないかを確認しましょう。
この時、座る座席を決める目的でペアリングを発表することもできます。その場合は、プレイヤーに今の対面がR1のペアリングとは限らないこと、改めてR1のマッチングを行うことを説明します。
人数の確認が済んだら、予選ラウンドのラウンド数が決定します。どこかにメモをしておきましょう。
プロモの配布
イベントの参加プロモがあれば、配布します。
この時点では、厳密にはまだイベントが開始していないため、ラウンド1が開始してから対戦しているテーブルを回ってプロモを配っても良いでしょう。
受付時に参加費と引き換えにプロモを渡してしまうこともできますが、プロモを受け取るや否やすぐに帰る人が出てしまうことも考えられます。スタッフの人数次第ではありますが、プレイヤーミーティング中やR1中に渡すことを基本にした方が良いでしょう。
もちろん、渡しそびれることがないように!
プレイヤーミーティング
このイベントは、なんなのかをプレイヤーと一緒に確認する時間です。15分も20分も時間をかける必要はありません。数分で必要な内容を簡潔に話しましょう。
R1開始前
対戦卓の決定
GEM任せ。ポチッとボタンをクリックするだけです。自動でプレイヤーのスマホにも反映されます。
…ただ、時々トラブることがあります。ジャッジも、ある程度GEMの操作には慣れておいた方が良いでしょう。
移動中のトラブル
スマホがない(Wi-Fiがない)ので対戦卓がわからないプレイヤーがいることがあり得ます。海外からの遠征プレイヤーが居ると発生することが多いです。
プリンターが会場にあれば、都度、ペアリング表を張り出しても良いですが、日本語で登録されているプレイヤー名は表記がバケることが多いので注意が必要です。
他にも、人が動けば色々起こります。
忘れ物があれば受け取る。
ゴミがあれば捨てる。
置き忘れた荷物があれば回収する。
…臨機応変に対応しましょう。
デッキチェック卓の決定
プレイヤーが移動している間に、デッキチェックを行うテーブルを決めます。
デッキリストに不備があるなどの理由が特になければ、SEに進みそうなプレイヤー(つまり上位卓)。もしくは、早く終わりそうなマッチングのテーブルからチョイスすると良いでしょう。
デッキチェック卓には通常10分程度の延長時間が発生します。
恣意的にテーブルを選ぶのは、イベントの進行をスムーズにする為です。上に進みそうなプレイヤーを優先するのは、TOP8前のデッキチェックを楽にする為でもあります。一度確認しておけば、余程のことがない限り、2回目のデッキチェックは早く終わります。
もちろん、完全にランダムに決定しても構いません。
大事なことは、この時点ではプレイヤーに
「あ、次のデッキチェック俺になったな」
とは悟られないことです。
R1開始
タイマー
FABは50分のゲーム時間を確保して、各ラウンド55分という扱いになっています。
プレイヤーが対戦卓を見つけて辿り着いたら、タイマーを回して構いません。(TRP 3.2)
(※他の国産カードゲームなどでは、着席して全ての用意が完了してからタイマーを回すゲームがある。)
また、タイマーが回ってなくても、プレイヤーは先攻後攻の決定やサイドボーディングなど、ゲーム開始手順を進めることができます。
ただし、ゲームのプレイはタイマーが動き出すのを待つ必要があります。
明らかに会場に居ない(タバコなど)プレイヤーは無視して進行しましょう。遅刻についての取り扱いを確認しておくことをオススメします。(PPG 3.1)
いかにスムーズに時計を動かすかが、スムーズなイベント運営のキモです。
滞りない進行を心がけましょう。
デッキチェック
これは、とても長くなります。
なので別記事を書きます。
いましばしお待ちください
ラウンド中
巡回
特にやることがなければ、会場をウロウロしましょう。見回ってないと気がつけません。そして、イベントの時間の大半はこのお散歩タイムです。
プレイヤーに威圧感を与えないようにしつつ、各テーブルを練り歩きます。
歩きにくい場所があれば荷物を退かさせたり、椅子を片付けたりして、クリーンな会場を維持できるように心がけましょう。
ジャッジよ、椅子を直せ。もう一度言う。椅子を直せ。
ゴミなど落ちてたら積極的に拾います。床にカードが落ちていることもあります。状況に応じて適切に対処しましょう。
カバンの口が開いていたり、ポッと盗まれそうなところに荷物を放り投げている人が居たりしたら、声をかけてから椅子の下に入れさせるなど対応しましょう。防犯意識大事。
ゲーム中のプレイヤーが会話をし始めたらジャッジコールの前触れなので近くに寄っておくと良しです。プレイヤーも声を掛けやすくなります。
集中力が切れたら、ライフパッドが双方で食い違っているテーブルがないかを確認して回ると、集中力が戻りやすいです。
また、プレイヤーだけではなく会場の様子にも気が回ると尚良いです。
・空調は適切か、極端に暑い/寒い場所はないか。
・風が吹き付けて困るテーブルはないか。
・直射日光が差し込んで眩しいテーブルなどないか。
