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【え】エドワード・ヴァン・ヘイレン

最初のnoteにも書いたんだけど、僕はエドワード・ヴァン・ヘイレンが大好きだ。もう一度同じことを書くけれど、僕は中学から大学までバンドをやっていて、高校生の頃まで将来はエドワード・ヴァン・ヘイレンになろうと思っていた。エドワード・ヴァン・ヘイレンみたいなギタリストになるのではなくて、エドワード・ヴァン・ヘイレンになる、って本気で思っていたふしがある。日本人なのに。

知らない人のために少し説明すると、エドワード・ヴァン・ヘイレンは世界的に有名なロックバンド「ヴァン・ヘイレン」のギタリストで、数多い名曲は全て彼の作曲によるものである。
ローリング・ストーン誌の選ぶ「最も偉大なギタリスト100人」の中で第8位にランクされていて、この記事を引用すると「世界中のギター小僧たちの教科書的な存在で、ハードロック全盛時代のギターの王者と言える」と書いてある。
たぶんヴァン・ヘイレンの最も有名な楽曲は「Jump」で、これは木村拓哉主演のドラマ「Mr. Brain」のテーマソングにもなったので、それでこの曲を耳にしたことのある人も多いんじゃないかと思う。

ヴァン・ヘイレンとの最初の出会いは強烈だった。
中学2年生の時に、ロイ・オービソンのカバー曲「Pretty Woman」がスマッシュヒットして、そのミュージックビデオをミュートマ(※テレビ神奈川で放送されていた恐らく日本で最初の洋楽専門番組)で見た。
ミュージックビデオが世の中に出始めた初期に制作されたこの作品は、恐らく世界のロック史上、最もダサい仕上がりで、時間のある人はぜひ見てもらいたい。映像はもちろん演出もひどいが、ストーリーも社会的なモラルに欠けている気がする。

しかし14歳の僕は、彼の独特のギターサウンドに完璧にやられてしまった。
その年のお年玉をすべて使って、ヴァン・ヘイレンのレコードを遡って買い漁ったのを覚えている。

ヴァン・ヘイレンに出会うまでは、リッチー・ブラックモアなんかを必死でコピーしていたんだけど、それからは片っ端から彼の曲をコピーした。
エドワード・ヴァン・ヘイレンは「ライトハンド奏法」という弾き方を確立した人で、耳コピをしていると、どうやって弾いているのか全くわからない曲も数多くあった。それを宝探しみたいに見つけていくのがすごく楽しかった思い出がある。

しかし僕がコピーしたのは彼の曲だけではない。

彼はものすごく難しいギターソロだったりギターリフを弾く時に、いつも笑っていた。
イングヴェイ・マルムスティーン、ウォーレン・デ・マルティーニ、ポール・ギルバート、ジョージ・リンチなど、当時はスーパーギタリストが数多くいたが、見せ場であるギターソロの時は、みんな威圧的な顔をしていたり、「どうだ!すげーだろ!」という顔をして弾いていたのだが、エドワード・ヴァン・ヘイレンはいつもニコニコ笑いながら、難しいギターソロをいとも簡単に弾きこなしていたのである。名曲Jumpを見て欲しい。

僕がエドワード・ヴァン・ヘイレンになりたかった理由は、実はこのあたりにあって、難しいことをいとも簡単に笑顔でこなしてしまう彼の姿に憧れたんだと思う。

このことは、高校生以降の僕の人生に大きな影響を与えていて、苦しかったり、難しい局面になってしまったときでも、笑顔で乗り越えてしまうのが一番カッコいいという価値観を、エドワード・ヴァン・ヘイレンは僕に教えてくれたのである。

僕は社会人になって25年以上経つけれど、「これどうしようかな」という課題と向き合った時でも、エドワード・ヴァン・ヘイレンの教えのとおり、笑って対策を考えるほうが絶対にいい結果になるような気がする。
うんうん苦しみながら考えたってろくなアイディアは出ないし、新しい道が拓けるようなアイディアは出てこないんじゃないかと思う。
あくまでも僕の場合だけれど、笑っていると不思議と思考回路がシンプルになって、課題の奥にある問題点がハッキリと見えてくることがよくある。

僕みたいな会社員の仕事においては、もうどうにもならないほど難しい問題に直面するっていうことは、ほとんどないんじゃないかと思っている。大抵の場合、自分で問題を難しくしているに過ぎないのではないだろうか。

だから僕は「忙しそうですね」って言われると、「しまった!」と思う。
他の人から見ると「どうだ!俺って忙しいだろ!」って見えているんじゃないかと思うからである。自分がエドワード・ヴァン・ヘイレンではないと思うからである。

余裕を持って笑って生きているように見られていれば、たくさんの面白い人たちや魅力的な人たちとの出会いにも恵まれるんだと思う。
少なくても僕の場合は、間違いなくそうだと言い切れる自信がある。

ヘラヘラ笑ってごまかしていればいつかなんとかなるさ、っていうこととは絶対に違って、それではいつまで経ってもなんとかならない。
これは決してエドワード・ヴァン・ヘイレンではない。

人生も同じで、苦しみながら考えこんだってろくなことはない。笑顔で人生に向き合っていれば、間違いなく楽しいことが増えるし、同じような人が集まってくるので、もっともっと人生が面白くなるんだと思う。

なんだかエドワード・ヴァン・ヘイレンが好きすぎて、瀬戸内寂聴みたいになってきたので、このへんで終わりにします。

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