・がたつくテーブルや椅子で困ってる人は居ないか。
などなど。基本はTOに対処をお願いするべき領分ですが、すぐ対処できるものはその場で対処します。パッと改善できないものは必ずTOに相談しましょう。
ジャッジコールへの対応
などなど、様々な形で呼び止められます。これを、ジャッジコールと呼びます。
ジャッジコールを耳にしたら大きな声で
などの返事をします。
そして、時計を見ます。(とても大事)
なんにせよ、呼ばれたら対応します。
ジャッジコールがあったテーブルまで足を運び
などの声掛けと共に、コールの内容を聴取します。
二人が同時に話出さないように、一方ずつ聞くように心掛けましょう。質問の内容がうまく掴めなければ、復唱したりまとめたりして確認します。
のように声を掛けると良いです。
質問の内容が手札や格納庫のカードの挙動など、非公開情報が絡むものなどについては、プレイヤーを対戦テーブルから離して、話を聞くこともできます。
などと声を掛けてあげると親切です。諸々が解決したら、対戦テーブルなら戻った時に対戦相手に声をかけてあげましょう。ジャッジを呼ばれて、離れたところで話が進んでいるのでナイーブになっているはずです。
などの簡単なもので良いでしょう。何が話し合われていたのかわかれば、人はスッキリします。
さて、質問の内容がわかったら、それに対する回答を出しましょう。ジャッジはスマートフォンを使っても構いません。確認してすぐにわかるなら、確認しましょう。
カードのテキストに関する質問であれば、最新のオラクルを確認した上で内容を説明します。必要であればリリースノートを参照しましょう。
ルールに関する質問であれば、カードのテキストをよく確認した上で、説明をします。必要に応じて、CRやリリースノートを参照しましょう。
プレイ中のトラブルに関する質問であれば、TRP、PPGを確認します。ペナルティを発行する時には、必ずPPGでそのペナルティで間違いないかどうかを確認します。
対戦相手の違反行為に関する報告であれば、PPGを確認の上でペナルティを発行します。繰り返しになりますが、必ず確認してから発行します。
その他、巻き戻しや修正が必要な箇所があれば対処します。
ジャッジは、やらかした人間を罰する為に居るのではなく、あるべきゲームの状況を保つ為に居る、ということを心に留めましょう。本来ならばこうだった…という状況を取り戻すことができるなら、その状況を取り戻します。ただし、「情報」という要素が絡んでくるので、カードの位置や向きを直すだけでは足りないことがよくあります。ここら辺に関しては、本当に慣れと経験になってきます。
さて、諸々が終わったら再度時計を見ます。対処にかかった時間を切り上げて分単位の延長時間を出します。ただし、1分未満であれば延長時間は出しません。
アナウンスと、ゲーム再開のアナウンス。
その後、ゲームが適切に再開、進行できたかを1〜2ターン見届けてから離れます。
最後に2つばかり、お小言アドバイスをば…
対処に時間をかけすぎないように気をつけましょう。ジャッジコールへ対処している、ということはゲームが止まっています。膨大な延長時間を出せば、その分だけトーナメントの進行に支障をきたします。必要以上に止めない。これが大事です。
質問に対する回答が、アドバイスにならないように気をつけましょう。ジャッジが親切心で付け加えた一言二言で、ゲームの勝敗がひっくり返ってしまうことがあります。追加の情報やプレイヤーが想定していない仮定の状況、「もし〜なら…」などは極力授けないようにします。必要であるならば、試合が終了してからプレイヤーに伝えてあげた方が良いです。
張り付くテーブル
進行が著しく遅い、プレイヤーの態度が悪い、初心者同士、さっきジャッジコールを受けた、とんでもないデッキ/ヒーローの使い手、激アツのマッチアップ、注目のプレイヤー、そのテーブルの隣に座れる椅子がある…
などなど。理由はなんでも良いです。観たい試合があれば張り付いて観ていてもよいです。ただし、55分ずっと張り付きというのはナンセンス。
会場全体に気を配りながら、長くても10分程度を目安にしましょう。
座ることで圧をかける必要がある場合もあります。
対戦が終わってるテーブルを見つけたら
結果を送ったかの確認
試合が終わってもしばらく談笑しているプレイヤーは珍しくありません。しかし、盛り上がっていればいるほど、結果を送り忘れていることが多いです。
意気消沈してるプレイヤーが居たら「頑張って」「気持ち切り替えましょう」などの声掛けをしても良いです。
カスタマーサービスとしての役割です。
試合終わってからの声掛けで、プレイヤーのイベント体験は大きく変わります。プレイヤーとは、積極的にコミニュケーションをとって、フレンドリーであるように心掛けましょう。勿論、ウザくなりすぎない程度に、適度に…。
ドロップしたい、と言われたらGEMからできる旨を案内しましょう。
ドロップできてるかどうかの確認をしたいのであればTOもしくはスコアキーパー(PQでは居ない)に引き継ぎます。プレイヤーには、どこに行って誰に声をかければ良いのかを伝えましょう。
残り時間が少なくなったら
タイマーが残り10分/5分の時点で、GEMから対戦が続いてるテーブルを確認します。当該テーブルには
のアナウンスをしておくと良きです。プレイヤーは適切にゲームを進める義務がありますが、正確な残り時間を知る権利はありません。ですので、アナウンスはフワッとした残り時間で構いません。むしろ、正確な残り時間を伝えることが、スロープレイの誘因となる可能性も考慮しましょう。
延長時間が出ているテーブルがあれば、別個に対応します。
明らかにゲームが終わらなさそうな卓は、このタイミングでマークしておきましょう。
試合が終わってるが結果が送られてないテーブルがあれば、プレイヤーに声掛けをします。
制限時間終了
延長が出てないテーブルには…
タイムアップのアナウンスをしましょう。
いま、どちらのターンなのかを確認して、一旦ゲームを止め、追加ターンの案内と投了の取り扱いについて説明をします。
複数のテーブルがタイムアップを迎えている場合は、前に立って声を張り上げても良いです。その場合、きっと既に試合を終えたプレイヤーたちで、会場は賑やかしくなっています。マイクを使う、手を叩く、ブザーを鳴らす…などの方法で注意を引きつけるとともに、一旦ゲームの手を止めさせる試みが必要です。
試合続行を選ばれたら…
試合終了まで見届けましょう。複数のテーブルが延長に入る場合は、すべてのテーブルが俯瞰できるようにします。
ゲームスピードが適切に維持されているか、ゲーム以外での勝敗の決着など不適切な相談が行われていないか
決着がついたら(投了したら)…
結果をGEMで入力するのを見届けます。片付けや感想戦が始まる前に、必ず入力させます。勝った側のプレイヤーとコミュニケーションを取ると、スムーズです。
続いて、次のラウンドに向けて準備するように声掛けをします。他のプレイヤーたちは、このテーブルの試合が終わるのを待っている状況のはずです。
内なる気は、本当に、強く、心から、ラウンド毎にアナウンスすることをオススメします。
ドロップの申し出があれば、先ほどと同じように対応します。
すべてのラウンドが終了したら
のアナウンスを行います。
おそらく、既に試合を終えたプレイヤーが談笑していたり、フリープレイに興じていたりするかもしれません。ラウンドが終わったことを伝えることよりも、移動できるように支度することを促すことの方が大切です。
ちなみに、延長時間に入らずにすべての試合が終了するなどして、時間が余ることがあります。
この場合、巻きで進行するのか、それとも当初の時間まで待ってから次のラウンドを開始するのかはプレイヤーにアナウンスをしておく方が望ましいです。(もし巻きで進行しようとした際に不在だったプレイヤーがいたとしても、本来、前のラウンドが終わることになっていた時間までに会場に戻ってきたら遅刻とはみなしません。)
GEMにて、すべての対戦の結果が反映されていること、ドロップしたプレイヤーが適切に処理されていることを確認します。
そして、新ラウンドの組み合わせをGEMで発表します。
そしたら…一番上に戻りましょう。あとは同じことの繰り返しです。
予選最終ラウンド前
スタンディングの発表があることが望ましいです。
現在の順位をGEMで表示させることができます。
プリンターが会場にあれば、TOに紙を印刷してもらうとよいでしょう。
紙がなければ、タブレットや、最悪スマートフォンに表示してプレイヤーに掲示することでも機能します。
自分にSEに残る目があるのかを確認したいプレイヤーが目を通したら、この役目は終わりです。
プレイヤーが掲示を確認できるようになってから、1~2分もあれば十分でしょう。
順位や勝利数についての意義申し立てなどがなければ、そのまま最終ラウンドを開始します。
予選最終ラウンド終了後
予選ラウンドのすべての対戦が終了したら、いよいよSEに進むプレイヤーの発表です。
プレイヤーを集めて、順位を発表していきましょう。
順位賞などのプライズがあれば、このタイミングで渡します。
また、写真撮影をしておくにもうってつけのタイミングです。
集合写真を撮影しておきましょう。TOの手が空いていれば、お願いするとよいです。
その裏で、SEを行う対戦卓の確保と準備を進めましょう。
使うテーブルの場所を決めます。対戦の組み合わせは自動的に決まります。1位と8位、2位と7位、3位と6位、4位と5位、です。
勝ち残ったプレイヤーからは試合終わりから発表までのタイミングでデッキを回収しておき、改めてのデッキチェックを行いましょう。このタイミングのデッキチェックは、ラウンド”間”に行われるデッキチェックで、ラウンド"中"に行う通常のデッキチェックとは扱いが異なります。このカードを試合に持ち込もうとしたとは見なされないため、Marked CardsやPresenting Cards Errorは適応されません。Decklist ErrorおよびCard-pool Contents Errorは適応されます。(TRP 3.8.)
SEの進行と決着
SEは、予選ラウンドと異なり、引き分けることができません。
必ず、決着をつける必要があります。
そのため、時間無制限で行うことが多いです。
会場の都合で制限時間を設ける必要があるときは、どのようにタイマーを運用し、どのように決着をつけるのかはあらかじめプレイヤーにアナウンスしておきましょう。Tie Breakerを確認しておきましょう。(TRP Appendix D)
SEの先攻後攻の決定権は、予選ラウンドの順位が高いプレイヤーにあります。
あとは、予選ラウンドと同じです。プレイヤーには死力を尽くして戦ってもらいましょう。
プレイヤーのラウンド間の休憩は、イベントの進行状況も鑑みながら適宜取ってもらいましょう。
決着
おつかれさまでした。
優勝者が決まりました。
優勝者の発表と、プライズの贈呈。そして、名誉の記念撮影を行いましょう。
最後に、GEMの入力操作を行って、イベントは無事に閉幕です。
お片付けがあれば、可能な限りTOを手伝いましょう。
ジャッジの記念写真も撮っておくと、いい記念になるのでオススメです。
最後に
ジャッジの一日の流れや、どんなことに気を配っているのかを確認しました。
これだけ抑えておけば、はじめてのPQでもひとりで回すことがきっとできるはずです。
ジャッジの仕事は、ひとりで頑張る無敵の人になることではなく、みんなと一緒にひとつのイベントを成功させることです。可能な限り全員が「たのしかったー!」と思ってお家に帰ることができるイベントを目指しましょう。
ジャッジは、やらかしたプレイヤーを罰する人ではなく、困ってる人を助ける人…もっというなら困らないようにしてあげる人です。カスタマーサービスなのです。
笑顔を絶やさず、フレンドリーに一日を過ごせるように心掛けましょう。
そして、ジャッジは勿論、問題を解決する役割を担う人です。必ずしもCRやPPG、TRPを暗記している必要はありません。ただし、時には頭を抱えたくなるほど突拍子もないものや、口から魂が飛び出そうになるくらいどうしようもないシチュエーションが発生することもあります。そんな困った時にどこを見ればその問題が解決できるのかは知っておく必要があります。その為には、一応イベント前にはCRとPPG、TRPには目を通しておきましょう。
そして、ベストな解決策が見つからなかったとしても、その場を乗り切る最善策を提示する必要があります。その為には、各項目のポリシー、つまり理念を認識しておく必要があります。どうして、Missed Triggerはcautionで済むのに、Failure to Maintain Game Stateは一段階重いwarningなのでしょうか。
ペナルティの内容よりも、むしろその後に書いてあるPhilosophyの方が重要かもしれません。
しっかりと読んでおきましょう。
他にも、たくさんお伝えしたいことはあります。
水を飲め、椅子に座れ、カロリーを取れ、換気をしろ…etc…
でも、まぁ、何よりも一番お伝えしたいことは、ジャッジ活動を楽しんでください。
困ったことや、悩むこと、相談したいことがあれば、とても良い場所があります。
日本にゆかりのある国内外のジャッジか集まって、知識の共有や意見交換、スキルアップなどに励んでいます。
もし、まだ参加していなければ、是非参加をご検討ください。
そして、このサーバーはジャッジの資格を持つ者だけの限定サーバーではありません。
ジャッジ活動に興味のある人、そして、ジャッジってどんなことしてるのかちょっと気になる人、どんな人でもウェルカムです。
PQシーズンのあとは、大阪で開催の世界選手権。そのあとはBH広島。そのあとは、Skirmish。年明けにはRtN。
FABの大きなイベントが目白押しです。
どうか、楽しんでください。
どこかで、この記事を読んだ方と一緒にFAB体験を共有できることを楽しみにしています。
長々とお付き合いいただき、誠にありがとうございました。
最後に、ほんの些細ですがお得情報をぶら下げておきます。広島FABの活動資金に活用させていただきますので、ご支援いただけますと幸いです。
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